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21.お昼ごはんとひなたぼっこ

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 キールの膝の上に乗せられて昼ごはんを食べた。
 なんでそんなにキールも俺に触れていたいんだろうと不思議に思う。村ではキレイだキレイだと言われていたが、そんなものは何の役にも立たないと思った。村の外から来た者に何度か襲われかけたから余計にそう思う。俺はまだ魔法が使えるからそれで何度も撃退したが、みな言い訳は決まって俺が誘ったとか勝手なことを言っていた。誘ったことなんか一度もない。
 俺は自分の容姿が決して好きではない。本当はウイみたいな優しげな顔がよかった。
 おいしいごはんをいただきながら、俺は無意識にため息をついた。

「どうしましたか? 口に合わないものでも?」
「え? ううん……どれもおいしい、デス」

 せっかくのごはんなのにもったいないことをしたなと反省した。どれも食べやすい大きさに切られているから、俺のことを考えて作られていることがわかる。調理している人はどんな鬼なんだろうとちょっとだけ興味が湧いた。

「この料理を作っている人って、どんな人なんだろう……」
「料理と食べることしか考えていない者です」

 リーが即答した。

「そう、なんだ。そういう人もいるんだな」
「私共鬼は性欲が強いのですが、中には変わり者もおります」
「そ、そう……」

 やっぱり性欲強いんだ、と顔に熱が上がるのを感じた。恥ずかしいけど好奇心の方が勝ってしまい、ついこんなことを聞いてしまった。

「お、俺のこと……触ってるだけで、その……大丈夫なのか?」

 鬼たちが目を見開いた。

「ジュン様、まだ受け入れられないのにそんなことを言ってはいけません。天使になられたら嫌でもたくさん可愛がられますから大丈夫です」
「……平気、ではないです」
「……触手細くしたらイケますかね」
「性欲処理は一応……今はおっぱい」

 リー、ワンド、クドがそれぞれ律儀に答えた。全身が熱くなった。もう、俺ってばなんてことを聞いてるんだよっ。

「ご、ごめんなさい……今のは、その……」
「天使になられたらいっぱいおまんこしてもらいましょうね?」

 キールがエロいことばっかり言う。顔の表情がほとんど動かないくせに言うことがエロすぎてやだ。

「もう、言わないっ!」

 振り向いてキールの口を手で塞いだら指をぺろりと舐められた。

「ひゃあっ!?」
「……なんでしょうね、この愛らしさは。今すぐ抱きたくなりますが……私のイチモツはカヤテ殿のよりもでかいのですよ。いろいろな血が混じってはいますが細くすることはできませんし。悩ましいです」

 きつく抱きしめられて、口元でそんなことを言われて泣きそうになる。エロい、ずっとエロくて困ってしまう。

「少し、気分転換しましょうか」

 キールに言われて俺は首を傾げた。

「気分転換?」
「ジュン様を部屋から出してもかまいせんか? できれば陽が当たるところがあるといいのですが」
「ご案内します」

 俺はキールの腕に抱かれたまま、リーの案内で部屋の外へ出た。一応森の木々を切った場所があるらしく、そこへ連れて行かれた。

「長の奥様もたまにこちらで陽を浴びていらっしゃいます」
「そう、なんだ。ありがとう……」

 キレイにした切株にキールが腰掛けた。太陽の光が気持ちいい。そういえばたまには浴びなきゃいけないって言われてた気がする。俺たちの村は森の浅いところにあったから日の光を全く浴びない日はなかったのだけど、ここは森が深いから木を切らないと陽を浴びる場所も確保できないのだろう。あんまり気持ちよくてキールの腕の中でうとうとしてしまった。
 キールは俺の頬を優しく撫で、そのまましばらく抱いていてくれた。
 目が覚めたらリーが水をくれたので飲み、また部屋に戻った。
 こちらに来てから驚くことばかりだ。鬼は確かにみな怖い顔をしているし、がたいも大きくて全体的にがっしりしている。角も生えているし、肌も灰色がかっていて俺とは全然違うと思う。……でも触れる手はひどく優しくて……。
 俺はリーの、尻穴を舐める舌の動きを思い出して熱が上がるのを感じた。

「……カヤテは、戻ってくるの、かな……」
「どうなのでしょう?」

 キールがリーたちを見やった。

「遅くとも夜には戻られるかと」
「そう、なんだ」

 ほっとした。あんなにぐるぐる巻きにされて川に放り込むと言っていたから少し心配してしまった。さすがに本当に川に放り込んだわけではないのだろう。もしくは放り込んだとしてもそんなに大きくない川なのだろうと思った。
 だけどキールの問いによってそんな甘い考えは覆された。

「この辺りの川、というとあの濁流ですよね。川幅が広すぎてかなり上流に行かないと渡れないという……。上流に投げてきたのですか?」
「まさか!」
「一番流れが速いところですので」
「それなりに川幅も深さもあります」

 リー、ワンド、クドがなんてことないようにそんな恐ろしいことを言った。

「ええ……」

 それは大丈夫ではない気がする。

「カヤテ殿はじょうぶなのですね」
「はい。よく長の逆鱗に触れては川に放り込まれていますがいつも魚を大量に抱えて帰ってこられます」
「ジュン様、それなら安心ですね」
「え、えええ……」

 キールの口が笑みの形になった。でもそれは安心というのだろうか。やっぱり鬼って怖いと涙目になった。
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