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楓
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白馬 楓は、100万石とうたわれた加賀のお殿様の御殿医を勤めた事もある名家のお嬢様だ。
お嬢様といっても、姿形は、おばあちゃま…なんだけど。
美しい日本庭園を垣根の向こうに見ながら、紗由理は自転車を引きながら裏口へと向かう。
確かに、昔は偉かったんだろうけど、いきなり裏口から入れと、事前に言われたのは紗由理を不機嫌にした。
しかし、考え方によっては、これで良かったのかもしれない。
白馬家の美しい庭を独り占めで鑑賞できたのだから。
西洋では、美しい庭を維持するために、芝生をしき、涙ぐましい努力をするらしいが、日本庭園の苔は、もっと繊細で維持するのが大変だと紗由理は思う。
こんな庭を見ながら、お茶会をしてみたいわ。
と、紗由理はぼんやりと考える。
お茶屋の娘で、おばあちゃん子の桃子に誘われて、紗由理も桃子の家で茶道を楽しでいる。
こんな庭を見たら、桃子はきっと、大喜びするに違いない。
なんで、近所のおばさんの作品なんか選んだんだろう?
紗由理はそれが不満だった。
近所のおばさんなら、夏休みでなくとも会えたろうし、そんなにすごい作品にも思えなかった。
などと、考えるうちに裏口が見えてきた。
柊の垣根が守るその向こうには、こじんまりとした…そう、まるで、ダイアナの庭のような、可愛らしい洋風の庭が見えた。
整えられた白ゆりの向こうには、白いガーデンテーブルがあり、シンプルなAラインのワンピースにエプロン姿の痩せて長身の女性がこちらに気がついて見つめていた。
なに…これ、素敵すぎない?
紗由理は、19世紀の物語の世界に迷いこんだような気持ちになって立ち止まる。
お嬢様といっても、姿形は、おばあちゃま…なんだけど。
美しい日本庭園を垣根の向こうに見ながら、紗由理は自転車を引きながら裏口へと向かう。
確かに、昔は偉かったんだろうけど、いきなり裏口から入れと、事前に言われたのは紗由理を不機嫌にした。
しかし、考え方によっては、これで良かったのかもしれない。
白馬家の美しい庭を独り占めで鑑賞できたのだから。
西洋では、美しい庭を維持するために、芝生をしき、涙ぐましい努力をするらしいが、日本庭園の苔は、もっと繊細で維持するのが大変だと紗由理は思う。
こんな庭を見ながら、お茶会をしてみたいわ。
と、紗由理はぼんやりと考える。
お茶屋の娘で、おばあちゃん子の桃子に誘われて、紗由理も桃子の家で茶道を楽しでいる。
こんな庭を見たら、桃子はきっと、大喜びするに違いない。
なんで、近所のおばさんの作品なんか選んだんだろう?
紗由理はそれが不満だった。
近所のおばさんなら、夏休みでなくとも会えたろうし、そんなにすごい作品にも思えなかった。
などと、考えるうちに裏口が見えてきた。
柊の垣根が守るその向こうには、こじんまりとした…そう、まるで、ダイアナの庭のような、可愛らしい洋風の庭が見えた。
整えられた白ゆりの向こうには、白いガーデンテーブルがあり、シンプルなAラインのワンピースにエプロン姿の痩せて長身の女性がこちらに気がついて見つめていた。
なに…これ、素敵すぎない?
紗由理は、19世紀の物語の世界に迷いこんだような気持ちになって立ち止まる。
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