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本を売る女
予兆1
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今考えると、なんでノストラダムスにしたのか…
私は、web小説サイトにエントリーし剛のエピソードを書くことに決めていた。
本人が稼がないのだから、剛の影…記憶の剛に稼いでもらうしかない。
そこまでは、それほど間違いではなかった…と、思う。
剛は気のいい間抜けなおっさんで、なんか、色んな騒ぎをおこしていた。
日常系の間抜けな話は、わりと人気が出ると思った。
でも、言うほど上手くはいかない。当時、私の登録したサイトは、なんだか難しそうな…文学の香りがあったのだ。
剛のエピソードをコメディーとして書いて、気恥ずかしくて、そのカテゴリーから出られなかった。
勇気を出して、ヒューマンのカテゴリーに恐る恐る投稿し、自分の作品を検索し、前後に、何やら難しそうな作品に挟まれて、とても恥ずかしくなった事がある。
その辺りで、やっとweb小説で個人が手軽にカネ儲けは難しい事だと理解した。
そして、あとには引けない雰囲気に巻き込まれていた。
人は風変わりな事を始める人物を両手放して応援するものだからだ。
しかも、遠くから、コッソリと。
友人は頑張ってと、応援だけはしてくれたし、登録して1年もしないうちに諦めるとも言えなかった。
実際、自分の所属のサイトやweb小説について、全体の事はわからない。
私は、勢いで自ら、井戸に飛び込んだ蛙であり、5年が経過した現在、その深い井戸を脱出するすべをしらない。
それが、偶然なのか、本当にサイト内が日本文学チックな物語が溢れていたのか、わからないが、私は慌てた。
なんか、私も、凄く、文学的な、何かを書かなきゃいけないんだろうか?
そんな不安な気持ちの時に、たまたま、昔、世紀末に向けて詰め込んだ無駄知識を書き込んだ設定集みたいなノートを見つけたのだ。
そのノートには、ノストラダムスの年表がついていた。
来年…2018年、ミシェル・ノートルダムは大学に進学をしてから、丁度、500年だと気がついた。
気がついても、そんなもんに手を出さなきゃ良かった。が、後悔とチャンスの神様は先にたたない。
ついでに、バカな思いつきほど魅力的でバカを誘う。
私は、ノストラダムスの学生時代と剛のエピソードを融合することにした。
今から丁度、500年前… 学校に通い出す10代のノストラダムスに。
別にノストラダムスじゃ無くても良かった。剛のエピソードさえ書ければ。
フォーク歌手に憧れて、1年、母親に駄々をこね、買ってもらったギターを3日で放り出す、呆れた男の物語を表現できさえすれば。
勢いで登録したサイトではカネは稼げなかった。
だから、気楽な気分だった。
とにかく、物語を書いてみない事には何も始まらない。
そして、積年の夢…と言うか、悲願。
子供の頃、こずかいをはたき、ネクラキャラと呼ばれても買い続けた本の無駄知識を再利用する日がやって来たんだと思った。
私は作戦を少し変更していた。
コミックマーケット。
通称コミケ
手作りの本のフリマのようなあそこに、webで投稿して人気が出たら出展しようと考えた。
フリマのイベントは、この当時で激減していたし、名古屋には大きなイベントがあると聞いた。
自分の作品で有名になったら、名古屋の何処かの古本屋で特設会場を作って貰い、作品が売れるかもしれない。古本と私の短編をセットにした特別仕様のもの。
ついでに、フリマもさせて貰おう。夢が膨らむ
登録から一年くらいは、数回はこんな夢を見る。
頑張れば、自分にも数百人のファンが出来て、
書籍化は無理でも、たまに主催される小さな文学賞の、努力賞3万円が貰える日が来ると。
が、はっきり言って、そんなもんは誰にもは、めぐってこない。
