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パラサイト

ワンダラー

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  「ノブス・オルド・セクローム。1ドル札ですか?」
私の呟きを聞いて、秋吉が質問してきた。
「1ドル札?」
意外な反応に、私は聞き返す。
「違いましたか?すいません。アメリカの陰謀の話かじゃ、あるわけないですね。」
秋吉は、恐縮しながらスマホで1ドル札の画像を見せてきた。

  よく映画で見るピラミットの頂点で目が光っていて、したの方に
  novus ordo seclorum 
の文字が描かれていた。

  「ラテン語で意味は『時代の新秩序』よく、フリーメンソンの陰謀論と語られますけど、池上さんとは関係ないですね。」
秋吉は恥ずかしそうに笑った。
「そんな事…よく知ってるな。」
「一応、声優なんで…それっぽい役とかまわってくる時もあるんですよ。」
秋吉は、『声優』の台詞を少し自慢げに言った。
「そうだな…確かに、映画とか、アニメでよくやってるな。」
私は、最近、映画もアニメも見ていない事を思い出して笑った。

  時代の新秩序…。ふと、雅徳さんの説を思い返していた。
  ガイア理論。地球と生物を繋ぐメッセンジャーとしてのウイルス…まるで映画のシナリオのようだ。

  「ノブス・オルド・セクロールム。90年代に漫画とかでありましたね。俺の叔父さんも好きで、一緒に昔の映画見てましたよ。
  でも、どうしたんです?いきなり。」
秋吉はからかうように私をみた。
「いや、スマホを見ていたら、そんな…」
次の言葉が出て来なかった。あのオレンジ色の文字が消えていた。

  子供のように目をこすって画面を見直した。
  何か、人ならざる者の存在を感じで背筋がゾッとした。と、同時に激しい耳鳴りが襲い、気分が悪くなって目を閉じて屈んだ。

  「大丈夫ですか?」
女性の声が…聞き覚えのある声を聞いて、私は顔をあげた。

  草柳 レイ!

  私は驚いて口を開いたまま混乱した。
  なぜ、どうして、なんで…

  激しい耳鳴りがしている。のに、レイの言葉は聞き取れた。

  彼女はオレンジに輝きながら私に囁いた。

  「1ドル札を探すなら、財布の中をおすすめするわ。」

  そんなもんを薦められても、どうしろと?と、言うか、どうなってる?

  私は、急上昇する飛行機にでも乗ったような気分の悪さに見舞われながら、必死にレイの両腕を掴んだ。
  掴めた、筋肉質だがしなやかな腕だ。
  草柳レイは実在した!

  私は、不思議な勝利感に包まれながら、彼女の耳元で問う。

  「貴女は、何者なのか?」と。

  すると、レイは魅力的に微笑んでこう言った。

  「秋吉 相太です。」

  えっ(°∇°;)

  私は、衝撃で秋吉の腕を強く握り、彼に悲鳴をあげさせながら、自分も叫んだ。
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