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29.オナホは常に持ち歩いてる

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「なんかあったんですかー?」

 訓練所の端で構えている騎士に尋ねてみた。

「ああ、ちょっとね。すぐ終わるから入らないでそっちで待ってて」

 目だけこっちに向けて知らない騎士が教えてくれた。この人もカッコイイなぁ。騎士もやっぱ顔で選んでるのかなー?

「はーい」

 邪魔しちゃまずいよねーと訓練所の外でぼーっとしていたら、この間のハンサムさんが血相を変えて駆けてきた。僕をちらと見て嫌そうな顔をし、訓練所に入っていく。僕なんかしたかな? いや、僕じゃないなきっと。魔法師団がどうの、って言ってたからこのローブを見ると反応しちゃうんだろう。ぎゃあぎゃあと喚く声とかいろんな声がして、しばらくしてからふと顔を上げたらライヤがいた。

「ヤーナ」
「見つけたー」

 ライヤの手を握った。あれ? なんか傷ついてる?

「これ、どーしたの?」
「ああ、ちょっとな」

 さっきの騒動の中にライヤもいたみたいだった。もー、勝手に人のモノに傷つけないでよねっ。即回復魔法をかけた。

「お、ありがとな。って、こんなかすり傷に魔法使ったらもったいないだろ?」
「僕が使いたかったんだからいーの。何があったの?」
「それはあとでな。呼びに来てくれたんだよな?」
「うん」

 ライヤがとても嬉しそうな顔をした。その顔にちょっとだけ胸がきゅんとなった。
 ……? なんだろこれ?
 ライヤの部屋に行って、シャワーを使う為の魔石に魔力を注いであげた。ライヤも魔力がないわけじゃないんだけど、竜族の魔力って自分の身体自体にかけるものが一般的だから外に放出するのが苦手な人が多いみたい。だから訓練とか仕事とかでへとへとになった時は僕の部屋でシャワーを浴びてたんだよね。僕は魔力量が多いから魔力を魔石に蓄積させてたし。

「ありがとなー」

 ライヤの使い方だとシャワーは10分お湯が出ればいい方らしい。こればっかりは種族的に向き不向きがあるからしょうがない。ちなみに魔力が少ない人用に売店で魔力を籠めた魔石も売っていたりするらしい。魔法師団だと見ない光景だなと思った。

「で、さっきのってなんだったの?」

 シャワーを浴びてさっぱりして出てきたライヤに聞いてみた。

「ああ、北の森に派遣してる騎士なんだが、この間大々的に不祥事があってな。相当の数が罰せられたんだ。だが罰せられはしなかったんだが、納得いかないってヤツがいてわざわざこっちに戻ってきて暴れやがったんだよ」
「へー、そんなことあったんだね。でもなんで訓練所で?」
「騎士団長が誘導したんだよ。不満があるなら力で示せってな」
「へー、超脳筋だねー」
「……お前なぁ……」

 あ、本音が出ちゃった。

「ごめーん」

 笑ってぺろりと舌を出したらそのまま口づけられた。なんでここで僕キスされちゃうわけ?
 くちゅ、ちゅぷうと濡れた音を立てて一度唇を放された。

「ぁんっ、なん、で……?」

 別にしてもいいけどさ、一応オナホ魔道具持ってきてるしね。

「……大したことじゃないが、血ぃ見ると滾るんだ」
「そうだったっけ? じゃあいいよ」

 部屋に防音魔法をかけ、自分自身に洗浄魔法をかける。そしてローブを脱いだ。

「……色気ねえな」
「イマイチその色気ってのがわかんないんだよね。どーしたら色気って出るんだろう?」
「……言葉で言い表せるモンじゃねえしな。そうだな……せめてもう少し恥ずかしがるとか?」
「恥ずかしがる、ねぇ……」

 自分が気持ちよくなる為にオナホ魔道具とか開発してるこの僕に恥じらいを求めるだけ無駄な気がする。あ、でもあまりに興奮しすぎて鍵かけるの忘れて、ライヤが部屋に入ってきた時は驚いたのもそうだけどちょっと恥ずかしかったかも。
 ローブの下には一応下着を着ている。丈が短めの貫頭衣なんだけど、これを恥じらいながら脱ぐって難しいなって思った。

「……困ってるヤーナもかわいいよな」
「ん?」
「ま、お前はそのままでいいよ。十分欲情する」

 ライヤがそう言ってるからいいか。ライヤに手伝ってもらい、下着を脱いだ。
 裸になったらライヤに優しく抱きしめられた。なんかよくわかんないけどどきどきした。
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