135 / 197
1922
8
しおりを挟む
窓辺が赤く染まり始め、夕方がやって来る。
ベルフェゴールは、窓から差し込む夕日を見つめて、急に笑いだした。
「どうしたの?」
私が聞くと、ベルフェゴールは、興味深げに私を見つめた。
「なんか…凄いわね…」
ベルフェゴールは、染々と私を見ながら、なんか、感動を噛み締める。
「な、何が?」
不気味な雰囲気に、なんだか、嫌な予感が込み上げる。
「作家として、素晴らしい表現力だと思ってさ。」
「は?な、何がっ?」
シドロモドロと考える。ベルフェゴールは、何を言いたいのか?
「ほら、ピオ11世を熱血教師に例えたじゃん?」
「じゃん?」
「うん。あれ、ソ連邦の話じゃなくて、イタリアン・マフィアの事ね。」
ベルフェゴールは、嬉しそうに笑った。
「い、イタリアンって…」
私はたじろぐ、何なんだ、イタリアン…イタリアンって言ったら、ピザとかスパゲッティは好きだけど…
マフィアって!
「イタリアン・マフィアよ。シチリアから生まれた組織…ああっ、彼らを…ツッパリに例えるなんて、斬新だわ。
そして、ローマ法王が熱血教師役とか、カトリックの信者と話しても、出てこない発想よ。」
ベルフェゴールは、なんか、誉めちぎってくるけれど、私はなんか、身の危険を感じる。
ローマ法王に、ま、マフィアとか、そんな話をして大丈夫何だろうか。
「マフィア…って、ローマ法王様とあわせて話して大丈夫なの?」
挙動不審な私にベルフェゴールは、説明してくれた。
何でも、マフィアの始まりは、18世紀に荒れてきたシチリアの警護をローマ法王が地元の兵士などに依頼した。
この頃の法王はピウス7世。敵はナポレオンである。法王領はフランス革命から後、その所有者が様々に入れ替わっている。
マフィアと言っても、複数の組織があり、犯罪組織と言う性質上、本当の事など、私には調べようがないのだけれど。
これについては、諸説がある。が、まあ、シチリアは、ローマ法王とゆかりのある土地で、その信仰も強いものらしい。
で、マフィアの人達も、ローマ法王を一目置いていたのは、確かなようだ。
世界で有数の犯罪組織の彼らではあるが、法王に危害を加える人物は、例え、仲間であっても、かばったりはしないんだそうだ。
なぜなら…お母さんに嫌われるから。
ちょっと、微笑ましく感じてしまう。
「教会と信仰の心を、マンマが持ち続ける限り、マフィアは法王を襲ったりはしないそうだから。」
ベルフェゴールは、何故か嬉しそうな顔をする。
「なんで?」
反射的に聞いた私に、ベルフェゴールは、とても優しげな笑顔でこう言った。
「だって、法王に何かがあったら、マンマが悲しむでしょ?
昭和の不良も、イタリアのマフィアも…
必死で育ててくれた母親の愛情には弱いのよ。」
マフィアに知り合いは居ないので、本当かどうかは知らない。
でも、何となく、真実だと思ってしまうのは、テレビで昔見た、イタリアの母親の優しい笑顔と、自分の母親を重ねてみるからなのかもしれない。
とは、いえ、犯罪組織なので、政権を担うムッソリーニは、彼らを排除しようと努力はしていたようだ。
と、同時に、力をつける彼らと共存しようともしたらしい。
ナポレオンは、法王領を奪おうとしたけれど、
ムッソリーニは、バチカン市国をゆるした。
それは、政権や、自身のはく付けの為なのか…
お母さんに嫌われたくなかったからなのか…
それは、私にもわからない。
「そうね…強面(こわもて)の屈強な男たちを黙らせる母の力…
確かに、マリア様がローマを守って下さったのかもしれないわね。」
私は、ぼんやりとくれる空を見つめた。
ベルフェゴールは、窓から差し込む夕日を見つめて、急に笑いだした。
「どうしたの?」
私が聞くと、ベルフェゴールは、興味深げに私を見つめた。
「なんか…凄いわね…」
ベルフェゴールは、染々と私を見ながら、なんか、感動を噛み締める。
「な、何が?」
不気味な雰囲気に、なんだか、嫌な予感が込み上げる。
「作家として、素晴らしい表現力だと思ってさ。」
「は?な、何がっ?」
シドロモドロと考える。ベルフェゴールは、何を言いたいのか?
