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後輩くんは愛したい、愛されたい 新発田 勇士のターン
寝顔
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共同で暮らしを開始してから既に二週間が経過した。
最初は慣れない場面も多々あったが、今では順調に生活はまわっているので、かなりストレスはない。
ただ、一つ私が彼らのどちらかを選ぶということがなければかなり快適で楽しい空間であるのは間違いない。
「あ、今日も早いんだ……」
いっくんはいつも早く、私たちが起きてくる時間には居たことはない。
それに気づかれずに朝ごはんまで作っておいてくれているので、かなり大変だと思うのだけど、それをこなして会社もなんてすごすぎる。
ただ、よく疲れて無防備に眠っている姿をちょくちょく目撃するが、ユウはそれを見て起こすわけでも邪魔することなく、そっとしてくれているので理解はしているのだろう。
「ふぁ……先輩、おはようございます」
眠そうな後輩が起きて挨拶をしてくれたので、こちらも「おはよう」と伝えて朝食の準備をしちゃう。
と、言ってもただ温めなおして並べるだけで終わってしまうので簡単すぎて申し訳ない気持ちでいっぱいだが、甘えてしまう。
お皿を並び終えてユウの姿が無いことに気が付く、あれ? 今までそこで大きな欠伸をしていたと思ったのだけど? どこに行ってしまったのだろうか?
彼は極端に朝に弱くて、かなりの頻度でどこかで二度寝していることが多々ある。
今日もそんな感じだろうと思い、いつも顔を洗う洗面台の方へと行くと案の定足だけが入り口から飛び出していた。
「いや、これ軽くホラーでしょ」
最初はびっくりした。
だって、倒れていると思ったら寝ているだけってこんな人本当にいるんだって思ったが、大学のときは遅刻しないで来ていたような気もするけれど? 学年の違ったのであまり講義などでは一緒したことがないのでハッキリとは言えない。
「慣れるって恐ろしいわね」
グイっと力を入れて上を向かせると、すぴぃすぴぃと軽く寝息をたてながら気持ちよさそうにしていた。
慣れたとはいえ、彼の寝顔に関してはいつ見てもツイツイ見つめてしまう。
「相変わらず綺麗ね」
羨ましい、このきめ細かな肌に長いまつ毛ってこっちが全部ほしいの持っていた。
ツンツンと柔らかな頬を指で突っつくとぷわっと押し返してきた。
「普段どんなケアしているのかしら?」
元々地毛が薄いと言っていたので、カミソリなどは使っていないらしくその点も羨ましくて仕方がない。
「ほら、ユウ起きて」
ずっと見ていても大丈夫なのだが、さすがに仕事に遅れてしまうので起こすことにした。
トントンと肩を叩いて起こしてみると、すぐに薄っすらと目をあけてこっちを見つめてきた。
「んぁ、先輩……」
すっとそのまま起き上がるかと思ったら、今度は私にしがみついてくる。
「えっ⁉ ちょ、ちょっとユウってば」
すぴぃすぴぃと、耳元に寝息が触れた。
え? 寝たの? 嘘でしょ。
グイっと押して引き離そうとすると、腹筋と胸板に当たる。一見か細い印象がある彼だが触れてみるとよくわかった。
「か、かたい……」
良く鍛えられた腹筋に胸筋の熱が手のひらに伝わってきた。
意外とがっちりとした体形で、いっくんとは違った抱擁感があってドキドキしてしまう。
「ちょっと、起きて! ねぇ、起きてよ」
耳元で声で起こしてみる。
体格差などもあって女性の力では彼を持ち上げられないので、声で起こすしかなった。
「……? あ、れ?」
とろとろとした口調で状況を把握しようとしているが、何を思ったのかギュッと強く抱きしめてくる。
「な、なんでそうなるのよ⁉」
「なんでって、先輩とこうしたいからっすよ」
ちょっと低い声で囁きながら背中にまわした手が背骨のラインを撫でていく。
ぶるっと、甘い痺れが体の中を通っていった。
「こら、ご飯食べないと遅刻しちゃうわよ」
なんだか怪しい雰囲気になってきたので、キツメの口調で伝えると理解してくれたのか、小さなため息をついて私から離れていく。
名残惜しそうな表情に、温もりが尾を引いていくも身体が次第に冷えていった。
最初は慣れない場面も多々あったが、今では順調に生活はまわっているので、かなりストレスはない。
ただ、一つ私が彼らのどちらかを選ぶということがなければかなり快適で楽しい空間であるのは間違いない。
「あ、今日も早いんだ……」
いっくんはいつも早く、私たちが起きてくる時間には居たことはない。
それに気づかれずに朝ごはんまで作っておいてくれているので、かなり大変だと思うのだけど、それをこなして会社もなんてすごすぎる。
ただ、よく疲れて無防備に眠っている姿をちょくちょく目撃するが、ユウはそれを見て起こすわけでも邪魔することなく、そっとしてくれているので理解はしているのだろう。
「ふぁ……先輩、おはようございます」
眠そうな後輩が起きて挨拶をしてくれたので、こちらも「おはよう」と伝えて朝食の準備をしちゃう。
と、言ってもただ温めなおして並べるだけで終わってしまうので簡単すぎて申し訳ない気持ちでいっぱいだが、甘えてしまう。
お皿を並び終えてユウの姿が無いことに気が付く、あれ? 今までそこで大きな欠伸をしていたと思ったのだけど? どこに行ってしまったのだろうか?
