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本を売る女
運命の輪
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2019年…それは世界的な歴史の転換点であり、平成と言う時代の終わりの年でもあった。
私は平成が終わる前に片付けたい謎があった。
謎というか、感想の返事についてだけど。
感想がつくと作家は嬉しいものだ。が、返信を書くのは緊張する。
あまり、感想をもらわない私は、気合いを入れて返信を書こうとして、とんでもない長文を書くことになった。
『その番組はヒトラーをテーマにしたものだった。中世・ルネサンス時代の話を書くのに、変だと思うかもしれないけれど、私の書きたいのはノストラダムスだ。そして、ノストラダムスは現在でも話題になる予言者だ。
80年代、ノストラダムスの予言とヒトラーを関連させて書かれた記事や番組があり、それを記憶していた私にとっては、ドイツとヒトラーについては、軽く頭に入れたい知識だった。
ある日、ナチスについて語られたアメリカのドキュメンタリー番組をみた。
そこには、カール・エルンスト・クラフトと言う長い名前の人物が登場する。
占星術師でこの人が、ノストラダムスの予言本がヒトラーの登場を予言したとか解説書を書いた人だと教えて貰った。
カール、お前かっ!
戦後の私のテレビライフに影響を持たせた男の名前を知り、
ゲッペルスとチャーチルの占星術合戦の話を少し笑いながら見、チャーチルのVサインが、クローリーの発案だと教えてもらい、(注意!Vサイン自体の起源は複数あり、100年戦争が起源なんて物も。どちらにしても、チャーチルがVサインの起源では無さそうだ。ネットで検索したが、クローリーとチャーチルのVサインの記事を見つけられなかったのと、チャーチル側の意見は番組でも紹介されてなかったので、都市伝説並みの話に考えた方が無難です。)
とにかく、当時のドイツ人はオカルト好きで、ナチス政権は占星術と科学でせめぎあいながら、番組は進んで行く。
ルドルフ・ヘス。
なんだか、子供の頃に恐ろしいイメージで記憶していた、いかつい男がチャーチルの企てた陰謀のインチキ・ホロスコープで、騙されてイギリスに亡命して捕まった話は、もう、コメディの粋である。
それを聞いたヒトラーぶち切れる。
この辺りで、ドキュメンタリーの上品な番組が、お笑い番組に見えてきた。
しかし、ここで不思議に思う。
ノストラダムスも占星術を予言に使ったらしいが、占星術って、そんなに、偽解説が出来るのだろうか?世紀末では占星術は間違わないと言わんばかりの本ばかり本屋にあった印象だったけど。
だって、星はチャーチルの思うようには動かない。
太陽は東から昇り、西に沈むのだ。
漫画の歌じゃないんだから、西から太陽は昇ったりはしない。
どんなにせ解説をしたのか、イギリスがまいた解説文が見たくなる。
なかなか楽しい番組だ。
ここで、占星術にはあらゆるバージョンが作れるなら、あてにならないし、信じすぎると、ヘスのように恥ずかしい思いをしてしまう事を学習した。
しかし、先入観とは恐ろしいものだ。
多分、このヘスのふざけた話を、幼少の私が父に言ったとしよう。すると、きっと父は怒りだすのだ。
「バカな事言ってるな!名の知れた立派な政治家がおかしな占いを信じて行動するわけはない。何か、別の意味があるはずだ。戦時中はなぁ…」
と、気がつくと、太平洋戦争の話になって暗くなるワケだけど。
日本人には、怪しげな占星術に従って、自国民を危険にさらす行動をとるなんて信じられない。
少なくとも、私の父の代はそうだったのだと思う。
だって、国の将来を国民の命を預かる行動をとるのだから、せめて、普通の頭があれば、その占星術の出どころと、解説者を探して確認してから行動するのは当たり前だと思う。