シンデレラだって、一応、貴族だからお城に呼ばれたのだ。
web小説の場合にも、最低限の資格と言うものが存在する。
10万字の小説を完成させること。
未完の小説を放置しないこと。
後でバレる嘘はつかないこと。
この3つである。
特に、未完の放置は嫌われる。
素人の作品だから、文句は言われないけど、
読者は静かに去って行く。
だから、私はそれだけはやるまいと決めていた。
はじめは、短編から。
エピソードは決まっていた。
ノストラダムスの学生時代の話に剛の物語を植え込むことにした。
ノストラダムス…
歴史に名を残した偉人なのに、どことなく嘘臭くて、なんだか怪しいイメージがあった。
まあ、20世紀末に予言者として好き放題書かれたのが原因だ。
20世紀末に蘇ったノストラダムスは、いろんな人物に怪しげな助言をチャネリングでし、様々な著者を翻弄していた。
実在のノストラダムスについての記録があまりないから、好き放題、プロフィールを盛られていた。
夕飯の食材の豚について答えたり、
少女のデート帰りに『可愛い奥さん』と、声をかけ、彼との逢瀬をズバリ当てたりしていた。
そんなオッサン、いたらキモいし、嫌なやつだと嫌われるに違いない。
が、当時はそんなエピソードすら、驚愕しながら読んでいた。
21世紀になるまでは。
20世紀末に人類は滅亡しなかった。
ほぼ、壊滅したのは、そんなエピソードを書いていた作家の方だ。
数年から十数年、大切にされていたろう予言の本は、大量に大手の古本屋の100円コーナーへ回っていった。
そして、次に出てくるのは、ノストラダムスの間違いを正す感じの本だった。
私も予言の本を楽しく読んだ世代なので、一気に嘘つきキャラにされたノストラダムスを可哀想だと思った。
大体、ノストラダムスは、人類の滅亡なんて本に書いてはいないのだ。
悪いのは、ノストラダムスの本を書いていた作者であって、ノストラダムスは自分の人生を全うしようと頑張っただけだ。
まあ、そんな経緯もあって、ノストラダムスについては、わりと間抜けなキャラ付けをしても、読者はすんなりと受け入れてくれそうな気がした。
そうして、いつか、その話が小銭に変わる時が来たら、私の子供の頃も報われると思った。
今まで、私にカネを使わせ続けた剛とノストラダムス…
彼らが、ここでは私にカネを稼いでくれる存在に変わる…嬉しい
夢が膨らんだ。
私は、web小説サイトにエントリーし剛のエピソードを書くことに決めていた。
本人が稼がないのだから、剛の影…記憶の剛に稼いでもらうしかない。
そこまでは、それほど間違いではなかった…と、思う。
剛は気のいい間抜けなおっさんで、なんか、色んな騒ぎをおこしていた。
日常系の間抜けな話は、わりと人気が出ると思った。
でも、言うほど上手くはいかない。当時、私の登録したサイトは、なんだか難しそうな…文学の香りがあったのだ。
剛のエピソードをコメディーとして書いて、気恥ずかしくて、そのカテゴリーから出られなかった。
勇気を出して、ヒューマンのカテゴリーに恐る恐る投稿し、自分の作品を検索し、前後に、何やら難しそうな作品に挟まれて、とても恥ずかしくなった事がある。
その辺りで、やっとweb小説で個人が手軽にカネ儲けは難しい事だと理解した。
そして、あとには引けない雰囲気に巻き込まれていた。
人は風変わりな事を始める人物を両手放して応援するものだからだ。
しかも、遠くから、コッソリと。
友人は頑張ってと、応援だけはしてくれたし、登録して1年もしないうちに諦めるとも言えなかった。
実際、自分の所属のサイトやweb小説について、全体の事はわからない。
私は、勢いで自ら、井戸に飛び込んだ蛙であり、5年が経過した現在、その深い井戸を脱出するすべをしらない。
それが、偶然なのか、本当にサイト内が日本文学チックな物語が溢れていたのか、わからないが、私は慌てた。
なんか、私も、凄く、文学的な、何かを書かなきゃいけないんだろうか?
