野良インコと元飼主～山で高校生活送ります～

９．ピー太、トモノリを守る方法を考える

　今朝は少しばかり涼しかったせいか起きるのが遅れてしまった。
　寒い時期はなかなか目が覚めなくて困る。しかも夜も暗くなるのが早いので、そうなるとすぐに眠くなってしまうのだ。
　幸いリョウカンのおかげで快適な小屋を得られている為寒い時期も越せるのだが、オレサマが監視できていない時間が心配である。
　今までならば人間たちは人間たちでどうにかするだろうと思っていたが、今この高校には元飼主のトモノリがいるのだ。
　トモノリは他のオスよりも小さい。
　もし危害を加えられたり、無理矢理交尾をさせられたりしたらたいへんである。
　オレサマたちは交尾ができたらラッキーぐらいで何を嫌がるのかと不思議ではあるのだが、どうも人間のオスの場合はそれによって大怪我をすることなどもあるらしい。身体の造りが違うのはたいへんなようである。（これはリョウカンとやらから教えられた）
　というわけで、夜起きている仲間たちに声をかけた。
　フクロウは基本的に肉食なので危険なのだが、仲間たちとこてんぱんにやっつけてからはネズミやモグラなどを主に食べるようにしているようだ。
　そのフクロウが夜間は寮や学校の周りを飛ぶことになった。
　その代わり安全な寝床がほしいという。
　最近街の方からカラスが飛んでくるようになった。仲間たちにはできるだけ集団行動を取るようにさせているが、フクロウは基本単独行動であるらしい。なのでオレサマたちのような安全な小屋がほしいのだという。
　フクロウとカラスは似たような体格をしているのだが、カラスはとにかく厄介であるらしかった。確かにここに来るまでもカラスには何度も遭遇して闘ったことがあった。小屋があればフクロウも安心して暮らせるだろう。
　ところでこの”小屋”のことを人間はなんと言っていただろうか。
　オレサマが人間の言葉をしゃべれればすぐに解決する問題だろうと思う。
　だいたい言っていることは理解できるのだが、どの言葉がどれを示しているのかを考えるのが難しいのだ。
　オレサマはフクロウに時間がほしいと伝えた。
　この場合はリョウカンに伝えた方がいいのだろう。しかしあのリョウカンはそこまで察しがいいだろうか。
　とりあえずオレサマはリョウカンがいるところへ向かおうとした。

「新入生？　ちょっとお金貸してよ」
「も、持ってないです……」
「そんなわけないだろ？　すぐ返すからさー」

　今日も今日とてオレサマが見回っているところで何をしているのか。懲りない者たちというのはいるものである。
　二人のオスが一人を追い詰めているような構図を確認し、オレサマはそこへ急行したのだった。