上 下
17 / 77

16.ピー太、トモノリを守る体制作りをする

しおりを挟む
 オレサマの小さくてかわいいトモノリによって、無事フクロウの小屋は作られることとなった。
 素晴らしいことである。
 ん? オレサマの方がトモノリよりも小さいのではないかって?
 トモノリは人間たちの中でとても小さいのだ。だからオレサマが守ってやらねばならない。しかしオレサマたちだけではトモノリを守るのは鳥員が足りない。
 フクロウの小屋をトモノリたちが作ることで、フクロウはオレサマたちに協力することになった。
 トモノリたちの仕事は丁寧だった。
 背は高いがひょろひょろしている者も、怖がりながらもフクロウの顔の大きさに入口を整えた。よく森に入ってくる、がたいがいい者は愛想よくオレサマに手を振ってくる。あれはトモノリとはブとかいうのが違うらしい。ブは違うがトモノリの手伝いをしてくれるというので、頭の上に留まってやった。
 トモノリは慌てたが、がたいがいい者は喜んでいた。
 人間というのはまっこと不思議な生き物である。
 さて、オレサマとよく共にいるインコやスズメたちを紹介しておこう。
 黄色に緑っぽい色があるのがインコのピーコ、ピコー、ピースケだ。この三羽はオレサマの小屋の周りに小屋を作ってもらい住んでいる。一羽につき小屋が一つだ。どうだ、すごいだろう。
 スズメたちは大勢で一つ小屋を用意してもらったらしく、冬はその中でぎゅうぎゅうしていた。あれはあれで暖かそうではあったが、オレサマの小屋には人間が枯れ葉などを敷き詰めたのでけっこう暖かかった。
 木の実などをつついて暮らしているので、意外と餌はあるし、冬にはリョウカンが寒い寒いと言いながら餌を用意してくれたりした。
 オレサマの暮らしはけっこう快適なのである。
 最近カケスたちがやってきて、小屋を見て羨ましそうにしていた。そのうち紹介してやろうと思っている。


 さて、フクロウの小屋ができるまでには何日かかかった。というのも、トモノリたちは普段学校で勉強とかいうのをしていて、こちらに来るのは少し遅い時間になるからである。
 この学校では勉強をしなければいけないらしい。勉強がトモノリたちの仕事のようだ。
 そうして無事小屋ができたことでフクロウは喜んだ。
 小屋の入口の大きさもなかなかよく、カラスが顔を突っ込んできた時はつつきまくってやるとフクロウは言っていた。

「小屋、できてよかったなー」

 トモノリが喜んでいる。

「だねー。最初はどうなることかと思ったよー」
「中学での技術の授業を受けていたのが役に立った……」

 トモノリの友人だとかいう、イナとニシがいろいろ言っていた。
 オレサマたちの敵は大きな鳥やカラスだけではない。だが小屋があることでかなり安全ではある。
 しかし気を緩めてはいけない。
 つい先日もトモノリに「ちっちぇーなー」と若い人間が絡んできたので仲間とつつきまくって撃退してやった。

「こらっ、ピー太! やりすぎだぞ!」

 何故かトモノリに怒られた。

「すみません、怪我はありませんか?」
「お、おう……ねーけどよ……。鳥ぐらいちゃんとしつけとけよ!」

 若い人間たちは捨て台詞を残して走って逃げて行った。情けないことである。喧嘩を売るのならば相手をみて売った方がいいのは間違いない。
 もちろん仲間たちに指示し、トモノリが見えないところでつつきまくらせたのは言うまでもない。
しおりを挟む
感想 52

