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懺悔
呪い譜(うた)3
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「私は、本物ですよ。」
プレアティは静かにそう答えた。
「本物の…プレアティと、言いたいのでしょうか?」
カルロはプレアティの顔を静かに見つめた。
どことなく懐かしさの感じるラテン系の堀の深い顔をしている。
「錬金術の方ですよ。鍛冶屋を目指して故郷を出たので。」
プレアティの言葉にカルロの胸が懐かしさにキュッとなる。
かつて、カルロも近隣の少年と街へと職を求めて旅をした。
沢山の少年と出会い、そして話をした。
長い戦の為に鍛冶屋の仕事は忙しかった。
気の荒い傭兵はすぐに甲冑に切りかかり刃を悪くするし、戦利品の刀や、折れた鉄屑を新しい刀へと鍛える等、仕事はつきなかった。
「鍛冶屋…いつから、錬金術を始めたのでしょうか?」
カルロは穏やかにきいた。
ジャンヌ・ダルクが登場する前のブルターニュは混乱していた。
イングランド軍はノルマンディからパリへと、フランスに自陣を増やしはじめていた。
戦があった。
刀の数だけ人が死んだ。
「小僧時代に、材料を集めによく古戦場へ行きましたよ。
私は目のたつ方でね、色々な『お宝』を見つけましたよ。
お宝と言っても普通の人には鉄屑。
しかし、見る人には名刀の欠片。ものが違うのです。で、私の能力を気に入ってくれた金持ちが私を高額で買い取ってくれましてね。錬金術が好きな旦那様に。
何でも、名刀にはそれを所有した人物の魂がこもっているそうですよ。」
プレアティはそう言って笑う。カルロはそれを見つめる。心なしかプレアティの顔に闇がかかるように思える。明かり取りの窓から、高くなった日の光が部屋を明るくしていた。
あと、一時…と言うところでしょうか?
カルロは、処刑される男を憐れんだ。
「カルロ様、私はね、そこで天国みたいな生活をしましたよ。
食べるに困らない生活。沢山の本。潤沢な材料。
実の親よりよくしてくれましたよ。旦那様は。
いつか、旦那様のお役にたちたいと…礼をしたいと考えていましたが、叶いませんでした。
旦那様の願いは、ジャンヌ様の復活。
そして、ジャンヌ様の願いを叶えること。
でも、そんな事、私に叶えられるわけもありません。
それは、あの、偉大な旦那様にも同じことで、やがて、人ならざるモノの力を借りようとなさいました。 イタリアの怪しげな呪い師の言葉を信じて。」
プレアティは、辛いことを思い出したかのように一度口をつぐんだ。
プレアティは静かにそう答えた。
「本物の…プレアティと、言いたいのでしょうか?」
カルロはプレアティの顔を静かに見つめた。
どことなく懐かしさの感じるラテン系の堀の深い顔をしている。
「錬金術の方ですよ。鍛冶屋を目指して故郷を出たので。」
プレアティの言葉にカルロの胸が懐かしさにキュッとなる。
かつて、カルロも近隣の少年と街へと職を求めて旅をした。
沢山の少年と出会い、そして話をした。
長い戦の為に鍛冶屋の仕事は忙しかった。
気の荒い傭兵はすぐに甲冑に切りかかり刃を悪くするし、戦利品の刀や、折れた鉄屑を新しい刀へと鍛える等、仕事はつきなかった。
「鍛冶屋…いつから、錬金術を始めたのでしょうか?」
カルロは穏やかにきいた。
ジャンヌ・ダルクが登場する前のブルターニュは混乱していた。
イングランド軍はノルマンディからパリへと、フランスに自陣を増やしはじめていた。
戦があった。
刀の数だけ人が死んだ。
「小僧時代に、材料を集めによく古戦場へ行きましたよ。
私は目のたつ方でね、色々な『お宝』を見つけましたよ。
お宝と言っても普通の人には鉄屑。
しかし、見る人には名刀の欠片。ものが違うのです。で、私の能力を気に入ってくれた金持ちが私を高額で買い取ってくれましてね。錬金術が好きな旦那様に。
何でも、名刀にはそれを所有した人物の魂がこもっているそうですよ。」
プレアティはそう言って笑う。カルロはそれを見つめる。心なしかプレアティの顔に闇がかかるように思える。明かり取りの窓から、高くなった日の光が部屋を明るくしていた。
あと、一時…と言うところでしょうか?
カルロは、処刑される男を憐れんだ。
「カルロ様、私はね、そこで天国みたいな生活をしましたよ。
食べるに困らない生活。沢山の本。潤沢な材料。
実の親よりよくしてくれましたよ。旦那様は。
いつか、旦那様のお役にたちたいと…礼をしたいと考えていましたが、叶いませんでした。
旦那様の願いは、ジャンヌ様の復活。
そして、ジャンヌ様の願いを叶えること。
でも、そんな事、私に叶えられるわけもありません。
それは、あの、偉大な旦那様にも同じことで、やがて、人ならざるモノの力を借りようとなさいました。 イタリアの怪しげな呪い師の言葉を信じて。」
プレアティは、辛いことを思い出したかのように一度口をつぐんだ。
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