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プロローグ(ナルシストは自分だけで完結しようとする)

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「できた! とうとうできたぞ!」

 僕は筒状の袋を握り、歓喜の声を上げた。これは一見ただの長細い袋のようだが、中を覗くと潤ったようなひだ状の物で覆われている。そう、これはオナホール。オナニーに使う道具だ。だが僕が開発したのはただのオナホではない。

「ふふふ……見てろよ……」

 妖しく呟いて、僕はどきどきしながらそのオナホに魔力を流した。
 その途端、なんとオナホはポン、と尻の形になったのである。それもすべすべの、キレイに丸みを帯びたぷるんぷるんの尻に。
 僕はその尻を丁寧に持った。そしてその尻をやわやわと揉む。

「あっ……」

 柔らかくて気持ちいい。でもそれだけじゃなくて……。

「こ、ここはどうなってるのかな……」

 僕はどきどきしながら尻をくぱぁと広げ、とてもオナホとは思えない尻穴を凝視した。うん、慎ましくつぼんでいる。
 僕は試しにその尻穴を指先で撫でてみた。

「あっ……」

 途端、僕の尻穴に甘やかな感覚が走った。そう、目の前にあるこれは僕の尻なのである。何を言っているのかわからないと思うが、そうなのだ。

「な、中もいじってみないとね……」

 僕は香油を出し、指先に絡めた。そしてつぷ……とオナホの尻穴に入れ……。

「ああんっ……!」

 なんか、僕の尻穴に入ってきてる。僕は崩れ落ちそうになる腰をどうにか留めて、オナホをいじった。が、指を二本根元まで入れた時点で降参した。だめ、気持ちよすぎる。

「ふう……」

 自分で決めた合言葉でオナホを解除すると、僕はずるずるとその場に崩れ落ちた。

「……魔法師団長に見せなきゃ……」

 自分の欲望で開発したオナホだが、一度は魔法師団長に見せなければならない。もしかしたら開発費も出してくれるかもしれないし。
 僕はどうにかして立ち上がると、今使ったオナホとあと二本作った物を掴んで魔法師団長を探しにいくことにした。

 
 今日は珍しく魔法師団長はすぐに見つかった。団長室にいたのである。

「魔法師団長! 新製品を開発しました! 是非ご覧になってください!」
「ヤーナ? 新製品だって? 今回のはどういう方向性のものなんだい?」

 ローブをすっぽりと被った魔法師団長はいつもスッと通った鼻と口元しか見えない。どうやっても目だけは見えないという不思議な方である。
 それはともかく。

「性生活を豊かにしてくれる魔道具です!」
「そっか。わかった。じゃあ見せてごらん」
「団長……」

 すぐ隣に控えていた副団長がこめかみに指を当てて軽く頭を振る。別に何もおかしなことは言ってないと思うんだけど、副団長は真面目だからいろいろあるのかもしれない。たいへんだなぁって思った。

「はい! こちらです!」

 ババン! と音がするように布に包んだ二本の筒を見せた。

「んー? これはオナホール?」
「はい!」
「あああああ……」

 団長が首を傾げた。確かにただのオナホールにしか見えないかもしれない。僕はニヤリとした。副団長がうるさいけど気にしないことにする。

「ただのオナホールではありません! 団長、このオナホは使用者の魔力を通すことでよりステキな使い方ができるのです!」
「ふうん?」
「あ、魔力を流す前に、魔法を解除する為の合言葉を決めてください。している最中にうっかり解除しないような合言葉がいいですね」
「使っていいの?」
「はい、どうぞ! もしよければ副団長もどうぞ!」
「……見てからにするよ……」

 副団長は団長が使用してからにするようだ。賢明といえば賢明である。

「合言葉って他の誰かに聞かれない方がいいんだよね?」
「はい。”合言葉はなになに~”で登録できますので、囁き声でも登録は可能です」
「わかった」

 団長はためらいもせず手に取ったオナホにこしょこしょと何事かを言って合言葉を設定した。

「で、魔力を流すんだっけ?」
「はい!」

 団長のお尻ってどうなってんのかな? ちょっと興味がある。
 団長が魔力を流した途端、手の中のオナホが弾けて、ぷりんとしたお尻になった。

「わあ……」
「これは魔力を流した人のお尻になるオナホです。感触も自分のお尻に伝わりますので是非確認してみてください」
「へえ~。意外と私の尻ってキレイなんだね~。あ、昨日掻いた痕もある~。うん、なんか触られてる感あるね~」

 なかなか団長には高評価なようだ。

「な、なななんて破廉恥なっ!」

 副団長が何故か真っ赤になった。

「えー? ハレンチじゃないよ。私の尻だよ。汚い?」
「キレイですから問題なんです!」
「えー? 意味わかんない。ヤーナ、これって尻穴の中も自分と繋がってんの?」
「はい。僕の指を根元まで入れまして、そこまでは十分感じました」
「ふうん……面白いね。いくらかかった?」
「団長!」
「うるさいよ。検証は必要だけどこれけっこう使えると思う。開発費、費用によっては全額は難しいかもしれないけどある程度までは出すよ」
「ありがとうございます!」

 結局かかった開発費の全額をいただき、僕はほくほくして研究室に戻った。副団長が苦虫を噛み潰したような顔をしていたけど無視した。前の副団長はそこんとこあんまりうるさく言わなかったのにな~。
 ともかくこれから僕の部屋でオナホの研究である。使用感のレポートも求められてるんだよね。うーん、これって他の人にも手伝ってもらった方がいいのかな?
 でもまずは僕自身で使ってみることにした。うきうきである。



ーーーーー
短編の予定なんだが何故プロローグで2000字を越えているのか(謎
そして相変わらず作者の頭はおかしいです(自覚あり
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