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パラサイト

周期

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  雅苗…に見えるこれは、次はなんだろう?

  こんにゃくの精か
  幽霊か…

  少なくともどちらでもないようだった。
  とりあえず、目の前の雅苗は実態があるし、光ってない。
  怪しいとか、恐怖の前に、「またか…」と、言ったなんとも呆れた感じが先に込み上げる。

  が、それが逆にリラックスに繋がったのか、私はゆっくりと体が柔らかくなるのを感じた。

  「ありがとう。おかげて楽になったよ。」
私は、当たり障りのない言葉に皮肉をちょっぴり含ませる。
「それは良かったです。さあ、私達も温室へ向かいましょう。」
雅苗がそう言うが、私は、不信感しか浮かばない。
「その前に、雅苗さん、あなたは一体、今までどうしていたのですか?」
私は、わざと屋敷での話を外した。

  地下の話に触れてくるのか、来ないのか、
  彼女の様子を観察したかった。

  雅苗は、少し、困った顔をして、それから、意を決した様に話始めた。

  「屋敷におりましたわ。7年…若葉溶生として。」
  えっ…(°∇°;)
  なんだよ、若葉溶生って…

  私は、込み上げる唾と一緒に激しい突っ込みを飲み込んだ。

「そう言う冗談を話している場合ではありません。」
私は努めて無表情に言う。 
  雅苗は、ため息を一つついて、面倒なクレーマー相手のオペレーターのように顔だけ笑顔でゆっくりと話す。
「冗談ではありません。あの日、この世から意識を消したのは、溶生さんです。
  病気が…再発して…私が、彼の代わりをしていたのです。」
「え?普通に病院につれて行き、あなたが看病すればよかったのではありませんか?」
私は、訳の分からない話をし始めた雅苗の正体を疑る。
  次、宇宙人とか言われても、私は、驚かないぞ。

  雅苗は、私の言葉に不安そうに私を見る。
「出来ません…そんな事をしたら、奴等につれて行かれます。」
「奴ら………。」

  そう呟いて、思わず辺りを見渡した。

  壮大なドッキリ…なんて事はないよな?

「はい、シケイダ3301です。彼らが目覚めようとしているのです。」
雅苗の真剣な顔に、私は不謹慎ながら笑いが込み上げてくる。

  シケイダ3301、確かに、謎の組織ではあるが、私を騙したいなら、もう少し、マシな組織を選択して欲しかった。

「雅苗さん、確かに、彼らは、いまだにシケイダの謎は明らかにされていませんが、さすがに…それは、無理がありませんか?」
私は、世界的な謎のネット面接集団に少しだけ同情する。
  雅苗は、そんな私に説明する言葉を眉間を寄せながら考える。

  「失礼しました…では、言い直します。
  3301年の周期ゼミ…が羽化を始めようとしているのです。」
「3301年…そんな周期ゼミ…いるわけがない。」
即答した。

  3000年も生きられる昆虫など、いない、
  そんな事が可能なのは菌類、もしくは、ウイルスくらいなもの………

  ここで、これが何かの比喩だと思い付き、言葉を飲み込む。

  3301年周期……と、言うことは、始まりは3301年前…

  えっ…(°∇°;)

  私は、黄金に輝くスカラベをイメージし、困惑しながらスマホを開いた。

  まさか……

  3301年前…それは、紀元前1300年頃になる……

  エジプト18王朝の時代じゃないか!

  ツタンカーメンとか、私でも知ってる有名な王の治世する時代…

  長山が探していたスカラベのミイラを思い出した。
  世界中に存在するミイラの考えに、昆虫の羽化をイメージしたと言われるものがある。

  遺体を加工し、それを丁寧に包み、頑丈な棺にしまうことで、死者の魂があの世で復活するという考え……

  勿論、死体が復活などできるはずはない。

  が、細菌ならどうだろう?

  ミイラの製造自体が、彼らに操られて行われていたとしたら?

  私は、寄生された青虫を思い出していた。

  彼らは、自らの体を食い破って出てきた寄生蜂の幼虫を繭を吐いて強化しながら、死ぬまで守り続けるのだ。

  仮に…人に寄生する何かが、長い居眠りを快適に過ごせるように人を操るとしたらどうだろう?

  私は、遥か数千年前、丁寧に遺体に布を巻き付けるミイラ職人にそれを見た。

  奇想天外ではあるが…

  このやり方は…細菌がいたとしたら成功を納めたことになる。

  なぜなら、1922年、今から100年前に、ツタンカーメンのミイラは、手付かずの状態でこの世に姿を現すのだから。
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