109 / 164
1917
20
しおりを挟む
ベルフェゴールは、『怠惰』を司る悪魔である。
が、発明好きで、博識のあるベルフェゴール。
実は、この悪魔に甲斐甲斐しく世話をされて、人は自堕落になるなんて説もある。
気を付けよう。
もともと自堕落な私はため息をつく。
さて、話を始めなければ。
それにしても…ベルフェゴールは、何を私に求めてるのだろう?
私は紅茶を飲みながら考える。
まあ、『トミノの地獄』の新解釈の話をしてるのだから、そんな内容に違いないのだろうけど。
「何を無駄に考えてるの?」
ベルフェゴールは、卑怯なほど萌える上目使いで私を見る。
「無駄で悪かったわね。連載開始からの色々を思い出していたのよ。」
可愛らしさに惑わされないよう、大袈裟に憮然とする。
「ふーん。で、何か、思い付いた?」
身を乗り出して聞いてくる、ベルフェゴール。見た目年齢は…15歳くらいか。
一般的な『かわいい』をあざとくついてくる。
「思い付く…と、言うより、思い出す、ね。
前から、ファティマの予言については、調べてみたかったのよ。」
そう、ファティマの予言。オカルト雑誌『みい・ムー』でも、度々、取り上げられてはいたけれど、私は良く分からなかったし、興味がイマイチわかなかった。
小説や、テレビのオカルト好きは、大概、何でも知っていて、どのジャンルにも詳しい。が、実際は、そんな人は稀(まれ)である。
お酒だって、ワインが好きでも日本酒は駄目な人がいるように、ノストラダムスの予言が好きで調べていても、ファティマの聖母の話も詳しいとは限らない。
私にとって、ファティマの聖母の予言は、あまり、魅力的に見えなかったのだ。
私の記憶では、キリスト教は男が中心の宗教で、予言者は男性だった。
勿論、それは間違いだ。
ジャンヌダルクを含め、聖女と呼ばれた人は沢山いる。
が、小さな私にとって、予言をする聖母は、興味をそそられる存在ではなかった。
私は五島 勉先生の本は、大概、好きだが、この聖母の予言について、書かれた本については、何故か、買う気になれなかった。
「何、難しい顔をしてるのよ?」
ベルフェゴールに言われて、ハッとした。
「ごめん、ちょっと、昔のことを思い出していたのよ。」
「昔?」
「うん。好きな作家さんの本でも、読まない話ってあってさ、私にとっては、ファティマの予言だったのよ。」
私は昔を懐かしむように呟いた。
五島勉先生は、予言の研究家と言うより、本占師(ビブリオマンサー)みたいな人だった。
聖書、ノストラダムス、ヒトラーなんかのスタンダードなものから、イソップ童話とかの一見関係無さそうな物語からも、人類の未来について感じるものがあった。
イソップ童話の本は買ったのに、何でファティマの話は買わなかったのだろう?
昔の自分の趣味に困惑しながら、私はとうとう、ネットで古本を購入した。
『ファティマ・第3の秘密』である。
が、発明好きで、博識のあるベルフェゴール。
実は、この悪魔に甲斐甲斐しく世話をされて、人は自堕落になるなんて説もある。
気を付けよう。
もともと自堕落な私はため息をつく。
さて、話を始めなければ。
それにしても…ベルフェゴールは、何を私に求めてるのだろう?