で、昭和のオカルトブームでは、ヘスの行動に色んな解説と陰謀をもっともらしく書いた記事なんかが、日本では信じられたわけだ。(例えば、実はヒトラーの秘密の任務があるとかなんとか。なんて書いていたが、後にこれについての本を発見。どうも、ヒムラーの陰謀説があったようだ。)
この番組を見ながら、色んな事を思い出し、子供の頃に見た漫画の悪役の超古代兵器の思想が、はるか戦前から真面目に検討されていたことを感慨深く思い出した。
この番組の、エンディングでオカルトに懐疑的なゲッペルスが占星術に頼るエピソードがでてくる。
不思議なことに、ゲッペルスに、ドイツが負けることを占星術は教えてくれないのだ。
星はゲッペルスに囁く。
今は厳しいけれど、ドイツは盛り返す。
占星術が好きな人間には切ないメッセージである。
ドイツは敗けたのだ。
星はゲッペルスに敗戦の結末を教えてはくれない。
この番組を見終わったとき、白人=キリスト教のイメージが外れて、ナチスの異様さが心に染みてくる。
そして、解釈が七色に変わる占星術の解説も、少し混乱させられる。
昔の記事を引っ張り出して読み返すと、なんだが恥ずかしいが、この最後辺りで、多分、はじめは、占いに騙されたゲッペルスの悲哀を書いていたんだと思う。
番組では、星占いは、ゲッペルスにナチスの勝利を伝えた事になっていた。
が、それは間違いだ。
星占いは、その後の悲惨なベルリンについて、ゲッペルスには伝えない…
ナチスの終焉に向かうなか、ゲッペルスは、防空壕のヒトラーに嬉しそうにホロスコープを渡して言うのだ。
『ドイツは戦いに勝って、ベルリンは発展する』
これが、厄介だ。
タロットの語源は回転する運命、とか聞いたことがあるが、歴史は長くなると、切り取り方で間違いではなくなる。
確かに、ナチスは負けたけれど、現在、ドイツは統一を果たすどころか、ヨーロッパは、EUとして広く統一されて行き、ドイツはその中心的存在になっている。
1945年から10年くらいの出来事なら、間違いでも、21世紀を視点に話すなら、間違いではなくなるわけだ。
で、私は、そこのところを面白おかしく記事にして投稿した。で、違和感を覚えた読者に指摘され、気合い満々に答えを探した。
果たして、ゲッペルスのホロスコープは正しいのか?
100字くらいの気のきいたコメントを…書こうとした。
そこから、2回、返信し、現在まで混乱する『違和感』の答え。
コメント欄で足りなくなり、ついには記事にし、1万字はこね繰り返して、どうにもならずに持ち越した…その答えを、スッキリさっぱりと平成で終わらせる予定だった…
平成が終わる2019年4月30日。
4月30日その日は、奇しくもヒトラーの命日とされた日であり、
平成が始まる1989年は、ヒトラーの生誕から100年目の年であった。
この運命的な日に、モヤモヤを解決したいと気合いを入れた。
そして、終わらずに現在に至るのだ。
私は平成が終わる前に片付けたい謎があった。
謎というか、感想の返事についてだけど。
感想がつくと作家は嬉しいものだ。が、返信を書くのは緊張する。
あまり、感想をもらわない私は、気合いを入れて返信を書こうとして、とんでもない長文を書くことになった。
『その番組はヒトラーをテーマにしたものだった。中世・ルネサンス時代の話を書くのに、変だと思うかもしれないけれど、私の書きたいのはノストラダムスだ。そして、ノストラダムスは現在でも話題になる予言者だ。
80年代、ノストラダムスの予言とヒトラーを関連させて書かれた記事や番組があり、それを記憶していた私にとっては、ドイツとヒトラーについては、軽く頭に入れたい知識だった。
ある日、ナチスについて語られたアメリカのドキュメンタリー番組をみた。
そこには、カール・エルンスト・クラフトと言う長い名前の人物が登場する。
占星術師でこの人が、ノストラダムスの予言本がヒトラーの登場を予言したとか解説書を書いた人だと教えて貰った。
カール、お前かっ!
