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17.智紀、部活にてお金の話をす
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フクロウの小屋を作るのには思ったより時間がかかった。
薪を森林管理部から提供してもらい、まずはそれをノコギリで薄く切る作業からしてたいへんだった。電ノコが技術室にあるからとそれを借りたり、フクロウの頭の大きさを測らせてもらったりなんてしていたら(意外と小さくても入るものだ。羽毛が多いんだろうな)、でき上がるまでに五日ぐらいかかった。
小屋づくりって意外とたいへんなんだな。
慣れない作業だったというのと放課後それほど時間がなかったというのも関係はしていると思う。
もし次に小屋を作ることがあればもっと時間は短縮できるだろう。
でもフクロウって基本広い縄張りを持ってるものだから、他のフクロウの小屋を作るなんて機会はなかなかやってこないだろうな。
「予算がないのが問題だよね~。あれもこれもしてあげたいとか調査したいとかあるけどさ。僕のポケットマネーから出すのは違うだろうし……」
嵐山さんが寮の4階の会議室の椅子に乗ったままくるくる回って言う。目が回らないんだろうか、あれ。
「嵐山さん、僕も回っていいですかー?」
稲村が挙手して聞く。
「いいよー」
「わーい!」
子どもかと言うなかれ。けっこう回ってみたいものなのだ。先輩たちも控えめにだが回っていた。回らなかったのは村西ぐらいである。裏切り者め。
ぐるんぐるん回していたせいか目が回った。俺はバカ者みたいである。
「目ぇ、回った……」
「調子に乗りすぎだな。部費の予算は生徒会でしたか」
村西が冷静に聞く。
「そうだよー。生徒会が自治を担ってるから、けっこう厳しいんだけどね。でもピー太君たちの成果は見てるはずだし、これぐらい必要ってのを書いて出せば少しは部費が下りるんじゃないかと思うんだけど」
嵐山さんが気軽に言う。
でもそれってけっこうたいへんなことじゃないかなと思った。
だって一年間に必要な予算をこっちで考えないといけないってことだろ?
全くノウハウがないのにやっていけるんだろうか。
「嵐山さん、今までピー太たちにかかってたお金って……」
「僕のポケットマネーから出したよ~。でも何かやる時は僕一人でだったからいろいろ時間かかってたいへんだったんだよね。森林管理の越野君とかはたまに手伝ってくれたんだけどさ」
越野先輩はいい人らしい。その他にも森林管理部の先輩や山大好き部の先輩たちが見るに見かねて手伝ってくれたりもしたという。
うちのピー太がすみません、と思ったけど、俺は知らなかったわけだし。どういう顔をしたらいいのかわからなかった。
「虫大好き部とかは手伝ってくれなかったんですかー?」
稲村が疑問を口にした。
「うーん。むしろ虫大好き部からは目の敵にされてるかな~。鳥って基本虫を食べたりするしね」
「え? インコって穀物食じゃないんですか?」
「野生のインコは虫を食べたりもするそうだよ」
それは知らなかった。あ、でもピー太はオカメインコと呼ばれているだけでオウムの一種なんだっけ? オウムって虫を食べるんだろうか。(注:オカメインコは穀食と言われています)
「野生だと……」
「栄養を取る為に……」
「……なんでも食べるかも……」
どうしてうちの先輩たちはこんなに息ぴったりなんだろうか。つい、金子先輩、小原先輩と益子先輩を見てしまった。
「そっか……野生だと食べる物選んでられないもんな」
「そういうこともあるかもしれないね。冬は食べ物を探すのがたいへんそうだから餌も買ってたよ」
「おおお……」
さすが理事長。太っ腹だ。
つーかピー太ってば運よすぎじゃね?
