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ちょっと一服 〜作者のぼやき〜11
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レクスは悲しい話だ。
それでも、美しい物語だった。
健気な少女は、ドキドキしながら、少し命令口調でレクスに結婚を申し込み、
怒る父親には、白い、花嫁衣装で悲しい運命と覚悟を匂わせた。
確か、初めて白いウエディングドレスを着たのは、メアリー王女ではなかったか?この時代では一般的ではない。
しかし、この少女のドレスは意味合いが違う。
もう、死んでしまうのだ。自分はその覚悟が出来た、と、父親に暗に訴えかけているのだ。
父親は、その少し暖かみのある薄いベージュのドレスに覆うレースの、美しい輝きに胸をうたれる。
大商人の彼は、物の価値がよくわかる。裾の辺りにつたない部分もあるとしても、上半身を飾る細く美しいそのレースは、女王様でもなかなか手に入れられない一級品だ。しかし、今は、父親として、少女の成長と思い出を編み地の中に見つけるだけだ。
そこには、家に伝わる伝統のパターンがあり、その形状に少女を愛し、彼岸の岸に消えた家族の面影が見える。
この時代、平均年齢は30才。特に女性は、出産のリスクを抱えていて、貴族と言えどもそれは同じだと、母子手帳の話と共に聞いたことがある。(白雪姫とか、シンデレラのお母さんも早死にだしね)。
少女の父はレースの模様に、今は亡き叔母の姿を思い出して胸をつかれ、
私は、自分に編み物を教えてくれた叔母を思い出して涙する。
こんな訳で、書いてるこっちは深くキャラクターと感情を共有してしまう。
結局、父親が折れて、少女の結婚を許し、
レクスは、この大商人に脅されるわけだ。
持参金はくれてやる。が、娘に手を出したらぶっ殺す。
いや、いや、そんなに脅さなくても、15才と言っても痩せて12、13才位にしか見えない少女にレクスだって、怖くて手なんて出せない。
身内だけの慎(つつ)ましい結婚式。
教会にはいかず、家の庭で、馴染みの司教様に神に背いて形ばかりの結婚の約束をする。
それでも、少女の幸せそうな笑顔に、皆、納得する。
そして、新婚初夜。
もう、そんなん、考えなくいいじゃないか、と、自分に文句をいいつつ、少しドキドキしながら、物語が進んで行く、新婚の二人に用意された部屋の川を隔てて向かいの建物では、監視役の男が見守っている。
そこ、ここに監視の気配を感じながら、レクスはリュートを片手にシチリアーナをつま弾いている。
レクスは少し誤解している。
少女は、自分が好きなわけではなく、ただ、旅立つ自分の為に資金を回すために結婚したのだと。
少女の本当に好きなのは別の人物だと、レクスは考えている。その正体は仮面を被ったレクス、と言う、書いてるこっちが恥ずかしくなるくらい、ベタベタの昭和のパターンだが、そのベタベタが今の時代の私には、希少で懐かしい。
やがて、夜の準備を終わらせた少女が開いた扉から登場する。
夜具とはいえ、60年代のハリウッド映画の時代物に出てくるような、足まで隠れるナイトドレスに、薄桃色のナイトガウンを羽織り(少しでも血色よく見えるように桃色を選ぶのが健気なんだよなぁ)、薄化粧をほどこされて、現代なら、街中歩いても良いくらいの可愛らしい姿で微笑みかける。
レクスは…。そのほどかれた艶やかな黒髪をみて、少し頬を赤らめて言葉をなくしている。
ああ、Webの時代物は過激だから、不満だろうけれど、この時代、ある程度大人になった女の子のストレートヘアを見るなんて、なかなか出来ないんだ。
肩に流れる少女の髪を見る男性は、それだけで、特別な存在を意味する。
ここではじめて、レクスは少女と結婚したことを自覚する。
話は勝手に頭を走る。
悲しくて、どことなく懐かしい、私の作る冒険小説。
このヒロイン。一般向けしてるのか分からないけれど、私は段々好きにならずにいられない。
それでも、美しい物語だった。
健気な少女は、ドキドキしながら、少し命令口調でレクスに結婚を申し込み、
怒る父親には、白い、花嫁衣装で悲しい運命と覚悟を匂わせた。
確か、初めて白いウエディングドレスを着たのは、メアリー王女ではなかったか?この時代では一般的ではない。
しかし、この少女のドレスは意味合いが違う。
もう、死んでしまうのだ。自分はその覚悟が出来た、と、父親に暗に訴えかけているのだ。
父親は、その少し暖かみのある薄いベージュのドレスに覆うレースの、美しい輝きに胸をうたれる。
大商人の彼は、物の価値がよくわかる。裾の辺りにつたない部分もあるとしても、上半身を飾る細く美しいそのレースは、女王様でもなかなか手に入れられない一級品だ。しかし、今は、父親として、少女の成長と思い出を編み地の中に見つけるだけだ。
そこには、家に伝わる伝統のパターンがあり、その形状に少女を愛し、彼岸の岸に消えた家族の面影が見える。
この時代、平均年齢は30才。特に女性は、出産のリスクを抱えていて、貴族と言えどもそれは同じだと、母子手帳の話と共に聞いたことがある。(白雪姫とか、シンデレラのお母さんも早死にだしね)。
少女の父はレースの模様に、今は亡き叔母の姿を思い出して胸をつかれ、
私は、自分に編み物を教えてくれた叔母を思い出して涙する。
こんな訳で、書いてるこっちは深くキャラクターと感情を共有してしまう。
結局、父親が折れて、少女の結婚を許し、
レクスは、この大商人に脅されるわけだ。
持参金はくれてやる。が、娘に手を出したらぶっ殺す。
いや、いや、そんなに脅さなくても、15才と言っても痩せて12、13才位にしか見えない少女にレクスだって、怖くて手なんて出せない。
身内だけの慎(つつ)ましい結婚式。
教会にはいかず、家の庭で、馴染みの司教様に神に背いて形ばかりの結婚の約束をする。
それでも、少女の幸せそうな笑顔に、皆、納得する。
そして、新婚初夜。
もう、そんなん、考えなくいいじゃないか、と、自分に文句をいいつつ、少しドキドキしながら、物語が進んで行く、新婚の二人に用意された部屋の川を隔てて向かいの建物では、監視役の男が見守っている。
そこ、ここに監視の気配を感じながら、レクスはリュートを片手にシチリアーナをつま弾いている。
レクスは少し誤解している。
少女は、自分が好きなわけではなく、ただ、旅立つ自分の為に資金を回すために結婚したのだと。
少女の本当に好きなのは別の人物だと、レクスは考えている。その正体は仮面を被ったレクス、と言う、書いてるこっちが恥ずかしくなるくらい、ベタベタの昭和のパターンだが、そのベタベタが今の時代の私には、希少で懐かしい。
やがて、夜の準備を終わらせた少女が開いた扉から登場する。
夜具とはいえ、60年代のハリウッド映画の時代物に出てくるような、足まで隠れるナイトドレスに、薄桃色のナイトガウンを羽織り(少しでも血色よく見えるように桃色を選ぶのが健気なんだよなぁ)、薄化粧をほどこされて、現代なら、街中歩いても良いくらいの可愛らしい姿で微笑みかける。
レクスは…。そのほどかれた艶やかな黒髪をみて、少し頬を赤らめて言葉をなくしている。
ああ、Webの時代物は過激だから、不満だろうけれど、この時代、ある程度大人になった女の子のストレートヘアを見るなんて、なかなか出来ないんだ。
肩に流れる少女の髪を見る男性は、それだけで、特別な存在を意味する。
ここではじめて、レクスは少女と結婚したことを自覚する。
話は勝手に頭を走る。
悲しくて、どことなく懐かしい、私の作る冒険小説。
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