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18.智紀、生徒会室へ向かう
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小屋を作る為のパーツ(釘とか蝶番とか)とか、生物管理部として持っていたい工具一式。それから生き物が負傷していた時の救急箱など必要そうな物を上げたらきりがなかった。
冬は寒さ対策もしてあげないといけないだろうしと思ったら、予算申請の金額は五万円を超えてしまった。
「えーと……生徒会に予算って、こんなに残ってるものなんですか……?」
さすがに蒼褪めた。
「そこは聞いてみなくちゃわからないかな~」
何故だか知らないけど、俺は勝手に生物管理部の部長にされてしまった。副部長は稲村と村西である。
先輩たちは!? と聞いたら、
「……実は……」
「僕たちは……」
「……人見知りなので……」
と言ってススス……と逃げてしまった。逃げ足だけは早い先輩たちである。
くそう。
「嵐山さんは?」
「僕は理事長だから遠慮するよー」
「えー」
「だって僕が一緒に行ったら職権乱用になっちゃうでしょ」
「……部活の成立には顧問が必要じゃありませんでしたっけ?」
稲村が思い出したように言う。嵐山さんは目を丸くした。
「そうだそうだ。確かに発足の件に関しては僕も一緒に行かないとだね! 稲村君、思い出してくれてありがとう! じゃあ行こうか!」
そういえばいつのまにか活動はしてたけど、発足したってのはまだ生徒会に届出出してなかったな。
みんなして今頃思い出すとかなにごと?
顧問は嵐山さんになるので、書類をどうにか作って生徒会室に向かうこととなった。
そういった作業は全部放課後で、いつのまにか四月も下旬になっていた。新緑がなかなか目に優しい。作業は寮の四階でやっていたので、階段を下りて寮の外へ出た。
ピー、ピピッ! と鳴き声がして、ピー太が飛んできた。いったいどこで見てるんだろうなぁ。
相変わらず俺の頭の上に留まる。何回言ってもまず頭の上に留まるのだから困ったものだ。
「ピー太、今日は生徒会室へ行くから一緒にいられないんだよ」
「別に連れて行ってもいいんじゃないか?」
「え?」
村西がぼそっと言う。そんな村西は俺よりはるかにでかいのに、ピー太からは少し距離を置いていた。別にピー太が嫌なわけではなく、身体が条件反射で避けるのだそうだ。小さい頃にカラスにつつかれたことがあるらしい。
それは確かに怖いよなと思ったので、村西の反応は気にしないようにしている。
むしろ、無理そうなら言ってくれとも言ってある。寂しいけど部屋替えを検討してもいい。だってピー太はほぼ毎日俺と一緒にいるのだから。
「でも生徒会室に行くんだぞ?」
「ピー太たちの為に発足した部だろ? 直接見せた方が早いだろ」
「それは確かに……」
ピーッ、ピピッ! とまた鳴き声がした。こちらの方がピー太よりも高い音に聞こえた。
「あ、ピーコちゃんだ~」
オカメインコではなくセキセイインコのピーコがバサバサッと音を立てて稲村の肩に留まった。ピーコもピー太の仲間である。
手には乗らないが、頭とか肩、腕には留まってきたりする。村西の胸に飛んできたこともあり、その時は村西が固まっていた。
小さくてもだめらしい。
つーか、いきなりなんか飛んできたらその時点でびっくりするか。
「ピーコちゃんも一緒に生徒会室行くー?」
稲村が聞いている。ピーコはコキャッと首を傾げた。うん、かわいい。
ピー太は俺の腕に移動した。そして俺を見ながらピーコと同じようにコキャッと首を傾げた。
「ピー太もかわいいなぁ、もう……」
「ほらほら~、時間ないから行くよー」
嵐山さんに促されて、俺たちはそのまま学校へ移動する。
生徒会室は二階にあった。
「こんにちはー。部を発足したので書類の提出に来ましたー!」
コンコンとノックをして中に声をかけた。
「はーい?」
声がして出てきたのは、スラリとしたいで立ちの先輩だった。うわあ、スタイルよくてカッコイイ。なんかムカつく。背も高いし。
「どちらさま?」
「あ! はい、一年二組の大林智紀といいます! これはピー太です!」
先輩は目を丸くした。
俺、いったい今何言った? なんでピー太まで紹介してるんだ? 他に言うことあるだろ?