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

サンタの村に招かれて勇気をもらうお話

Akitoです。
ライト文芸
「どうすれば友達ができるでしょうか……?」  12月23日の放課後、日直として学級日誌を書いていた山梨あかりはサンタへの切なる願いを無意識に日誌へ書きとめてしまう。  直後、チャイムの音が鳴り、我に返ったあかりは急いで日誌を書き直し日直の役目を終える。  日誌を提出して自宅へと帰ったあかりは、ベッドの上にプレゼントの箱が置かれていることに気がついて……。 ◇◇◇  友達のいない寂しい学生生活を送る女子高生の山梨あかりが、クリスマスの日にサンタクロースの村に招待され、勇気を受け取る物語です。  クリスマスの暇つぶしにでもどうぞ。

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

【本編完結】繚乱ロンド

由宇ノ木
ライト文芸
番外編更新日 12/25日 *『とわずがたり~思い出を辿れば~1 』 本編は完結。番外編を不定期で更新。 11/11,11/15,11/19 *『夫の疑問、妻の確信1~3』  10/12 *『いつもあなたの幸せを。』 9/14 *『伝統行事』 8/24 *『ひとりがたり~人生を振り返る~』 お盆期間限定番外編 8月11日~8月16日まで *『日常のひとこま』は公開終了しました。 7月31日   *『恋心』・・・本編の171、180、188話にチラッと出てきた京司朗の自室に礼夏が現れたときの話です。 6/18 *『ある時代の出来事』 6/8   *女の子は『かわいい』を見せびらかしたい。全1頁。 *光と影 全1頁。 -本編大まかなあらすじ- *青木みふゆは23歳。両親も妹も失ってしまったみふゆは一人暮らしで、花屋の堀内花壇の支店と本店に勤めている。花の仕事は好きで楽しいが、本店勤務時は事務を任されている二つ年上の林香苗に妬まれ嫌がらせを受けている。嫌がらせは徐々に増え、辟易しているみふゆは転職も思案中。 林香苗は堀内花壇社長の愛人でありながら、店のお得意様の、裏社会組織も持つといわれる惣領家の当主・惣領貴之がみふゆを気に入ってかわいがっているのを妬んでいるのだ。 そして、惣領貴之の懐刀とされる若頭・仙道京司朗も海外から帰国。みふゆが貴之に取り入ろうとしているのではないかと、京司朗から疑いをかけられる。 みふゆは自分の微妙な立場に悩みつつも、惣領貴之との親交を深め養女となるが、ある日予知をきっかけに高熱を出し年齢を退行させてゆくことになる。みふゆの心は子供に戻っていってしまう。 令和5年11/11更新内容(最終回) *199. (2) *200. ロンド~踊る命~ -17- (1)~(6) *エピローグ ロンド~廻る命~ 本編最終回です。200話の一部を199.(2)にしたため、199.(2)から最終話シリーズになりました。  ※この物語はフィクションです。実在する団体・企業・人物とはなんら関係ありません。架空の町が舞台です。 現在の関連作品 『邪眼の娘』更新 令和6年1/7 『月光に咲く花』(ショートショート) 以上2作品はみふゆの母親・水無瀬礼夏(青木礼夏)の物語。 『恋人はメリーさん』(主人公は京司朗の後輩・東雲結) 『繚乱ロンド』の元になった2作品 『花物語』に入っている『カサブランカ・ダディ(全五話)』『花冠はタンポポで(ショートショート)』

この『異世界転移』は実行できません

霜條
ライト文芸
どこにでもいるサラリーマン、各務堂一司《かがみどうかずあき》。 仕事ばかりの日々から離れる瞬間だけは、元の自分を取り戻すようであった。 半年ぶりに会った友人と飲みに行くと、そいつは怪我をしていた。 話しを聞けば、最近流行りの『異世界転移』に興味があるらしい。 ニュースにもなっている行方不明事件の名だが、そんなことに興味を持つなんて――。 酔って言う話ならよかったのに、本気にしているから俺は友人を止めようとした。 それだけだったはずなんだ。 ※転移しない人の話です。 ※ファンタジー要素ほぼなし。

いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜

きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員 Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。 そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。 初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。 甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。 第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。 ※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり) ※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り 初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。

処理中です...