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2.敏感すぎる俺の事情 ※別の相手との性描写があります。ダメな方は流し読みをば。
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※別の相手との性描写があります。さらりとしていますが苦手な方は流してくださいませ~
ーーーーー
騎士に昇進してから、俺はモテるようになった。
兵士になって王都の内側の門に立ったりし始めた頃から、見知らぬ人から差し入れとか、いろいろ声をかけられるようになった。それでも兵士に告白してくるような強者はおらず、同僚たちのやっかみはかなりあって面倒くさかったが、それほど問題なく過ごしていた。
それが変わったのは騎士になってからだ。
兵士と騎士の制服は明らかに違う。俺が騎士になり、街の巡回を始めるとたまに告白のようなことをされるようになった。それがあまりにも多く、仕事に支障をきたすようになったので王城の方に移るよう言われ、それからは王城の内側を守るようになった。
王城を守るのは騎士だけとは限らない。あまり重要ではないところには兵士も配備されている。そこを通りかかった時はたまにリックの姿を見かけることもあった。
王城に勤めるようになってからはその手のお誘いが増えた。勤務中だからとできるだけ断るようにしていたが、どうしても断れないことがあって相手をすることがあった。
「あの……俺、すごく早漏なので失礼があってはいけないと思うのですが……」
俺は童貞ではない。だが早漏というコンプレックスはあった。
「え? そうなんだ? 何度出してくれてもいいからー」
キスはまだ我慢できた。相手の身体に触れる分には問題なかった。でも尻穴に触れて、腰を突き入れたらもうダメだった。
「うっ……も、申し訳ありません……」
「ええ? もうイッちゃった? もしかして初めてだった、とか?」
「違うのですが、その……」
「いいよ、何度イッても……」
そう言われたけど本当にもう何度もみこすり半でイッてしまい、相手を満足させることが全然できなかった。
「……すっごいドロドロ……しょうがないから指でイカせて」
「申し訳ありません……」
指で相手の気持ちのいいところを探して、どうにかイカせることができた。
「無理を聞いてくれてありがとうねー」
「俺こそ、ありがとうございました……」
この相手はとてもいい人だったと思う。
それからも他の人から断れない誘いを受けて似たようなことになった。相手が好みだったということもあったが、その時は顔を真っ赤にしてめちゃくちゃなじられた。
「早漏だって言いふらしてやる!」
「……どうぞ」
「ほ、本当に言いふらすよ!」
「事実ですから……」
あまりにも俺が情けなく見えたのか、言いふらすと息巻いていた相手も、やがて勢いが小さくなった。
「僕のこと気持ちよくすることはできる?」
「指、でよろしければ……」
「じゃあ、それでいいよ……」
そんなわけで指で前立腺を見つけるのはうまくなった。人によっては前立腺以外の場所も感じるらしく、求められた時せめて指だけでも応えられるようにと娼館に通ったこともあった。
「早漏なんだ? 敏感なんだね?」
娼館でとても優しく接してくれた人に俺は淡い想いを抱いた。その人はロイと言って、俺より年上だった。彼は売れっ子の娼夫で、予約でいつも埋まっているような人だった。でも売れっ子だけあって気に入った相手としかしないと宣言していた。俺は幸運にもそのお気に入りの端っこに置いてもらえた。
「僕から触ってもいい?」
「え……そ、それは……」
「気持ち良かったら素直に声を出してね?」
身体のあちこちに触れられて、俺自身はすぐに勃ち上がり、直接触られるとすぐにイッてしまった。
「うん。これはさー、もう全身が感じやすいんだね。よく今まで無事だったねー」
「無事?」
「カイエはさ、ものすごく敏感なんだと思う。だからすぐにイッちゃうんだよ。これから言うことに怒らないでほしいんだけど……多分カイエは誰かを抱くより誰かに抱かれた方がいいと思う」
「ええっ?」
衝撃だった。そんなことは初めて言われたから。
「あまりにも敏感だから、もし本当に好きな人ができても相手を満足させることはできないと思うんだ」
「そ、そうか……」
「でもカイエが抱かれる側だったら敏感なのは可愛がられる要素にしかならない。その相手はきっとカイエに夢中になるよ」
「で、でも……」
「僕の話は聞き流してもいいよ。でも、そういう選択肢があるってことは覚えておいてもいいんじゃないかな?」
「……うん」
すごく反論したかったが反論できるだけの材料もなかった。でも俺は誰かに抱かれるなんてことは考えられなかった。ロイを抱きしめて、その尻穴を指でいじって快感に啼かせた。そう、俺自身ではだめでもこの手があるじゃないかと思いたかったのだ。
そうやって給料が入る度に娼館に通っていたが、ある時さよならを告げられた。
「村に帰ってくるように言われたんだ。だから君とは今日で終りになる。今までありがとう」
「そんな……」
いずれ誰かに買われてしまうとか、辞めてしまうことはわかっていた。でもそれがこんなに早いなんて思ってなくて。
「そ、それは身請けとか……」
「ううん、僕お金はいっぱい持ってるんだよ。やりがいのありそうな仕事が見つかったんだ。だから帰るんだ」
「そうなのか……」
「だから最後にまた気持ちよくして?」
誰かと少し揉めたりもしたそうだが、比較的穏やかにロイは娼館を辞めていなくなった。それから俺は娼館通いを止めた。もう右手が恋人でいいやと思った。
なのにこんなことになるなんて!
