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五七、鲁莽従事(暴走する)
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新年になったら、皇都へ行って新しい皇帝に挨拶をして。皇都から蘇王領に戻ったら、明玲は偉仁の妻となる。それはとても甘美な響きではあったが、明玲にはずっと気がかりなことがあった。
「……芳妃様や母はどうしていらっしゃるのでしょう……」
「今はそのまま後宮にいらっしゃるそうよ。年が明けたら離宮に移動されると窺ったわ。もちろんだけど、皇太后(先帝の皇后)も含めた先帝の妃は新年の挨拶には出てこられないわ」
趙山琴が宥めるように、丁寧に教えてくれた。
「離宮とは……」
「先帝が幽閉されているところとは別の場所よ。まだ子を成していない妃は、それから三か月そちらで過ごして身籠っていなければ家に帰されるそうね」
「では芳妃様は……」
「明妃様、そのお子様方と一緒にこちらで引き取ることになっているわ」
「それなら、よかったです……」
明玲はほっとして微笑んだ。そういえば、妹のことも少しは気になっていたのだ。あの日妹と哥の弟は母の部屋にいたのだと後に聞いた。女官や侍女と共に衣裳部屋に隠れていたのだという。皇帝がすげ変わったあの日、様々なことが起きていたのだ。
「そういえば今、母と妹は……」
「同じ部屋で過ごしていらっしゃるはずよ。偉仁様の弟君もそうでしょう。……何事もなければいいわね」
「……そうですね」
暗に子を宿していなければいいと、山琴が言うまでもなく明玲もそう思っている。子を宿していたなら、産まれるまでこちらに来ることはできないだろう。産まれてからだって無事にこちらに来られるとは限らない。子ができるのは喜ばしいことだ。けれどこと皇室に関わることは非常に面倒である。すでに皇帝が代わっているのだからなおさらだった。
「子を成しても喜べないなんて……本当に怖いわ」
「そうね……」
部屋に戻って曹梅花と話す。梅花はぶるりと身を震わせた。
「でも、明玲様が身籠ったら大歓迎でしょうね。まだお子はいらっしゃらないのだし」
「……そればっかりは縁だからわからないわ」
趙山琴が偉仁に嫁いできてそろそろ五年が経つ。妾妃も何人も迎えられているがまだ子ができる気配もないのだ。ただ、不思議と誰もそのことを気に病んでいなさそうなのであまり気になってはいないが、自分が期待されるとなれば話は別である。
「そうですね。まぁ三年子ができなければまた妾妃を迎えられるでしょう」
「ううう……」
周梨にしれっと言われて明玲は泣きそうになった。
「それが嫌でしたら、恥ずかしがらずしっかり毎晩励んでくださいませ。私は明玲様の子を抱きとうございます」
「ま、まだ嫁いでもいないのに……」
周梨が眉を寄せた。
「まだ王に抱かれていらっしゃらないのですか? 我慢強いのか、それとも明玲様に魅力がないのか……」
「あ、あのっ! もうすぐ新年だから嫁いでからでもいいと思うの! そんなに急がなくたって……」
「初心なのも大概になされませ」
いつになく周梨の目が据わっている。明玲は慌てた。
「で、でもっ! 周梨だってまだどこにも嫁いでいないじゃない? だから……」
すごい目で睨まれた。明玲は思わず梅花に抱き着いた。
「明玲様が嫁がれないことには安心して嫁にも行けないのです……。とっとと王を誘惑して早く私を安心させてくださいませ!」
「は、はいっ!」
とは答えたものの、誘惑なんてそう簡単にできるはずもない。哥に正直に話すのもどうかと思う。
(明日、趙姐に相談しないと……)
早く子を成せと言われるのは嬉しいことではあるが、何も今すぐでなくてもいいはずだと明玲はため息をついた。
「……芳妃様や母はどうしていらっしゃるのでしょう……」
「今はそのまま後宮にいらっしゃるそうよ。年が明けたら離宮に移動されると窺ったわ。もちろんだけど、皇太后(先帝の皇后)も含めた先帝の妃は新年の挨拶には出てこられないわ」
趙山琴が宥めるように、丁寧に教えてくれた。
「離宮とは……」
「先帝が幽閉されているところとは別の場所よ。まだ子を成していない妃は、それから三か月そちらで過ごして身籠っていなければ家に帰されるそうね」
「では芳妃様は……」
「明妃様、そのお子様方と一緒にこちらで引き取ることになっているわ」
「それなら、よかったです……」
明玲はほっとして微笑んだ。そういえば、妹のことも少しは気になっていたのだ。あの日妹と哥の弟は母の部屋にいたのだと後に聞いた。女官や侍女と共に衣裳部屋に隠れていたのだという。皇帝がすげ変わったあの日、様々なことが起きていたのだ。
「そういえば今、母と妹は……」
「同じ部屋で過ごしていらっしゃるはずよ。偉仁様の弟君もそうでしょう。……何事もなければいいわね」
「……そうですね」
暗に子を宿していなければいいと、山琴が言うまでもなく明玲もそう思っている。子を宿していたなら、産まれるまでこちらに来ることはできないだろう。産まれてからだって無事にこちらに来られるとは限らない。子ができるのは喜ばしいことだ。けれどこと皇室に関わることは非常に面倒である。すでに皇帝が代わっているのだからなおさらだった。
「子を成しても喜べないなんて……本当に怖いわ」
「そうね……」
部屋に戻って曹梅花と話す。梅花はぶるりと身を震わせた。
「でも、明玲様が身籠ったら大歓迎でしょうね。まだお子はいらっしゃらないのだし」
「……そればっかりは縁だからわからないわ」
趙山琴が偉仁に嫁いできてそろそろ五年が経つ。妾妃も何人も迎えられているがまだ子ができる気配もないのだ。ただ、不思議と誰もそのことを気に病んでいなさそうなのであまり気になってはいないが、自分が期待されるとなれば話は別である。
「そうですね。まぁ三年子ができなければまた妾妃を迎えられるでしょう」
「ううう……」
周梨にしれっと言われて明玲は泣きそうになった。
「それが嫌でしたら、恥ずかしがらずしっかり毎晩励んでくださいませ。私は明玲様の子を抱きとうございます」
「ま、まだ嫁いでもいないのに……」
周梨が眉を寄せた。
「まだ王に抱かれていらっしゃらないのですか? 我慢強いのか、それとも明玲様に魅力がないのか……」
「あ、あのっ! もうすぐ新年だから嫁いでからでもいいと思うの! そんなに急がなくたって……」
「初心なのも大概になされませ」
いつになく周梨の目が据わっている。明玲は慌てた。
「で、でもっ! 周梨だってまだどこにも嫁いでいないじゃない? だから……」
すごい目で睨まれた。明玲は思わず梅花に抱き着いた。
「明玲様が嫁がれないことには安心して嫁にも行けないのです……。とっとと王を誘惑して早く私を安心させてくださいませ!」
「は、はいっ!」
とは答えたものの、誘惑なんてそう簡単にできるはずもない。哥に正直に話すのもどうかと思う。
(明日、趙姐に相談しないと……)
早く子を成せと言われるのは嬉しいことではあるが、何も今すぐでなくてもいいはずだと明玲はため息をついた。
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