彼は極端に朝に弱くて、かなりの頻度でどこかで二度寝していることが多々ある。
今日もそんな感じだろうと思い、いつも顔を洗う洗面台の方へと行くと案の定足だけが入り口から飛び出していた。
「いや、これ軽くホラーでしょ」
最初はびっくりした。
だって、倒れていると思ったら寝ているだけってこんな人本当にいるんだって思ったが、大学のときは遅刻しないで来ていたような気もするけれど? 学年の違ったのであまり講義などでは一緒したことがないのでハッキリとは言えない。
「慣れるって恐ろしいわね」
グイっと力を入れて上を向かせると、すぴぃすぴぃと軽く寝息をたてながら気持ちよさそうにしていた。
慣れたとはいえ、彼の寝顔に関してはいつ見てもツイツイ見つめてしまう。
「相変わらず綺麗ね」
羨ましい、このきめ細かな肌に長いまつ毛ってこっちが全部ほしいの持っていた。
ツンツンと柔らかな頬を指で突っつくとぷわっと押し返してきた。
「普段どんなケアしているのかしら?」
元々地毛が薄いと言っていたので、カミソリなどは使っていないらしくその点も羨ましくて仕方がない。
「ほら、ユウ起きて」
ずっと見ていても大丈夫なのだが、さすがに仕事に遅れてしまうので起こすことにした。
トントンと肩を叩いて起こしてみると、すぐに薄っすらと目をあけてこっちを見つめてきた。
「んぁ、先輩……」
すっとそのまま起き上がるかと思ったら、今度は私にしがみついてくる。
「えっ⁉ ちょ、ちょっとユウってば」
すぴぃすぴぃと、耳元に寝息が触れた。
え? 寝たの? 嘘でしょ。
グイっと押して引き離そうとすると、腹筋と胸板に当たる。一見か細い印象がある彼だが触れてみるとよくわかった。
「か、かたい……」
良く鍛えられた腹筋に胸筋の熱が手のひらに伝わってきた。
意外とがっちりとした体形で、いっくんとは違った抱擁感があってドキドキしてしまう。
「ちょっと、起きて! ねぇ、起きてよ」
耳元で声で起こしてみる。
体格差などもあって女性の力では彼を持ち上げられないので、声で起こすしかなった。
「……? あ、れ?」
とろとろとした口調で状況を把握しようとしているが、何を思ったのかギュッと強く抱きしめてくる。
「な、なんでそうなるのよ⁉」
「なんでって、先輩とこうしたいからっすよ」
ちょっと低い声で囁きながら背中にまわした手が背骨のラインを撫でていく。
ぶるっと、甘い痺れが体の中を通っていった。
「こら、ご飯食べないと遅刻しちゃうわよ」
なんだか怪しい雰囲気になってきたので、キツメの口調で伝えると理解してくれたのか、小さなため息をついて私から離れていく。
名残惜しそうな表情に、温もりが尾を引いていくも身体が次第に冷えていった。
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