12 / 15
ヴィーナオーパンバル
魔法
しおりを挟む
「酔っなんていないわ…。失礼ね。」
エマは、すねた顔をして、それから、考え直したように
「やっぱり、酔ってるのかもしれないわ…。」
と、言いました。
「酔っぱらってるだって?ウイリーは、紅茶に酔うのかい?」
それを聞いてメアリーが驚いた声を出しました。
「あら、紅茶は美味しいけれど、それで酔ったわけではないわ。
フランクの精気にあてられたのだと思うの。」
「フランクの精気だって!?まったく、エマ、お前さん、欲張って吸いすぎたんだね?」
メアリーは、エマを責めましたが、エマも負けていません。不服そうにメアリーに言い返します。
「私が酔っているのは、フランクの恋心よ。
メアリーへの熱い、熱い…。彼、あなたを二度と放さないと言ったわ。
ウイリーの私があがらえながったのよ?
おかげで濃厚なフランクの精気を吸いすぎて胸焼けぎみよ。」
エマは、胸を軽く押さえてため息をつきました。
メアリーは苦虫を噛み潰したように口をへの字に曲げました。
「そうだよ…。メアリーはケチんぼなんだ。こんなに好かれているんだから、フランクのお嫁さんになってあげればいいじゃない。」
大人しく聞いていたフェネジが味方が出来たのを幸いにメアリーを責めました。
メアリーはフェネジをキッと睨み付けました。
フェネジは、また怒鳴り出すのかと構えていましたが、メアリーは怒鳴らずに悲しい笑顔でフランクの寝ているベッドを見つめました。
「お嫁さん?こんな体で?フランクは私の事を見ることも、感じることも出来ないのに?」
メアリーはフランクのところへ行って、彼の寝顔を愛しそうに見つめました。
「それなら、大丈夫だよ。メアリーが真実の愛を見せてくれたら、俺、ちゃんとメアリーの姿をもとに戻せる…気がする。」
フェネジは自信満々に言いましたが、メアリーはそんなフェネジを軽く睨んでナイトテーブルに置いておいた植物図鑑とカモーミールの箱を手にしました。
「アンタには頼らないよ。私だって魔術技師。
私の落とし前は、私がつけるよ。」
メアリーは軽く息を吸い込んで深く吐き出しました。
それから、乾燥したカモーミールを箱から取り出すと、それを集め、植物図鑑に描かれたエーデルワイスの絵を見つめ、その形を覚えたところで目を閉じました。
メアリーが呪文を唱えると、どうでしょう?
乾燥したカモーミールが白く輝きながら、空中で一つに集まり、そして、お日様の光を浴びた水晶のように七色に輝きながら、メアリーのフランクとの思い出を吸収しながら、一輪のエーデルワイスの白い花に変わったのです。
メアリーは、それを手にすると眠るフランクの枕元に置きました。
「フランク、私は、あなたを恋人のようには愛せなかったけれど、大好きよ。
いつも私を気にかけて、守ってくれてありがとう。
これは、あなたとは違う色の気持ちだけれど、真実の愛よ。
さあ、受け取って。
そして、元気になってちょうだい。」
メアリーはそう言うと、とても美しい涙を一滴エーデルワイスの上に落としました。
涙はエーデルワイスをったってフランクの口へと落ちて行きました。
メアリーの真実の愛を含んだ涙は、キラキラと輝きながらフランクの気持ちを癒してゆきました。
エマは、すねた顔をして、それから、考え直したように
「やっぱり、酔ってるのかもしれないわ…。」
と、言いました。
「酔っぱらってるだって?ウイリーは、紅茶に酔うのかい?」
それを聞いてメアリーが驚いた声を出しました。
「あら、紅茶は美味しいけれど、それで酔ったわけではないわ。
フランクの精気にあてられたのだと思うの。」
「フランクの精気だって!?まったく、エマ、お前さん、欲張って吸いすぎたんだね?」
メアリーは、エマを責めましたが、エマも負けていません。不服そうにメアリーに言い返します。
「私が酔っているのは、フランクの恋心よ。
メアリーへの熱い、熱い…。彼、あなたを二度と放さないと言ったわ。
ウイリーの私があがらえながったのよ?