「ほら、ピオ11世を熱血教師に例えたじゃん?」
「じゃん?」
「うん。あれ、ソ連邦の話じゃなくて、イタリアン・マフィアの事ね。」
ベルフェゴールは、嬉しそうに笑った。
「い、イタリアンって…」
私はたじろぐ、何なんだ、イタリアン…イタリアンって言ったら、ピザとかスパゲッティは好きだけど…
マフィアって!
「イタリアン・マフィアよ。シチリアから生まれた組織…ああっ、彼らを…ツッパリに例えるなんて、斬新だわ。
そして、ローマ法王が熱血教師役とか、カトリックの信者と話しても、出てこない発想よ。」
ベルフェゴールは、なんか、誉めちぎってくるけれど、私はなんか、身の危険を感じる。
ローマ法王に、ま、マフィアとか、そんな話をして大丈夫何だろうか。
「マフィア…って、ローマ法王様とあわせて話して大丈夫なの?」
挙動不審な私にベルフェゴールは、説明してくれた。
何でも、マフィアの始まりは、18世紀に荒れてきたシチリアの警護をローマ法王が地元の兵士などに依頼した。
この頃の法王はピウス7世。敵はナポレオンである。法王領はフランス革命から後、その所有者が様々に入れ替わっている。
マフィアと言っても、複数の組織があり、犯罪組織と言う性質上、本当の事など、私には調べようがないのだけれど。
これについては、諸説がある。が、まあ、シチリアは、ローマ法王とゆかりのある土地で、その信仰も強いものらしい。
で、マフィアの人達も、ローマ法王を一目置いていたのは、確かなようだ。
世界で有数の犯罪組織の彼らではあるが、法王に危害を加える人物は、例え、仲間であっても、かばったりはしないんだそうだ。
なぜなら…お母さんに嫌われるから。
ちょっと、微笑ましく感じてしまう。
「教会と信仰の心を、マンマが持ち続ける限り、マフィアは法王を襲ったりはしないそうだから。」
ベルフェゴールは、何故か嬉しそうな顔をする。
「なんで?」
反射的に聞いた私に、ベルフェゴールは、とても優しげな笑顔でこう言った。
「だって、法王に何かがあったら、マンマが悲しむでしょ?
昭和の不良も、イタリアのマフィアも…
必死で育ててくれた母親の愛情には弱いのよ。」
マフィアに知り合いは居ないので、本当かどうかは知らない。
でも、何となく、真実だと思ってしまうのは、テレビで昔見た、イタリアの母親の優しい笑顔と、自分の母親を重ねてみるからなのかもしれない。
とは、いえ、犯罪組織なので、政権を担うムッソリーニは、彼らを排除しようと努力はしていたようだ。
と、同時に、力をつける彼らと共存しようともしたらしい。
ナポレオンは、法王領を奪おうとしたけれど、
ムッソリーニは、バチカン市国をゆるした。
それは、政権や、自身のはく付けの為なのか…
お母さんに嫌われたくなかったからなのか…
それは、私にもわからない。
「そうね…強面(こわもて)の屈強な男たちを黙らせる母の力…
確かに、マリア様がローマを守って下さったのかもしれないわね。」
私は、ぼんやりとくれる空を見つめた。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
京都式神様のおでん屋さん
西門 檀
キャラ文芸
旧題:京都式神様のおでん屋さん ~巡るご縁の物語~
ここは京都——
空が留紺色に染まりきった頃、路地奥の店に暖簾がかけられて、ポッと提灯が灯る。
『おでん料理 結(むすび)』
イケメン2体(?)と看板猫がお出迎えします。
今夜の『予約席』にはどんなお客様が来られるのか。乞うご期待。
平安時代の陰陽師・安倍晴明が生前、未来を案じ2体の思業式神(木陰と日向)をこの世に残した。転生した白猫姿の安倍晴明が式神たちと令和にお送りする、心温まるストーリー。
※2022年12月24日より連載スタート 毎日仕事と両立しながら更新中!
大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。
でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。
けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。
同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。
そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?
こども病院の日常
moa
キャラ文芸
ここの病院は、こども病院です。
18歳以下の子供が通う病院、
診療科はたくさんあります。
内科、外科、耳鼻科、歯科、皮膚科etc…
ただただ医者目線で色々な病気を治療していくだけの小説です。
恋愛要素などは一切ありません。
密着病院24時!的な感じです。
人物像などは表記していない為、読者様のご想像にお任せします。
※泣く表現、痛い表現など嫌いな方は読むのをお控えください。
歯科以外の医療知識はそこまで詳しくないのですみませんがご了承ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる