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パラサイト

セクシー素数

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  本当に、こんな事で謎が解けたのだろうか?
  送信してから数分、何かを期待した。

  が、何もおこらない。
  迷惑メールすらこない。
  馬鹿馬鹿しくなる。そう、確かに、雅苗さんが謎を残したとしても、失踪に関係あるとは思えない。
  
  仕事しよう。

  私は、過ぎ行く時間に不安を感じてファイルを開く。そこでふと、あの疑問が持ち上がってきた。
  「北城…1つ聞いていいか。」
「ああ…。」
私の台詞に面倒くさそうに何かを考えていた北城が言う。
「ここに、ショクダイオオコンニャクの記録が無いのだが、どうしてだろう?」
「パソコンにリストが無かったか?」
「見えるところには無いぞ。」
「では、多分、スマホにでも保管していたのかもしれないな。」
北城は曖昧にそう答えた。
  私は、書類を片付けながら温室の画像を確認した。
  そして、蕾がほころびかけている事を思い出した。
  「北城、ショクダイオオコンニャクの蕾が開き始めてるんだ。」
私が北城に声をかけると北城はモニターを確認しに来る。
  そこで私は立ち上がった。
「長山さんと連絡がつかないんだ。この事を伝えに行ってくれないか?」
私の言葉を聞いて、北城は私に聞いた。
「連絡はしたのか?」
「メールも電話もしたけれど繋がらない。」
私が心配になって聞くと、北城は穏やかに笑った。
「撮影中だからな。お前も行った所で邪魔になるだけだ。定点カメラに異常がなければ問題はない。
  それより、池上、お前、まだ、何か、私に話していない事があるだろ?」
北城は非難がましく私を見る。
「どう言うことだ?」
何が言いたいのか分からずに北城を睨むと、彼は、あの赤い表紙の『砂金』を手にした。

  「ボッチチェリが抜けている。」
そう言って、北城が開いた『トミノの地獄』のページにあのボッチチェリの『地獄の見取図』が張られていた。
「それか…確かに、いい忘れていた…ついでに、しおりを見つけた。」
私は、本棚で見つけたしおりを見せた。
  
  北城は、しおりを興味深そうに見つめていた。
「また素数か…。」

  えっ(;゜∇゜)

  私は、しおりの2011の文字に困惑した。これも素数らしい。

  「しかし…2015は、間違いだろうか?」
北城に聞かれて私は、困惑したまま見つめる。
「これでは…セクシーにならない。」
北城が眉を潜める。
「セクシー?セクシーってなんだ?いや、これ、年号だろ?どう見ても、2015年?って書いてある。
  と、言うか、なんなんだよ、セクシーって?」
私は、セクシーの言葉に困惑した。
「知らないのか?2011の次の素数は2017。
  2017-2011=6
  6は、ラテン語でSexになるから、セクシー素数と呼ばれている。」
「知らないよ。そんな事(-"-;)」
私は力なく呟いた。
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