戦後の私のテレビライフに影響を持たせた男の名前を知り、
ゲッペルスとチャーチルの占星術合戦の話を少し笑いながら見、チャーチルのVサインが、クローリーの発案だと教えてもらい、(注意!Vサイン自体の起源は複数あり、100年戦争が起源なんて物も。どちらにしても、チャーチルがVサインの起源では無さそうだ。ネットで検索したが、クローリーとチャーチルのVサインの記事を見つけられなかったのと、チャーチル側の意見は番組でも紹介されてなかったので、都市伝説並みの話に考えた方が無難です。)
とにかく、当時のドイツ人はオカルト好きで、ナチス政権は占星術と科学でせめぎあいながら、番組は進んで行く。
ルドルフ・ヘス。
なんだか、子供の頃に恐ろしいイメージで記憶していた、いかつい男がチャーチルの企てた陰謀のインチキ・ホロスコープで、騙されてイギリスに亡命して捕まった話は、もう、コメディの粋である。
それを聞いたヒトラーぶち切れる。
この辺りで、ドキュメンタリーの上品な番組が、お笑い番組に見えてきた。
しかし、ここで不思議に思う。
ノストラダムスも占星術を予言に使ったらしいが、占星術って、そんなに、偽解説が出来るのだろうか?世紀末では占星術は間違わないと言わんばかりの本ばかり本屋にあった印象だったけど。
だって、星はチャーチルの思うようには動かない。
太陽は東から昇り、西に沈むのだ。
漫画の歌じゃないんだから、西から太陽は昇ったりはしない。
どんなにせ解説をしたのか、イギリスがまいた解説文が見たくなる。
なかなか楽しい番組だ。
ここで、占星術にはあらゆるバージョンが作れるなら、あてにならないし、信じすぎると、ヘスのように恥ずかしい思いをしてしまう事を学習した。
しかし、先入観とは恐ろしいものだ。
多分、このヘスのふざけた話を、幼少の私が父に言ったとしよう。すると、きっと父は怒りだすのだ。
「バカな事言ってるな!名の知れた立派な政治家がおかしな占いを信じて行動するわけはない。何か、別の意味があるはずだ。戦時中はなぁ…」
と、気がつくと、太平洋戦争の話になって暗くなるワケだけど。
日本人には、怪しげな占星術に従って、自国民を危険にさらす行動をとるなんて信じられない。
少なくとも、私の父の代はそうだったのだと思う。
だって、国の将来を国民の命を預かる行動をとるのだから、せめて、普通の頭があれば、その占星術の出どころと、解説者を探して確認してから行動するのは当たり前だと思う。
で、昭和のオカルトブームでは、ヘスの行動に色んな解説と陰謀をもっともらしく書いた記事なんかが、日本では信じられたわけだ。(例えば、実はヒトラーの秘密の任務があるとかなんとか。なんて書いていたが、後にこれについての本を発見。どうも、ヒムラーの陰謀説があったようだ。)
この番組を見ながら、色んな事を思い出し、子供の頃に見た漫画の悪役の超古代兵器の思想が、はるか戦前から真面目に検討されていたことを感慨深く思い出した。
この番組の、エンディングでオカルトに懐疑的なゲッペルスが占星術に頼るエピソードがでてくる。
不思議なことに、ゲッペルスに、ドイツが負けることを占星術は教えてくれないのだ。
星はゲッペルスに囁く。
今は厳しいけれど、ドイツは盛り返す。
占星術が好きな人間には切ないメッセージである。
ドイツは敗けたのだ。
星はゲッペルスに敗戦の結末を教えてはくれない。
この番組を見終わったとき、白人=キリスト教のイメージが外れて、ナチスの異様さが心に染みてくる。
そして、解釈が七色に変わる占星術の解説も、少し混乱させられる。
昔の記事を引っ張り出して読み返すと、なんだが恥ずかしいが、この最後辺りで、多分、はじめは、占いに騙されたゲッペルスの悲哀を書いていたんだと思う。
番組では、星占いは、ゲッペルスにナチスの勝利を伝えた事になっていた。
が、それは間違いだ。
星占いは、その後の悲惨なベルリンについて、ゲッペルスには伝えない…
ナチスの終焉に向かうなか、ゲッペルスは、防空壕のヒトラーに嬉しそうにホロスコープを渡して言うのだ。
『ドイツは戦いに勝って、ベルリンは発展する』
これが、厄介だ。
タロットの語源は回転する運命、とか聞いたことがあるが、歴史は長くなると、切り取り方で間違いではなくなる。
確かに、ナチスは負けたけれど、現在、ドイツは統一を果たすどころか、ヨーロッパは、EUとして広く統一されて行き、ドイツはその中心的存在になっている。
1945年から10年くらいの出来事なら、間違いでも、21世紀を視点に話すなら、間違いではなくなるわけだ。
で、私は、そこのところを面白おかしく記事にして投稿した。で、違和感を覚えた読者に指摘され、気合い満々に答えを探した。
果たして、ゲッペルスのホロスコープは正しいのか?
100字くらいの気のきいたコメントを…書こうとした。
そこから、2回、返信し、現在まで混乱する『違和感』の答え。
コメント欄で足りなくなり、ついには記事にし、1万字はこね繰り返して、どうにもならずに持ち越した…その答えを、スッキリさっぱりと平成で終わらせる予定だった…
平成が終わる2019年4月30日。
4月30日その日は、奇しくもヒトラーの命日とされた日であり、
平成が始まる1989年は、ヒトラーの生誕から100年目の年であった。
この運命的な日に、モヤモヤを解決したいと気合いを入れた。
そして、終わらずに現在に至るのだ。
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