私は紅茶を飲みながら考える。
まあ、『トミノの地獄』の新解釈の話をしてるのだから、そんな内容に違いないのだろうけど。
「何を無駄に考えてるの?」
ベルフェゴールは、卑怯なほど萌える上目使いで私を見る。
「無駄で悪かったわね。連載開始からの色々を思い出していたのよ。」
可愛らしさに惑わされないよう、大袈裟に憮然とする。
「ふーん。で、何か、思い付いた?」
身を乗り出して聞いてくる、ベルフェゴール。見た目年齢は…15歳くらいか。
一般的な『かわいい』をあざとくついてくる。
「思い付く…と、言うより、思い出す、ね。
前から、ファティマの予言については、調べてみたかったのよ。」
そう、ファティマの予言。オカルト雑誌『みい・ムー』でも、度々、取り上げられてはいたけれど、私は良く分からなかったし、興味がイマイチわかなかった。
小説や、テレビのオカルト好きは、大概、何でも知っていて、どのジャンルにも詳しい。が、実際は、そんな人は稀(まれ)である。
お酒だって、ワインが好きでも日本酒は駄目な人がいるように、ノストラダムスの予言が好きで調べていても、ファティマの聖母の話も詳しいとは限らない。
私にとって、ファティマの聖母の予言は、あまり、魅力的に見えなかったのだ。
私の記憶では、キリスト教は男が中心の宗教で、予言者は男性だった。
勿論、それは間違いだ。
ジャンヌダルクを含め、聖女と呼ばれた人は沢山いる。
が、小さな私にとって、予言をする聖母は、興味をそそられる存在ではなかった。
私は五島 勉先生の本は、大概、好きだが、この聖母の予言について、書かれた本については、何故か、買う気になれなかった。
「何、難しい顔をしてるのよ?」
ベルフェゴールに言われて、ハッとした。
「ごめん、ちょっと、昔のことを思い出していたのよ。」
「昔?」
「うん。好きな作家さんの本でも、読まない話ってあってさ、私にとっては、ファティマの予言だったのよ。」
私は昔を懐かしむように呟いた。
五島勉先生は、予言の研究家と言うより、本占師(ビブリオマンサー)みたいな人だった。
聖書、ノストラダムス、ヒトラーなんかのスタンダードなものから、イソップ童話とかの一見関係無さそうな物語からも、人類の未来について感じるものがあった。
イソップ童話の本は買ったのに、何でファティマの話は買わなかったのだろう?
昔の自分の趣味に困惑しながら、私はとうとう、ネットで古本を購入した。
『ファティマ・第3の秘密』である。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
ガダンの寛ぎお食事処
蒼緋 玲
キャラ文芸
**********************************************
とある屋敷の料理人ガダンは、
元魔術師団の魔術師で現在は
使用人として働いている。
日々の生活の中で欠かせない
三大欲求の一つ『食欲』
時には住人の心に寄り添った食事
時には酒と共に彩りある肴を提供
時には美味しさを求めて自ら買い付けへ
時には住人同士のメニュー論争まで
国有数の料理人として名を馳せても過言では
ないくらい(住人談)、元魔術師の料理人が
織り成す美味なる心の籠もったお届けもの。
その先にある安らぎと癒やしのひとときを
ご提供致します。
今日も今日とて
食堂と厨房の間にあるカウンターで
肘をつき住人の食事風景を楽しみながら眺める
ガダンとその住人のちょっとした日常のお話。
**********************************************
【一日5秒を私にください】
からの、ガダンのご飯物語です。
単独で読めますが原作を読んでいただけると、
登場キャラの人となりもわかって
味に深みが出るかもしれません(宣伝)
外部サイトにも投稿しています。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
砂漠の国でイケメン俺様CEOと秘密結婚⁉︎ 〜Romance in Abū Dhabī〜 【Alphapolis Edition】
佐倉 蘭
キャラ文芸
都内の大手不動産会社に勤める、三浦 真珠子(まみこ)27歳。
ある日、突然の辞令によって、アブダビの新都市建設に関わるタワービル建設のプロジェクトメンバーに抜擢される。
それに伴って、海外事業本部・アブダビ新都市建設事業室に異動となり、海外赴任することになるのだが……
——って……アブダビって、どこ⁉︎
※作中にアラビア語が出てきますが、作者はアラビア語に不案内ですので雰囲気だけお楽しみ下さい。また、文字が反転しているかもしれませんのでお含みおき下さい。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
AIアイドル活動日誌
ジャン・幸田
キャラ文芸
AIアイドル「めかぎゃるず」はレトロフューチャーなデザインの女の子型ロボットで構成されたアイドルグループである。だからメンバーは全てカスタマーされた機械人形である!
そういう設定であったが、実際は「中の人」が存在した。その「中の人」にされたある少女の体験談である。
月宮殿の王弟殿下は怪奇話がお好き
星来香文子
キャラ文芸
【あらすじ】
煌神国(こうじんこく)の貧しい少年・慧臣(えじん)は借金返済のために女と間違えられて売られてしまう。
宦官にされそうになっていたところを、女と見間違うほど美しい少年がいると噂を聞きつけた超絶美形の王弟・令月(れいげつ)に拾われ、慧臣は男として大事な部分を失わずに済む。
令月の従者として働くことになったものの、令月は怪奇話や呪具、謎の物体を集める変人だった。
見えない王弟殿下と見えちゃう従者の中華風×和風×ファンタジー×ライトホラー
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる