炎の稲穂

「おらたちは耐えた! でも限界だ!」
 幾多も重なる税金に、不作続きの世の中、私腹を肥やしているのはごく一部の人たちだけだった。
 領主は鷹狩りや歌に忙しく、辺境の地であるこの『谷の村』のことなど、一切知る由もない。
 ただ、搾取され皆がその日を生き抜くのが精いっぱいだった。

 そんなある日、村一番の働き手である 弥彦は 村はずれにある洞窟である箱を見つけた。
 そこには、言い伝えでその昔に平家の落ち武者が逃げて隠れていたとされた洞窟で、刃の無い刀がいくつか土に埋まっている。
 弥彦は箱を調べ、その場で開けてみると、中にはいくつもの本があった。 彼は字が読めないが村に来ていた旅の僧侶に読み書きを習い、その本を読み解いていく。

 そして、時はながれ生活は更に苦しくなった。
 弥彦の母は病におかされていた。

 看病のかいもなく、他界した母の現場に現れた役人は告げた。

 「臭いのぉ…。 悪臭は好かんので、ちと税を払え、皆の迷惑じゃ」

 それを聞いた弥彦含め、村人たちの怒りは頂点に達し、どうせ今生きていても死ぬだけだと、自分たちの人生を賭け蜂起を決意した。
 そして、村長が指名した村人たちを束ね導く存在に弥彦を。
 
 そんな彼らの想いが駆け巡る。 歴史の中で闇に消えた物語。
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