そんな不安な気持ちの時に、たまたま、昔、世紀末に向けて詰め込んだ無駄知識を書き込んだ設定集みたいなノートを見つけたのだ。
そのノートには、ノストラダムスの年表がついていた。
来年…2018年、ミシェル・ノートルダムは大学に進学をしてから、丁度、500年だと気がついた。
気がついても、そんなもんに手を出さなきゃ良かった。が、後悔とチャンスの神様は先にたたない。
ついでに、バカな思いつきほど魅力的でバカを誘う。
私は、ノストラダムスの学生時代と剛のエピソードを融合することにした。
今から丁度、500年前… 学校に通い出す10代のノストラダムスに。
別にノストラダムスじゃ無くても良かった。剛のエピソードさえ書ければ。
フォーク歌手に憧れて、1年、母親に駄々をこね、買ってもらったギターを3日で放り出す、呆れた男の物語を表現できさえすれば。
勢いで登録したサイトではカネは稼げなかった。
だから、気楽な気分だった。
とにかく、物語を書いてみない事には何も始まらない。
そして、積年の夢…と言うか、悲願。
子供の頃、こずかいをはたき、ネクラキャラと呼ばれても買い続けた本の無駄知識を再利用する日がやって来たんだと思った。
私は作戦を少し変更していた。
コミックマーケット。
通称コミケ
手作りの本のフリマのようなあそこに、webで投稿して人気が出たら出展しようと考えた。
フリマのイベントは、この当時で激減していたし、名古屋には大きなイベントがあると聞いた。
自分の作品で有名になったら、名古屋の何処かの古本屋で特設会場を作って貰い、作品が売れるかもしれない。古本と私の短編をセットにした特別仕様のもの。
ついでに、フリマもさせて貰おう。夢が膨らむ
登録から一年くらいは、数回はこんな夢を見る。
頑張れば、自分にも数百人のファンが出来て、
書籍化は無理でも、たまに主催される小さな文学賞の、努力賞3万円が貰える日が来ると。
が、はっきり言って、そんなもんは誰にもは、めぐってこない。
シンデレラだって、一応、貴族だからお城に呼ばれたのだ。
web小説の場合にも、最低限の資格と言うものが存在する。
10万字の小説を完成させること。
未完の小説を放置しないこと。
後でバレる嘘はつかないこと。
この3つである。
特に、未完の放置は嫌われる。
素人の作品だから、文句は言われないけど、
読者は静かに去って行く。
だから、私はそれだけはやるまいと決めていた。
はじめは、短編から。
エピソードは決まっていた。
ノストラダムスの学生時代の話に剛の物語を植え込むことにした。
ノストラダムス…
歴史に名を残した偉人なのに、どことなく嘘臭くて、なんだか怪しいイメージがあった。
まあ、20世紀末に予言者として好き放題書かれたのが原因だ。
20世紀末に蘇ったノストラダムスは、いろんな人物に怪しげな助言をチャネリングでし、様々な著者を翻弄していた。
実在のノストラダムスについての記録があまりないから、好き放題、プロフィールを盛られていた。
夕飯の食材の豚について答えたり、
少女のデート帰りに『可愛い奥さん』と、声をかけ、彼との逢瀬をズバリ当てたりしていた。
そんなオッサン、いたらキモいし、嫌なやつだと嫌われるに違いない。
が、当時はそんなエピソードすら、驚愕しながら読んでいた。
21世紀になるまでは。
20世紀末に人類は滅亡しなかった。
ほぼ、壊滅したのは、そんなエピソードを書いていた作家の方だ。
数年から十数年、大切にされていたろう予言の本は、大量に大手の古本屋の100円コーナーへ回っていった。
そして、次に出てくるのは、ノストラダムスの間違いを正す感じの本だった。
私も予言の本を楽しく読んだ世代なので、一気に嘘つきキャラにされたノストラダムスを可哀想だと思った。
大体、ノストラダムスは、人類の滅亡なんて本に書いてはいないのだ。
悪いのは、ノストラダムスの本を書いていた作者であって、ノストラダムスは自分の人生を全うしようと頑張っただけだ。
まあ、そんな経緯もあって、ノストラダムスについては、わりと間抜けなキャラ付けをしても、読者はすんなりと受け入れてくれそうな気がした。
そうして、いつか、その話が小銭に変わる時が来たら、私の子供の頃も報われると思った。
今まで、私にカネを使わせ続けた剛とノストラダムス…
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