まさかwebで ミステリー大賞に リベンジする日が来るなんて!

のーまじん

文字の大きさ
上 下
25 / 208
本を売る女

舞踏会

しおりを挟む
  昭和の少女漫画には少し昔の西洋の物語が多かった。
  一説には、敗戦した日本人に西洋人の良いイメージを植え付ける陰謀だとか。
  80年代、サイバーパンクと洗脳が流行ったときは、なんだか納得していたが、そんな方法、効果があったのかは謎だ。

  が、西洋の美しいお姫様には憧れた。
  そして、ドレスを着て王子さまとダンス。

  美しいワルツが流れるなかで踊るダンス…
  これが無いと、昭和の少女漫画が語れないわ。

  私はGHQに洗脳されたのだろうか…否。
  大体、クラッシックなんて好きじゃなかった。
  それに、耳にする機会が無かった。
  踊るなら、曲はもっと、華やかで軽快な…『ラストダンスは私に』を。
  歌手は越地吹雪さんで。
  ラジオで流れる曲に合わせ、畳の部屋で腰を揺らしながら夢想する…少女時代、既に、日本の国技『魔改造』が炸裂する。

  マッカーサーの思惑は知らないが、舞踏会の美しい幻想は、少女時代の夢と共に胸に仕舞われ、その記憶は、小さな田舎の町の片隅で胸のオルゴールを開く度に私をときめかせる…20世紀の技術なら、それで終わる妄想だった。


  が、21世紀、いきなりぶり返した少女趣味に翻弄されながら、ネットで小説を書き出した私はそれが迷宮の落とし穴になった。

  ヴィーナオーパンバルなんて、使いなれない用語を良くも思い出したものだと思う。
 
  少女漫画の世界では、貴族と言えば必ず舞踏会に行っていた気がするが、思い返せば、ヴィーナオーパンバルなんて題材にされた漫画の記憶はない。
  脳内BGMが越地吹雪さんの時点で、記憶を疑えばよかった気がするが、

  何が引き金にせよ、これは魔法の呪文なのだ。

  『18才で貴族の娘は社交界にデビューするの。美しい銀のティアラを髪に。
  生涯、一度だけ、身に付ける事が許される、純白のドレスを着て。愛しい人にエスコートされてオペラ座で踊るのよ。』


  このセリフ…それは、私の心に美しい絹のハンカチに包まれるように仕舞われて、そんなものと縁遠い生涯を終えようとする私の初の少女小説を唯一飾る美しいシュチエーションだったのだから。

  今、思えば、なんか、生き急いでいた気がする。
  舞踏会とか、少女漫画とか、背伸びをしてたんだと思うわ。

  でも、普通なら、少し、イタイ文章と共に、同じ時代、少女だった誰かの、ちょっぴり苦味の入った評価と笑いで終わる物語になるのではないだろうか?

  もともと、自分に無いものだから憧れるのだ。
  私は美しいドレスやイケメンを探す代わりに、ヴィーナオーパンバルを調べ、それが、わりと新しいことに気がついた。

  1877年が、第1回の開催らしかった。
  年号だけを見てる分には、なんの事か分からないだろう。
 私だって、 分かっていたら、あんなふうに突っ走ったりしなかった。

  1877年…マリーアントワネットも、王妃の近衛兵団も歴史の闇に消えていた。
 そうして、その、7年前、1870年には、フランスが…ベルサイユ宮殿はドイツ帝国に陥落した…
マリーが華やかなドレスで行き来した、鏡の間で、ヤツらは銃剣を突き上げてドイツの勝利を叫んでいた。

  雲行きが段々怪しくなってくる。
  と、同時に、主人公の少女の生年月日が決まった。
  1870年。大阪万博から100年前に決めた。
  何しろ、普仏戦争がなくっても、その前のヨーロッパは混乱していたし、ヴィーナオーパンバルの開催は1977年なんだから。
  ドイツの勝利と共に、少し、安定した時代を選んだつもりだった…

  そうして、主人公のメアリーは1870年に生まれ、その流れで、彼女のデビューする年が決まる。
  1888年…その冬の舞踏会に向けて、ドレスもダンスもメアリーは整えていただろう。
  私の話では、ヴィーナオーパンバルの時に、赤の錬金術師に騙されて魔法技師にされる…ハードモードな展開だったが歴史はその上をいった。