「ってことはー、その餌代も生徒会の予算で賄うことになるんですかー?」
稲村が手を上げて尋ねた。
あ、そっか。部活ってことはそうなるのか。
「できればそれが望ましいけど、基本消耗品は生徒会の予算からは使わないことになってる。だからこれまで通り僕が払うよ」
内心ほっとした。餌代となると、ピー太の分だけというわけにはいかないだろうし。
「そうなるとまずは必要な物品のリスト作成と価格の検索ですか」
村西が難しそうな顔をした。みんななんか俺より賢いから、買い出しとか必要なら俺が行こうと思った。
ちなみに四階での会議というか活動でお茶代を出してくれるのは嵐山さんである。理事長の職権乱用なんだろうけどいいんだろうか。
俺、ピー太に助けられてばかりで情けないな。
なんか少しでも役に立てたらいいんだが。
というわけで、みんな手分けして嵐山さんがこれまでに用立てたりした物をリスト化したりする作業を始めた。
部活の人数自体は問題ないから、後は部費がもらえるといいなと思った。
薪を森林管理部から提供してもらい、まずはそれをノコギリで薄く切る作業からしてたいへんだった。電ノコが技術室にあるからとそれを借りたり、フクロウの頭の大きさを測らせてもらったりなんてしていたら(意外と小さくても入るものだ。羽毛が多いんだろうな)、でき上がるまでに五日ぐらいかかった。
小屋づくりって意外とたいへんなんだな。
慣れない作業だったというのと放課後それほど時間がなかったというのも関係はしていると思う。
もし次に小屋を作ることがあればもっと時間は短縮できるだろう。
でもフクロウって基本広い縄張りを持ってるものだから、他のフクロウの小屋を作るなんて機会はなかなかやってこないだろうな。
「予算がないのが問題だよね~。あれもこれもしてあげたいとか調査したいとかあるけどさ。僕のポケットマネーから出すのは違うだろうし……」
嵐山さんが寮の4階の会議室の椅子に乗ったままくるくる回って言う。目が回らないんだろうか、あれ。
「嵐山さん、僕も回っていいですかー?」
稲村が挙手して聞く。
「いいよー」
「わーい!」
子どもかと言うなかれ。けっこう回ってみたいものなのだ。先輩たちも控えめにだが回っていた。回らなかったのは村西ぐらいである。裏切り者め。
ぐるんぐるん回していたせいか目が回った。俺はバカ者みたいである。
「目ぇ、回った……」
「調子に乗りすぎだな。部費の予算は生徒会でしたか」
村西が冷静に聞く。
「そうだよー。生徒会が自治を担ってるから、けっこう厳しいんだけどね。でもピー太君たちの成果は見てるはずだし、これぐらい必要ってのを書いて出せば少しは部費が下りるんじゃないかと思うんだけど」
嵐山さんが気軽に言う。
でもそれってけっこうたいへんなことじゃないかなと思った。
だって一年間に必要な予算をこっちで考えないといけないってことだろ?
全くノウハウがないのにやっていけるんだろうか。
「嵐山さん、今までピー太たちにかかってたお金って……」
「僕のポケットマネーから出したよ~。でも何かやる時は僕一人でだったからいろいろ時間かかってたいへんだったんだよね。森林管理の越野君とかはたまに手伝ってくれたんだけどさ」
越野先輩はいい人らしい。その他にも森林管理部の先輩や山大好き部の先輩たちが見るに見かねて手伝ってくれたりもしたという。
うちのピー太がすみません、と思ったけど、俺は知らなかったわけだし。どういう顔をしたらいいのかわからなかった。
「虫大好き部とかは手伝ってくれなかったんですかー?」
稲村が疑問を口にした。
「うーん。むしろ虫大好き部からは目の敵にされてるかな~。鳥って基本虫を食べたりするしね」
「え? インコって穀物食じゃないんですか?」
「野生のインコは虫を食べたりもするそうだよ」
それは知らなかった。あ、でもピー太はオカメインコと呼ばれているだけでオウムの一種なんだっけ? オウムって虫を食べるんだろうか。(注:オカメインコは穀食と言われています)
「野生だと……」
「栄養を取る為に……」
「……なんでも食べるかも……」
どうしてうちの先輩たちはこんなに息ぴったりなんだろうか。つい、金子先輩、小原先輩と益子先輩を見てしまった。
「そっか……野生だと食べる物選んでられないもんな」
「そういうこともあるかもしれないね。冬は食べ物を探すのがたいへんそうだから餌も買ってたよ」
「おおお……」
さすが理事長。太っ腹だ。
つーかピー太ってば運よすぎじゃね?
「ってことはー、その餌代も生徒会の予算で賄うことになるんですかー?」
稲村が手を上げて尋ねた。
あ、そっか。部活ってことはそうなるのか。
「できればそれが望ましいけど、基本消耗品は生徒会の予算からは使わないことになってる。だからこれまで通り僕が払うよ」
内心ほっとした。餌代となると、ピー太の分だけというわけにはいかないだろうし。
「そうなるとまずは必要な物品のリスト作成と価格の検索ですか」
村西が難しそうな顔をした。みんななんか俺より賢いから、買い出しとか必要なら俺が行こうと思った。
ちなみに四階での会議というか活動でお茶代を出してくれるのは嵐山さんである。理事長の職権乱用なんだろうけどいいんだろうか。
俺、ピー太に助けられてばかりで情けないな。
なんか少しでも役に立てたらいいんだが。
というわけで、みんな手分けして嵐山さんがこれまでに用立てたりした物をリスト化したりする作業を始めた。
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