野良インコと元飼主~山で高校生活送ります~

浅葱

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37.ピー太、張り切ってパトロールす

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 タカであるユーリは、トビー(飛山)と一緒にトモノリたちが住んでいるリョウとかいう建物の四階に暮らすことになったようだ。
 オレサマはトモノリと暮らしたくないのかって? 一緒にいたいことはいたいがオレサマは自由に飛び回りたいからそこは妥協する。
 ユーリは基本的にトビーの言うことを聞かなければならないらしく、それは窮屈そうだ。ユーリがそれでいいならいいのだろう。
 オレサマはまた立派な小屋も作ってもらえたことだし、人で言うところの「ぷらいばしー」なるものも大事である。あんまりよくわからないがそんなことはどうでもいいのだ。
 ユーリはなかなかに生意気である。
 オレサマがトモノリに付いていこうとしたら止めたりするのだ。
 何故だと睨めば帰り道がわからなくなるからだという。
 ムムムと悩んだ。
 確かにオレサマはトモノリの家に帰りつくことができなかった。
 だがトモノリが向かうところへ共に行かなければ、トモノリに何かあった時助けてやることができないではないか。
 ユーリは引かなかった。トモノリには頼りになる仲間がいるではないかと。
 しかたなくオレサマは引き下がった。
 駄々をこねるのは子どものすることだ。
 トモノリを気にしながら校舎の周りを飛んでいたせいか、校舎の裏で小柄な者が三人のでかい者によって追い詰められている場面を見つけた。
 懲りない奴らめ!
 ピピーッ、ピーッ!
 近くにいたカケスと共に急行し、その背をつつきまくってやった。

「うわぁっ!」
「暴力鳥めっ!」
「ママに言いつけてやるっ!」

 怪我をしないようにわざわざ制服の上からつついてやっているのだから感謝してもらいたいものだ。

「あ……ありがとう……」

 追い詰められていた小柄な者は泣きそうになっていた。でかい者たちは捨て台詞を残して走っていった。
 カケスと顔を見合わせた。
 ママってなんだ?
 カケスがコキャッと首を傾げた。
 相変わらず意味がわからない言葉が多くて困るが、おいおい学んでいけばいいだろう。

「鳥さん、ありがとうございます」
「ピータ!」

 小柄な者に礼を言われたので名乗っておいた。

「僕は、一年の今井って言います。ピータさん、ありがとうございました! よろしくお願いします!」

 頭を下げられてしまった。
 またオレサマはファンを増やしてしまったらしい。フッ、罪なオスである。
 カケスが呆れている気がするが、うむ、気のせいに違いない。
 大体春から夏にかけてこういう光景を目にするのだが、それ以降はかなり減る。いましばらく見回りを強化するべきだろう。
 トモノリが戻ってくるまでオレサマはカケスと共に学校の周囲を見回りしたのだった。


 雨が降る季節は困る。
 トモノリが学校や住んでいる建物の周りの草を抜いたりしていた。これを抜くと抜かないとでは建物の持ちが違うとかなんとか聞いたが、意味はわからなかった。
 人にもいろいろあるのだろう。
 身長がどうのこうのとイナと言い合っていたみたいだが、トモノリはちっちゃくてもオレサマの大事なトモノリであることに変わりはない。安心して守られているといいと思うのだ。
 雨が降る時期が終われば暑い季節がやってくる。食べ物は豊富だが虫も多くて飛ぶのに邪魔な季節だ。
 そういえばここの者たちは夏はあらかたいなくなってしまうのだが、トモノリはどうするのだろう。

「暑いっつっても山は涼しい方だよなー。ピー太、俺夏休みはずっと寮にいるからなー」
「僕も残るよー」
「俺も残る」

 トモノリとイナとニシも夏の間ここにいるらしいと知り、嬉しくなった。
 寂しいということはないが、トモノリがいてくれればとっても楽しくなるだろう。その仲間たちもいるというなら猶更だ。
 ちょっとイナの、トモノリを見る目に違うものを感じるが、今のところはまだいいだろう。

「トモーノリー、スキー!」
「ああ、俺もピー太が大好きだぞー」
「らぶらぶだー」

 イナが茶化していたが、本当のことなのだからかまわない。トモノリに何かしようとしたら許さないがな。
 暑い季節がますます好きになったオレサマだった。
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