  初代ドイツ皇帝ヴィルヘイム1世が崩御されたのだ。

  メアリーのダンスの相手、フランクは軍人なので、キャッキャうふふと遊んでいる場合じゃなくなるし、
  赤い錬金術師にメアリーがつれて行かれたファンタジーを、フランクはドイツと政治で考え始める。

  もうっ、なにがなんだか…

  しかし…これが、本当に世紀のミステリーの入口だった
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

春の夜話…短編集

のーまじん
ホラー
[コンタクティ] 私は趣味で小説を書いている。年配女性。 空想の本の妖精とサイトのイベントを図書館のエントランスで考えていた。 ※この話は単体で読める様に書いているつもりですが。自作のミステリー大賞…の番外でもあります。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

狼神様と生贄の唄巫女 虐げられた盲目の少女は、獣の神に愛される

茶柱まちこ
キャラ文芸
 雪深い農村で育った少女・すずは、赤子のころにかけられた呪いによって盲目となり、姉や村人たちに虐いたげられる日々を送っていた。  ある日、すずは村人たちに騙されて生贄にされ、雪山の神社に閉じ込められてしまう。失意の中、絶命寸前の彼女を救ったのは、狼と人間を掛け合わせたような姿の男──村人たちが崇める守護神・大神だった。  呪いを解く代わりに大神のもとで働くことになったすずは、大神やあやかしたちの優しさに触れ、幸せを知っていく──。  神様と盲目少女が紡ぐ、和風恋愛幻想譚。 (旧題:『大神様のお気に入り』)

百合系サキュバスにモテてしまっていると言う話

釧路太郎
キャラ文芸
名門零楼館高校はもともと女子高であったのだが、様々な要因で共学になって数年が経つ。 文武両道を掲げる零楼館高校はスポーツ分野だけではなく進学実績も全国レベルで見ても上位に食い込んでいるのであった。 そんな零楼館高校の歴史において今まで誰一人として選ばれたことのない“特別指名推薦”に選ばれたのが工藤珠希なのである。 工藤珠希は身長こそ平均を超えていたが、運動や学力はいたって平均クラスであり性格の良さはあるものの特筆すべき才能も無いように見られていた。 むしろ、彼女の幼馴染である工藤太郎は様々な部活の助っ人として活躍し、中学生でありながら様々な競技のプロ団体からスカウトが来るほどであった。更に、学力面においても優秀であり国内のみならず海外への進学も不可能ではないと言われるほどであった。 “特別指名推薦”の話が学校に来た時は誰もが相手を間違えているのではないかと疑ったほどであったが、零楼館高校関係者は工藤珠希で間違いないという。 工藤珠希と工藤太郎は血縁関係はなく、複雑な家庭環境であった工藤太郎が幼いころに両親を亡くしたこともあって彼は工藤家の養子として迎えられていた。 兄妹同然に育った二人ではあったが、お互いが相手の事を守ろうとする良き関係であり、恋人ではないがそれ以上に信頼しあっている。二人の関係性は苗字が同じという事もあって夫婦と揶揄されることも多々あったのだ。 工藤太郎は県外にあるスポーツ名門校からの推薦も来ていてほぼ内定していたのだが、工藤珠希が零楼館高校に入学することを決めたことを受けて彼も零楼館高校を受験することとなった。 スポーツ分野でも名をはせている零楼館高校に工藤太郎が入学すること自体は何の違和感もないのだが、本来入学する予定であった高校関係者は落胆の声をあげていたのだ。だが、彼の出自も相まって彼の意志を否定する者は誰もいなかったのである。 二人が入学する零楼館高校には外に出ていない秘密があるのだ。 零楼館高校に通う生徒のみならず、教員職員運営者の多くがサキュバスでありそのサキュバスも一般的に知られているサキュバスと違い女性を対象とした変異種なのである。 かつては“秘密の花園”と呼ばれた零楼館女子高等学校もそういった意味を持っていたのだった。 ちなみに、工藤珠希は工藤太郎の事を好きなのだが、それは誰にも言えない秘密なのである。 この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」「ノベルバ」「ノベルピア」にも掲載しております。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活

XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

処理中です...