「ああうん、大林君、ピー太君、こんにちは。部を発足したの?」
「はい! これが書類です!」
慌てて生物管理部の申請書を提出する。俺が両腕を前にバッと出したから、ピー太がバサバサッと飛んで俺の頭に乗った。
……おい。
「はい。僕は三年の河野です。今のところはまだ生徒会副会長をしているからよろしくね。大林君が部長なのか。で、ピー太君は部員?」
「い、いえ、違います……」
スタイル抜群の先輩は河野というらしい。生徒会副会長なのか。
「部員が六名ね。ピー太君や山の生き物たちのお世話とか管理か。確かに必要だね。顧問が理事長なら安心安心。受理するよ」
「ありがとうございます!」
生物管理部の発足はあっけなく決まった。
「副部長の稲村です。部費の申請をしてもよろしいですか?」
俺が一歩下がり、稲村に変わる。
「いいけど……そんなに予算残ってないから今出されても通るかわからないかなぁ。智也、ちょっと来て」
河野先輩は生徒会室の中に声をかけた。
「なんだ?」
出てきたのは河野先輩と同じぐらいの背丈の先輩だった。二人揃うとそれなりに圧迫感がある。河野先輩がオシャレというなら、こちらは生真面目という印象である。眼鏡をかけているからそう見えるのかもしれない。
「新しい部だって。予算申請の書類をもらったんだけど」
「……そんなものは却下だ」
眼鏡の先輩は書類を一瞥すると、そう言った。
えええと思った。
ーーーーー
生徒会の会長や副会長は秋の生徒総会で選挙があるので、今のところは三年の河野君が副会長なのです~
冬は寒さ対策もしてあげないといけないだろうしと思ったら、予算申請の金額は五万円を超えてしまった。
「えーと……生徒会に予算って、こんなに残ってるものなんですか……?」
さすがに蒼褪めた。
「そこは聞いてみなくちゃわからないかな~」
何故だか知らないけど、俺は勝手に生物管理部の部長にされてしまった。副部長は稲村と村西である。
先輩たちは!? と聞いたら、
「……実は……」
「僕たちは……」
「……人見知りなので……」
と言ってススス……と逃げてしまった。逃げ足だけは早い先輩たちである。
くそう。
「嵐山さんは?」
「僕は理事長だから遠慮するよー」
「えー」
「だって僕が一緒に行ったら職権乱用になっちゃうでしょ」
「……部活の成立には顧問が必要じゃありませんでしたっけ?」
稲村が思い出したように言う。嵐山さんは目を丸くした。
「そうだそうだ。確かに発足の件に関しては僕も一緒に行かないとだね! 稲村君、思い出してくれてありがとう! じゃあ行こうか!」
そういえばいつのまにか活動はしてたけど、発足したってのはまだ生徒会に届出出してなかったな。
みんなして今頃思い出すとかなにごと?
