25 / 28
一途な幼馴染は嫌いですか? いっくんのターン
やきとり
しおりを挟む
「さて、不思議に思っているかもしれませんが、ここは私のお店ですよ」
椅子に腰を落ち着けさせ、キョロキョロと店内を見渡していると草井さんが答えてくれた。
「えぇ⁉ す、凄くないですか?」
「凄くはありませんよ。実は、前の社長に相談していたんですよ。自分のお店を持ちたいって」
自分のお店を持ちたい。
私も一瞬考えたことがあったけど、実際に行動に移す人は少ない。
「そうなんですか! おめでとうございます。夢が叶いましたね」
私の言葉に対し、嬉しそうな顔になる草井さん、でもなんでいっくんがここにいるのだろうか?
その質問をしようとすると、今度は彼が答えてくれた。
「引継ぎのときにね、この会社に多大な貢献をしてくれた草井さんのサポートをしてくれって頼まれていたんだ。それで、ちょうどここが空いていたので家賃も安いから初期投資が低くて良いのでは? と、持ちかけたんだよ」
「そうですね、本当に助かりました。柿崎社長にはスポンサーにもなっていただきましたので」
スポンサー? つまり、このお店を出店するさいに資金を出したということなのだろうか?
チラッといっくんを見ると、なぜか恥ずかしそうに顔を背けてしまう。
「このお店が上手くいったら、私の会社の社員も多く利用するだろうし、メリットがあると思ったまでだよ」
それを聞いてまた笑顔になる草井さん、あぁ……なるほど、ただ単純に彼は善意で草井さんに協力しているのだろう、確かにただの善意で行動できる人は少ない。
「な、なんだその目は! しっかり回収させていただきますからね草井さん‼」
「はい、もちろんですとも」
二人のやりとりがおかしくて、私はついつい笑ってしまう。
最初は堪えていたけれど、ぷっと声が出ると抑えるのが無理になった。
「直江さんはなぜ笑うんだ!?」
「ちょっと社長と草井さんのやり取りがあまりにも微笑ましくて」
グッとまた顔を隠すいっくん、それをいつものようにニコニコと眺めている草井さん、なんだろう……この雰囲気は私にとって凄く居心地のよい世界だと思えた。
「それで、直江さん何か食べていきますか?」
「いいんですか?」
「もちろん、これから社長と一緒に料理のアイディアを練るところでしたので、お酒も少ないですがありますので、どうぞ」
いっくんの顔色をうかがうために、視線を向けるとヤレヤレといった表情で頷いてくれる。
やったー! 草井さんの料理が食べられる‼
ウキウキしながら少し待っていると、コトリと美味しそうな香りと一緒に運ばれてきた焼き鳥が目の前に置かれる。
「うわぁ――! 美味しそう♪」
私は丁寧に手をあわせて「いただきます」と言ってから食べてみる。
まずはネギまだ、しかも塩が私は大好きでネギの甘さと炭の良い香りがあわさっていて凄く美味しい。
「ん~‼ 美味しいです!」
「そうですか、良かったです」
「そうだろ? 私も食材選びを手伝ったのでな! こういった基本的な料理が美味しいと嬉しいだろ?」
私は頷きながら、出されたビールをひと口飲み込んでいく、口の中がさっぱりすると、またひと口食べた。
どうしよう……止まらないかも。
「お、おい! 何か感想とかないのか?」
「社長、いいじゃないですか、こう黙々と食べてくれるのが感想ですよ」
椅子に腰を落ち着けさせ、キョロキョロと店内を見渡していると草井さんが答えてくれた。
「えぇ⁉ す、凄くないですか?」
「凄くはありませんよ。実は、前の社長に相談していたんですよ。自分のお店を持ちたいって」
自分のお店を持ちたい。
私も一瞬考えたことがあったけど、実際に行動に移す人は少ない。
「そうなんですか! おめでとうございます。夢が叶いましたね」
私の言葉に対し、嬉しそうな顔になる草井さん、でもなんでいっくんがここにいるのだろうか?
その質問をしようとすると、今度は彼が答えてくれた。
「引継ぎのときにね、この会社に多大な貢献をしてくれた草井さんのサポートをしてくれって頼まれていたんだ。それで、ちょうどここが空いていたので家賃も安いから初期投資が低くて良いのでは? と、持ちかけたんだよ」
「そうですね、本当に助かりました。柿崎社長にはスポンサーにもなっていただきましたので」
スポンサー? つまり、このお店を出店するさいに資金を出したということなのだろうか?
チラッといっくんを見ると、なぜか恥ずかしそうに顔を背けてしまう。
「このお店が上手くいったら、私の会社の社員も多く利用するだろうし、メリットがあると思ったまでだよ」
それを聞いてまた笑顔になる草井さん、あぁ……なるほど、ただ単純に彼は善意で草井さんに協力しているのだろう、確かにただの善意で行動できる人は少ない。
「な、なんだその目は! しっかり回収させていただきますからね草井さん‼」
「はい、もちろんですとも」
二人のやりとりがおかしくて、私はついつい笑ってしまう。
最初は堪えていたけれど、ぷっと声が出ると抑えるのが無理になった。
「直江さんはなぜ笑うんだ!?」
「ちょっと社長と草井さんのやり取りがあまりにも微笑ましくて」
グッとまた顔を隠すいっくん、それをいつものようにニコニコと眺めている草井さん、なんだろう……この雰囲気は私にとって凄く居心地のよい世界だと思えた。
「それで、直江さん何か食べていきますか?」
「いいんですか?」
「もちろん、これから社長と一緒に料理のアイディアを練るところでしたので、お酒も少ないですがありますので、どうぞ」
いっくんの顔色をうかがうために、視線を向けるとヤレヤレといった表情で頷いてくれる。
やったー! 草井さんの料理が食べられる‼
ウキウキしながら少し待っていると、コトリと美味しそうな香りと一緒に運ばれてきた焼き鳥が目の前に置かれる。
「うわぁ――! 美味しそう♪」
私は丁寧に手をあわせて「いただきます」と言ってから食べてみる。
まずはネギまだ、しかも塩が私は大好きでネギの甘さと炭の良い香りがあわさっていて凄く美味しい。
「ん~‼ 美味しいです!」
「そうですか、良かったです」
「そうだろ? 私も食材選びを手伝ったのでな! こういった基本的な料理が美味しいと嬉しいだろ?」
私は頷きながら、出されたビールをひと口飲み込んでいく、口の中がさっぱりすると、またひと口食べた。
どうしよう……止まらないかも。
「お、おい! 何か感想とかないのか?」
「社長、いいじゃないですか、こう黙々と食べてくれるのが感想ですよ」
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
お知らせ有り※※束縛上司!~溺愛体質の上司の深すぎる愛情~
ひなの琴莉
恋愛
イケメンで完璧な上司は自分にだけなぜかとても過保護でしつこい。そんな店長に秘密を握られた。秘密をすることに交換条件として色々求められてしまう。 溺愛体質のヒーロー☓地味子。ドタバタラブコメディ。
2021/3/10
しおりを挟んでくださっている皆様へ。
こちらの作品はすごく昔に書いたのをリメイクして連載していたものです。
しかし、古い作品なので……時代背景と言うか……いろいろ突っ込みどころ満載で、修正しながら書いていたのですが、やはり難しかったです(汗)
楽しい作品に仕上げるのが厳しいと判断し、連載を中止させていただくことにしました。
申しわけありません。
新作を書いて更新していきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
お詫びに過去に書いた原文のママ載せておきます。
修正していないのと、若かりし頃の作品のため、
甘めに見てくださいm(__)m
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる