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70.智紀、少しだけ将来のことを考える
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全く、新年早々誰かに難癖をつけたりするのはやめてほしい。
うちの学校治安悪すぎじゃね? 山奥で娯楽もないから不満はあるんだろうけど、だからって誰かに迷惑かけちゃだめだろ。(問題児も放り込まれるからねーなんて嵐山さんは言ってたけど、そういう問題じゃないと思う)
しかも雪が降った次の日だってのに。歩きづらくて散々だ。絡まれていた少年は俺らと同じ一年生だった。たまたま二年の生徒に絡まれている生徒がいたから先生を呼んだら逆恨みをされたという。
「しょーもな……」
くちゅんっとくしゃみをした少年の服を直してやり、急いで寮へ戻った。嵐山さんにも後は任せてと言われたから、ピー太たちにはもういいよと言って戻ってもらった。村西は稲村と一緒に、鳥たちに餌をあげに行ってくれるという。ついでに暖房がきちんと機能しているか見てくれるそうだ。
みんなに助けられてるなとしみじみ思ったんだけど、稲村には怒られてしまった。
「トモ君は確かに部長なんだけど、僕たちだって副部長なんだからね。できることはみんなでやるのが基本だよっ!」
「ああ、うん……」
「だからトモ君がそんなに感謝する必要はないんだよー」
でもありがたいと思って悪いなんてことはないだろ?
「ううう……トモ君てば人がよすぎるよー」
稲村がそんなことを言っていた。別に人がよすぎるなんてことは絶対にないと思う。
さて、三が日を過ぎたら藤沢先輩が戻ってきて、ピースケを回収していった。ご両親にインコを一羽引き取るという話をしたらしい。野生で逞しいけどとても懐いてくれるのだと話したら、是非連れてきなさいと言われたのだという。
「だが……この山なら自由に飛ばしてあげることもできるが、うちではそうもいかないのが難点だな」
藤沢先輩も住環境については悩ましいと思っているみたいだった。
だからといって放し飼いのようなことをするつもりはないという。
「寒さ暑さを考えたらこの山の暮らしは過酷だけど、鳥たちの目があるからインコがこうやって飛んでても襲われることはない。だが町ではそうもいかないからな」
確かにカラスや他の動物に襲われる危険性はある。だからインコとか飼っても外に出さないんだもんな。外は危険でいっぱいだ。
だってインコはどうしたって小さいし。
「そうですね。卒業時に一緒に連れ帰るんですか?」
「ああ、そのつもりだ。ピースケにも一応話してはいる」
藤沢先輩のことだ。ちゃんと幸せにしてくれるだろう。
「卒業後は一旦実家に帰るが、その後は河野と下宿することになっているからな。ペット可物件も無事見つかりそうだ」
「えっ? 河野先輩と下宿って……」
「同じ大学ではないが、河野も上京するからな」
「そうなんですか」
上京って、なんか古風な表現だなと思った。ってまぁ普通に言うか。
ひょろ長三人組の先輩たちも、帰省から戻ってきてからは見回りをしてくれた。寒いせいかなかなか雪が溶けなくてみんなして何度も滑った。でも枝に留まろうとしたカケスが一回滑ったのを見てから、あることなんだなと思った。(カケスには見ていたことを気づかれてつつかれた。ひどいと思う)
そんなことをしている間に冬休みは終わった。
冬休みってやっぱ短いよな。
さて、稲村は冬休みの間は比較的快適に過ごせたらしいが、ルームメイトが戻ってきてからは部屋に居づらい生活に逆戻りしたらしい。
悪いけど点呼まで部屋にいさせてほしいと稲村に言われ、村西もかまわないということで一緒に過ごしている。
「文句とか言えねーの?」
「うーん……気持ちがわかるだけにあんまり言いたくないから、部屋替えの希望はしてるかなー」
「? そっか、たいへんだな」
「そーなんだよたいへんなんだよー、トモ君癒してー!」
「だー! くっつくなー!」
なんか最近稲村がやけにくっついてくる気がする。ピー太がピピッ! と鳴いて稲村の背をつんつんと軽くつっついた。
「ピー太君、痛いよー」
そう言いながら稲村は笑っているが俺にくっついて離れない。
「稲村、止めておけ」
「えー?」
村西がやっと稲村を俺からベリッと引き剥がしてくれた。ちょっとスキンシップが多いんだよな。
「村西、ありがと。ピー太、つついちゃだめだろ?」
ピー太は俺の腕に留まった。
「ピータッ、トモーノリー! イッショー!」
「うんうん、俺達は一緒だよな~」
一緒とか言ってくれるのめちゃくちゃかわいくて、ついデレデレしてしまう。ピー太がすりすりしてくれるのがすっごくかわいい。
「うーん……ピー太君にはかなわないよねー。っていてっ、ピーコちゃんつつかないで~」
稲村は、今度はピーコにつつかれていた。まぁ楽しそうだからいいけどな。
さて、もう三学期である。
毎朝足元が凍ってるから危険だ。行きは下り坂だから気を付けるしかない。森林管理部がダンボールでソリみたいなのを作って滑っていたけど、凍ってないところでは止まるから悩んでいた。つか、危ないだろーが。
そんなかんじで新学期が始まったのだった。
うちの学校治安悪すぎじゃね? 山奥で娯楽もないから不満はあるんだろうけど、だからって誰かに迷惑かけちゃだめだろ。(問題児も放り込まれるからねーなんて嵐山さんは言ってたけど、そういう問題じゃないと思う)
しかも雪が降った次の日だってのに。歩きづらくて散々だ。絡まれていた少年は俺らと同じ一年生だった。たまたま二年の生徒に絡まれている生徒がいたから先生を呼んだら逆恨みをされたという。
「しょーもな……」
くちゅんっとくしゃみをした少年の服を直してやり、急いで寮へ戻った。嵐山さんにも後は任せてと言われたから、ピー太たちにはもういいよと言って戻ってもらった。村西は稲村と一緒に、鳥たちに餌をあげに行ってくれるという。ついでに暖房がきちんと機能しているか見てくれるそうだ。
みんなに助けられてるなとしみじみ思ったんだけど、稲村には怒られてしまった。
「トモ君は確かに部長なんだけど、僕たちだって副部長なんだからね。できることはみんなでやるのが基本だよっ!」
「ああ、うん……」
「だからトモ君がそんなに感謝する必要はないんだよー」
でもありがたいと思って悪いなんてことはないだろ?