顧問は嵐山さんになるので、書類をどうにか作って生徒会室に向かうこととなった。
そういった作業は全部放課後で、いつのまにか四月も下旬になっていた。新緑がなかなか目に優しい。作業は寮の四階でやっていたので、階段を下りて寮の外へ出た。
ピー、ピピッ! と鳴き声がして、ピー太が飛んできた。いったいどこで見てるんだろうなぁ。
相変わらず俺の頭の上に留まる。何回言ってもまず頭の上に留まるのだから困ったものだ。
「ピー太、今日は生徒会室へ行くから一緒にいられないんだよ」
「別に連れて行ってもいいんじゃないか?」
「え?」
村西がぼそっと言う。そんな村西は俺よりはるかにでかいのに、ピー太からは少し距離を置いていた。別にピー太が嫌なわけではなく、身体が条件反射で避けるのだそうだ。小さい頃にカラスにつつかれたことがあるらしい。
それは確かに怖いよなと思ったので、村西の反応は気にしないようにしている。
むしろ、無理そうなら言ってくれとも言ってある。寂しいけど部屋替えを検討してもいい。だってピー太はほぼ毎日俺と一緒にいるのだから。
「でも生徒会室に行くんだぞ?」
「ピー太たちの為に発足した部だろ? 直接見せた方が早いだろ」
「それは確かに……」
ピーッ、ピピッ! とまた鳴き声がした。こちらの方がピー太よりも高い音に聞こえた。
「あ、ピーコちゃんだ~」
オカメインコではなくセキセイインコのピーコがバサバサッと音を立てて稲村の肩に留まった。ピーコもピー太の仲間である。
手には乗らないが、頭とか肩、腕には留まってきたりする。村西の胸に飛んできたこともあり、その時は村西が固まっていた。
小さくてもだめらしい。
つーか、いきなりなんか飛んできたらその時点でびっくりするか。
「ピーコちゃんも一緒に生徒会室行くー?」
稲村が聞いている。ピーコはコキャッと首を傾げた。うん、かわいい。
ピー太は俺の腕に移動した。そして俺を見ながらピーコと同じようにコキャッと首を傾げた。
「ピー太もかわいいなぁ、もう……」
「ほらほら~、時間ないから行くよー」
嵐山さんに促されて、俺たちはそのまま学校へ移動する。
生徒会室は二階にあった。
「こんにちはー。部を発足したので書類の提出に来ましたー!」
コンコンとノックをして中に声をかけた。
「はーい?」
声がして出てきたのは、スラリとしたいで立ちの先輩だった。うわあ、スタイルよくてカッコイイ。なんかムカつく。背も高いし。
「どちらさま?」
「あ! はい、一年二組の大林智紀といいます! これはピー太です!」
先輩は目を丸くした。
俺、いったい今何言った? なんでピー太まで紹介してるんだ? 他に言うことあるだろ?
「ああうん、大林君、ピー太君、こんにちは。部を発足したの?」
「はい! これが書類です!」
慌てて生物管理部の申請書を提出する。俺が両腕を前にバッと出したから、ピー太がバサバサッと飛んで俺の頭に乗った。
……おい。
「はい。僕は三年の河野です。今のところはまだ生徒会副会長をしているからよろしくね。大林君が部長なのか。で、ピー太君は部員?」
「い、いえ、違います……」
スタイル抜群の先輩は河野というらしい。生徒会副会長なのか。
「部員が六名ね。ピー太君や山の生き物たちのお世話とか管理か。確かに必要だね。顧問が理事長なら安心安心。受理するよ」
「ありがとうございます!」
生物管理部の発足はあっけなく決まった。
「副部長の稲村です。部費の申請をしてもよろしいですか?」
俺が一歩下がり、稲村に変わる。
「いいけど……そんなに予算残ってないから今出されても通るかわからないかなぁ。智也、ちょっと来て」
河野先輩は生徒会室の中に声をかけた。
「なんだ?」
出てきたのは河野先輩と同じぐらいの背丈の先輩だった。二人揃うとそれなりに圧迫感がある。河野先輩がオシャレというなら、こちらは生真面目という印象である。眼鏡をかけているからそう見えるのかもしれない。
「新しい部だって。予算申請の書類をもらったんだけど」
「……そんなものは却下だ」
眼鏡の先輩は書類を一瞥すると、そう言った。
えええと思った。
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生徒会の会長や副会長は秋の生徒総会で選挙があるので、今のところは三年の河野君が副会長なのです~
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