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騎士に昇進してから、俺はモテるようになった。
兵士になって王都の内側の門に立ったりし始めた頃から、見知らぬ人から差し入れとか、いろいろ声をかけられるようになった。それでも兵士に告白してくるような強者はおらず、同僚たちのやっかみはかなりあって面倒くさかったが、それほど問題なく過ごしていた。
それが変わったのは騎士になってからだ。
兵士と騎士の制服は明らかに違う。俺が騎士になり、街の巡回を始めるとたまに告白のようなことをされるようになった。それがあまりにも多く、仕事に支障をきたすようになったので王城の方に移るよう言われ、それからは王城の内側を守るようになった。
王城を守るのは騎士だけとは限らない。あまり重要ではないところには兵士も配備されている。そこを通りかかった時はたまにリックの姿を見かけることもあった。
王城に勤めるようになってからはその手のお誘いが増えた。勤務中だからとできるだけ断るようにしていたが、どうしても断れないことがあって相手をすることがあった。
「あの……俺、すごく早漏なので失礼があってはいけないと思うのですが……」
俺は童貞ではない。だが早漏というコンプレックスはあった。
「え? そうなんだ? 何度出してくれてもいいからー」
キスはまだ我慢できた。相手の身体に触れる分には問題なかった。でも尻穴に触れて、腰を突き入れたらもうダメだった。
「うっ……も、申し訳ありません……」
「ええ? もうイッちゃった? もしかして初めてだった、とか?」
「違うのですが、その……」
「いいよ、何度イッても……」
そう言われたけど本当にもう何度もみこすり半でイッてしまい、相手を満足させることが全然できなかった。
「……すっごいドロドロ……しょうがないから指でイカせて」
「申し訳ありません……」
指で相手の気持ちのいいところを探して、どうにかイカせることができた。
「無理を聞いてくれてありがとうねー」
「俺こそ、ありがとうございました……」
この相手はとてもいい人だったと思う。
それからも他の人から断れない誘いを受けて似たようなことになった。相手が好みだったということもあったが、その時は顔を真っ赤にしてめちゃくちゃなじられた。
「早漏だって言いふらしてやる!」
「……どうぞ」
「ほ、本当に言いふらすよ!」
「事実ですから……」
あまりにも俺が情けなく見えたのか、言いふらすと息巻いていた相手も、やがて勢いが小さくなった。
「僕のこと気持ちよくすることはできる?」
「指、でよろしければ……」
「じゃあ、それでいいよ……」
そんなわけで指で前立腺を見つけるのはうまくなった。人によっては前立腺以外の場所も感じるらしく、求められた時せめて指だけでも応えられるようにと娼館に通ったこともあった。
「早漏なんだ? 敏感なんだね?」
娼館でとても優しく接してくれた人に俺は淡い想いを抱いた。その人はロイと言って、俺より年上だった。彼は売れっ子の娼夫で、予約でいつも埋まっているような人だった。でも売れっ子だけあって気に入った相手としかしないと宣言していた。俺は幸運にもそのお気に入りの端っこに置いてもらえた。
「僕から触ってもいい?」
「え……そ、それは……」
「気持ち良かったら素直に声を出してね?」
身体のあちこちに触れられて、俺自身はすぐに勃ち上がり、直接触られるとすぐにイッてしまった。
「うん。これはさー、もう全身が感じやすいんだね。よく今まで無事だったねー」
「無事?」
「カイエはさ、ものすごく敏感なんだと思う。だからすぐにイッちゃうんだよ。これから言うことに怒らないでほしいんだけど……多分カイエは誰かを抱くより誰かに抱かれた方がいいと思う」
「ええっ?」
衝撃だった。そんなことは初めて言われたから。
「あまりにも敏感だから、もし本当に好きな人ができても相手を満足させることはできないと思うんだ」
「そ、そうか……」
「でもカイエが抱かれる側だったら敏感なのは可愛がられる要素にしかならない。その相手はきっとカイエに夢中になるよ」
「で、でも……」
「僕の話は聞き流してもいいよ。でも、そういう選択肢があるってことは覚えておいてもいいんじゃないかな?」
「……うん」
すごく反論したかったが反論できるだけの材料もなかった。でも俺は誰かに抱かれるなんてことは考えられなかった。ロイを抱きしめて、その尻穴を指でいじって快感に啼かせた。そう、俺自身ではだめでもこの手があるじゃないかと思いたかったのだ。
そうやって給料が入る度に娼館に通っていたが、ある時さよならを告げられた。
「村に帰ってくるように言われたんだ。だから君とは今日で終りになる。今までありがとう」
「そんな……」
いずれ誰かに買われてしまうとか、辞めてしまうことはわかっていた。でもそれがこんなに早いなんて思ってなくて。
「そ、それは身請けとか……」
「ううん、僕お金はいっぱい持ってるんだよ。やりがいのありそうな仕事が見つかったんだ。だから帰るんだ」
「そうなのか……」
「だから最後にまた気持ちよくして?」
誰かと少し揉めたりもしたそうだが、比較的穏やかにロイは娼館を辞めていなくなった。それから俺は娼館通いを止めた。もう右手が恋人でいいやと思った。
なのにこんなことになるなんて!
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