「ううう……トモ君てば人がよすぎるよー」
稲村がそんなことを言っていた。別に人がよすぎるなんてことは絶対にないと思う。
さて、三が日を過ぎたら藤沢先輩が戻ってきて、ピースケを回収していった。ご両親にインコを一羽引き取るという話をしたらしい。野生で逞しいけどとても懐いてくれるのだと話したら、是非連れてきなさいと言われたのだという。
「だが……この山なら自由に飛ばしてあげることもできるが、うちではそうもいかないのが難点だな」
藤沢先輩も住環境については悩ましいと思っているみたいだった。
だからといって放し飼いのようなことをするつもりはないという。
「寒さ暑さを考えたらこの山の暮らしは過酷だけど、鳥たちの目があるからインコがこうやって飛んでても襲われることはない。だが町ではそうもいかないからな」
確かにカラスや他の動物に襲われる危険性はある。だからインコとか飼っても外に出さないんだもんな。外は危険でいっぱいだ。
だってインコはどうしたって小さいし。
「そうですね。卒業時に一緒に連れ帰るんですか?」
「ああ、そのつもりだ。ピースケにも一応話してはいる」
藤沢先輩のことだ。ちゃんと幸せにしてくれるだろう。
「卒業後は一旦実家に帰るが、その後は河野と下宿することになっているからな。ペット可物件も無事見つかりそうだ」
「えっ? 河野先輩と下宿って……」
「同じ大学ではないが、河野も上京するからな」
「そうなんですか」
上京って、なんか古風な表現だなと思った。ってまぁ普通に言うか。
ひょろ長三人組の先輩たちも、帰省から戻ってきてからは見回りをしてくれた。寒いせいかなかなか雪が溶けなくてみんなして何度も滑った。でも枝に留まろうとしたカケスが一回滑ったのを見てから、あることなんだなと思った。(カケスには見ていたことを気づかれてつつかれた。ひどいと思う)
そんなことをしている間に冬休みは終わった。
冬休みってやっぱ短いよな。
さて、稲村は冬休みの間は比較的快適に過ごせたらしいが、ルームメイトが戻ってきてからは部屋に居づらい生活に逆戻りしたらしい。
悪いけど点呼まで部屋にいさせてほしいと稲村に言われ、村西もかまわないということで一緒に過ごしている。
「文句とか言えねーの?」
「うーん……気持ちがわかるだけにあんまり言いたくないから、部屋替えの希望はしてるかなー」
「? そっか、たいへんだな」
「そーなんだよたいへんなんだよー、トモ君癒してー!」
「だー! くっつくなー!」
なんか最近稲村がやけにくっついてくる気がする。ピー太がピピッ! と鳴いて稲村の背をつんつんと軽くつっついた。
「ピー太君、痛いよー」
そう言いながら稲村は笑っているが俺にくっついて離れない。
「稲村、止めておけ」
「えー?」
村西がやっと稲村を俺からベリッと引き剥がしてくれた。ちょっとスキンシップが多いんだよな。
「村西、ありがと。ピー太、つついちゃだめだろ?」
ピー太は俺の腕に留まった。
「ピータッ、トモーノリー! イッショー!」
「うんうん、俺達は一緒だよな~」
一緒とか言ってくれるのめちゃくちゃかわいくて、ついデレデレしてしまう。ピー太がすりすりしてくれるのがすっごくかわいい。
「うーん……ピー太君にはかなわないよねー。っていてっ、ピーコちゃんつつかないで~」
稲村は、今度はピーコにつつかれていた。まぁ楽しそうだからいいけどな。
さて、もう三学期である。
毎朝足元が凍ってるから危険だ。行きは下り坂だから気を付けるしかない。森林管理部がダンボールでソリみたいなのを作って滑っていたけど、凍ってないところでは止まるから悩んでいた。つか、危ないだろーが。
そんなかんじで新学期が始まったのだった。
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