おかげで濃厚なフランクの精気を吸いすぎて胸焼けぎみよ。」
エマは、胸を軽く押さえてため息をつきました。
メアリーは苦虫を噛み潰したように口をへの字に曲げました。
「そうだよ…。メアリーはケチんぼなんだ。こんなに好かれているんだから、フランクのお嫁さんになってあげればいいじゃない。」
大人しく聞いていたフェネジが味方が出来たのを幸いにメアリーを責めました。
メアリーはフェネジをキッと睨み付けました。
フェネジは、また怒鳴り出すのかと構えていましたが、メアリーは怒鳴らずに悲しい笑顔でフランクの寝ているベッドを見つめました。
「お嫁さん?こんな体で?フランクは私の事を見ることも、感じることも出来ないのに?」
メアリーはフランクのところへ行って、彼の寝顔を愛しそうに見つめました。
「それなら、大丈夫だよ。メアリーが真実の愛を見せてくれたら、俺、ちゃんとメアリーの姿をもとに戻せる…気がする。」
フェネジは自信満々に言いましたが、メアリーはそんなフェネジを軽く睨んでナイトテーブルに置いておいた植物図鑑とカモーミールの箱を手にしました。
「アンタには頼らないよ。私だって魔術技師。
私の落とし前は、私がつけるよ。」
メアリーは軽く息を吸い込んで深く吐き出しました。
それから、乾燥したカモーミールを箱から取り出すと、それを集め、植物図鑑に描かれたエーデルワイスの絵を見つめ、その形を覚えたところで目を閉じました。
メアリーが呪文を唱えると、どうでしょう?
乾燥したカモーミールが白く輝きながら、空中で一つに集まり、そして、お日様の光を浴びた水晶のように七色に輝きながら、メアリーのフランクとの思い出を吸収しながら、一輪のエーデルワイスの白い花に変わったのです。
メアリーは、それを手にすると眠るフランクの枕元に置きました。
「フランク、私は、あなたを恋人のようには愛せなかったけれど、大好きよ。
いつも私を気にかけて、守ってくれてありがとう。
これは、あなたとは違う色の気持ちだけれど、真実の愛よ。
さあ、受け取って。
そして、元気になってちょうだい。」
メアリーはそう言うと、とても美しい涙を一滴エーデルワイスの上に落としました。
涙はエーデルワイスをったってフランクの口へと落ちて行きました。
メアリーの真実の愛を含んだ涙は、キラキラと輝きながらフランクの気持ちを癒してゆきました。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
夫が寵姫に夢中ですので、私は離宮で気ままに暮らします
希猫 ゆうみ
恋愛
王妃フランチェスカは見切りをつけた。
国王である夫ゴドウィンは踊り子上がりの寵姫マルベルに夢中で、先に男児を産ませて寵姫の子を王太子にするとまで嘯いている。
隣国王女であったフランチェスカの莫大な持参金と、結婚による同盟が国を支えてるというのに、恩知らずも甚だしい。
「勝手にやってください。私は離宮で気ままに暮らしますので」
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
「婚約を破棄したい」と私に何度も言うのなら、皆にも知ってもらいましょう
天宮有
恋愛
「お前との婚約を破棄したい」それが伯爵令嬢ルナの婚約者モグルド王子の口癖だ。
侯爵令嬢ヒリスが好きなモグルドは、ルナを蔑み暴言を吐いていた。
その暴言によって、モグルドはルナとの婚約を破棄することとなる。
ヒリスを新しい婚約者にした後にモグルドはルナの力を知るも、全てが遅かった。
十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!
翠玉 結
恋愛
公爵令嬢である私、エリーザは挙式前夜の式典で命を落とした。
「貴様とは、婚約破棄する」と残酷な事を突きつける婚約者、王太子殿下クラウド様の手によって。
そしてそれが一度ではなく、何度も繰り返していることに気が付いたのは〖十三回目〗の人生。
死んだ理由…それは、毎回悪役令嬢というポジションで立ち振る舞い、殿下の恋路を邪魔していたいたからだった。
どう頑張ろうと、殿下からの愛を受け取ることなく死ぬ。
その結末をが分かっているならもう二度と同じ過ちは繰り返さない!
そして死なない!!
そう思って殿下と関わらないようにしていたのに、
何故か前の記憶とは違って、まさかのご執心で溺愛ルートまっしぐらで?!
「殿下!私、死にたくありません!」
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
※他サイトより転載した作品です。
私が出て行った後、旦那様から後悔の手紙がもたらされました
新野乃花(大舟)
恋愛
ルナとルーク伯爵は婚約関係にあったが、その関係は伯爵の妹であるリリアによって壊される。伯爵はルナの事よりもリリアの事ばかりを優先するためだ。そんな日々が繰り返される中で、ルナは伯爵の元から姿を消す。最初こそ何とも思っていなかった伯爵であったが、その後あるきっかけをもとに、ルナの元に後悔の手紙を送ることとなるのだった…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる