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第三章 フリーユの街編
18 恥ずかしいことになりました
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「ふう……」
騎士を倒した僕は、血糊を飛ばしナイフを鞘に収める。
「て、てめえ自分が何をしたのかわかってるのか!?」
「騎士に手を出して許されるはずがないぞ!」
倒れる騎士に駆け寄った取り巻き二人が僕を見て何やら喚いている。
そういえばこいつらもいたなぁ。
「あなた方もやりますか?」
振り向き、ナイフをちらつかせながら尋ねると。
「ひ、ひいいいいっ!」
「ち、近寄るな! 化物!」
二人して騎士とは思えない情けない声を上げはじめた。
やっぱりか。
僕は二人を見て合点がいく。
初めからこの二人には不可解な点を感じていた。
僕はシフォンのように気配を測れる訳ではないが、経験を積んだことで相手の力量はなんとなく分かる。
それによると、この二人からは強者の気配を全く感じないのだ。本当に騎士なのか怪しいくらいだ。
二人とも格好は騎士そのものだが、まるで愛らしい小動物が両手を掲げ自分の体を大きく見せようとしているようなチグハグさを感じずにはいられなかった。
うるさい二人は放っておいても脅威にはならないと判断した僕は、理不尽な理由で殺されそうになっていた門兵の元へ歩みを進める。
「大丈夫ですか?」
門兵は腰が抜けているようで、自力では立てないようだった。
手を差し伸べ起こしてあげる。
彼の手は震えていた。
「すみません……。助けていただきありがとうございました」
よっぽど怖かったのだろう。
騎士相手に強気でいた彼は鳴りをひそめ、今や弱々しい姿となっていた。
「無事ならよかったです」
「本当にありがとうございました」
最後にそう言って、ふらふらになりながらも門兵は街の方へと去っていった。
僕が介入したことで、事態は彼一人で対処できるレベルを超えている。上司や応援を呼びに行ったのかもしれない。
「ーーさて」
門兵を見送った僕は野次馬の方を向く。
この状況。どうしたものか。
野次馬たちが一様に僕を見ていた。
あっけに取られているような。
今起きたことをまだ理解できずにいるような。
誰も彼もが間抜けた顔をしている。
そして静かだった。
誰一人動こうとしない。
まるで僕の言葉を待っているかのようだ。
「えっと……やりすぎましたかね?」
僕は彼らを前にそう呟いた。他に言う言葉が思いつかなかったのだから仕方がない。無言で立ち去るのもなんか違うし。
「あ__」
最初に動きを取り戻したのは商人のおじさんだった。
おじさんは僕の元まで近づく。
下を向いているので表情は見えないが、怒っているんだなとは思った。
理由はどうであれ、街の目の前で面倒ごとを起こしたのは僕だ。
騎士をこんな目に遭わせたのも僕だ。
非難されても仕方がない、と身構えた時だった。
「ーー兄ちゃん! 恐ろしく強えのな! びっくりこいたぜ!」
商人は興奮冷めやらぬ様子でそう言ったのだ。
「え」
てっきり小言をいわれると思いきや、全くの予想外で固まる僕。
「ん? なに惚けた面してんだ? これ、兄ちゃんがやったんだよな」
商人が倒れる騎士を指差して聞いてくる。
「……はい」
途端に嬉しそうな顔をする商人。
「やっぱそうだよな!? いやー、最初は速すぎて何が起こってんのかわからなかったけどよ……兄ちゃんが走ったのは見えたからもしかしてと思ったんだ。騎士が倒れて、兄ちゃんが立っていたもんだから兄ちゃんがやっつけたんだと知って、おらぁびっくらこいたな!」
「ははは……」
「うっすい反応だな! 兄ちゃんはすげえことをしたんだ! もっと胸を張るべきじゃないかい」
「でも騎士を手にかけてしまいましたし……」
「なんだそんな小せえこと気にしてんのかい?」
小さいって……。
僕のしたことは全然小さいことではないと思うんだけどな。
ーーというか。
冷静になって考えてみれば、小さいどころか結構な重い罪になる可能性がある。
なぜなら僕は国の守護者たる騎士を手にかけてしまったわけで。貴族ならまだしも平民が騎士に歯向かうことは重罪とされているわけで。
このことが公になれば、僕は連行だけでは済まされない可能性がある。
事を起こす前にそんなことに頭が回らないとは、僕はよっぽど冷静じゃなかったらしい。
まったく我ながら厄介なことに手を出してしまったものだ。
けど、一寸も後悔はない。むしろ清々しいくらいだ。
単純に許せなかった。
騎士が民に手をあげることが。
選ばれた者が傲慢に振る舞うことが。
強者が弱者を痛ぶることが。
「兄ちゃん」
商人が僕の両肩に手を置く。
「何を勘違いしてんのか知らないけどな。少なくともこの場には、兄ちゃんがしたことを非難するやつはいないぜ? ーーなあ、そうだろ!?」
商人のおじさんが後ろにいる人たちに呼びかける。
彼らは一瞬目を瞬かせるとーー。
「あ、当たり前だろ!」
「そうよ! そうよ!」
「悪いのはそこの馬鹿どもだ!」
「あなたは良いことをしたのよ! 胸を張って!」
「むしろよくやった! かっこよかったぞ!」
「ありがとな! お陰でスッキリしたよ!」
僕を非難するどころか、感謝する者まで現れる。
「どうして」
僕が目を白黒させていると、商人のおじさんがにかっと笑った。
「そりゃ、兄ちゃんがおら達の英雄だからだ」
「英雄?」
頭にはてなマークが浮かぶ。僕がしたことは門兵を傷つけようとしていた騎士を倒しただけだ。
それがどうして英雄になるんだろ。
「兄ちゃんだけだったんだ。あの時、門兵を助けようと行動したのはな。おら達は見ていることしかできなかった。頭ではわかっていても、怖くて動くことができなかったのさ」
思い出しているのか、商人は少し肩を震わせた。
ーーそれは仕方がない、と思う。
【騎士】は全職業の中でも上位に君臨する上級職だ。実力は折り紙付きで、あの騎士は強者の雰囲気を纏っていた。
対して、ここにいるほとんどの人は戦闘職を持たない一般市民だ。
職業第一主義のこの世界で、一般職の市民が上級職の騎士に勝てるはずがない。
誰だって自分の命が一番大切だ。
理不尽な理由により目の前で人が殺されようとも、圧倒的強者に立ち向かえる者はいないだろう。
「おら達が見てみぬ振りをする中、兄ちゃんは違った。あの騎士に立ち向かったんだ。しまいにゃ勝っちまった。おらは心が震えたよ。家内が魔道具を発明したあの日と同じくらい感激した」
心なしか商人の瞳が輝いている。
まるで小さい子供が憧れの存在に出会ったかのような、そんな目だ。
「門兵を庇い戦う姿はまさにーー英雄だった。おらはな、兄ちゃんに英雄の勇姿を見たんだ!」
「……」
商人はとても褒めてくれる。
だが、僕は英雄と呼ばれるほど大それた人間ではない。そんなこと自分が一番よくわかっている。
努力をしたにもかかわらず職業を授かれない無職。
家を追い出され生きる気力を失った。
なんとか目標を見つけたものの、大切な人を守りきれなかった。
約束を破ってしまった。
こんな僕が英雄だなんて……笑っちゃう。
「……あの時は体が勝手に動いた感じで……勝てたのも半分はまぐれで……僕は、英雄じゃありません」
真実だ。
商人だって一時の感情に熱されているだけで、冷静になれば僕が英雄じゃないと、英雄と呼ぶのに値しない人間だとわかるはずだ。
「ちがうよ!」
高い声がした。
視線を下げる。
いつの間にか小さい男の子が立っていた。
男の子は怒っているような、少し悲しんでいるような難しい表情をしている。
「おにいちゃんは“えいゆう“だったよ! ぼく、“きし“の人よりかっこいいって思ったもん! “えいゆう“じゃないなんてウソだよ!」
ポカーンである。
何を言うかと思えば、この小さい子も僕が英雄だと言うのか。
騎士よりかっこいいって。
それは倒れている騎士が偶々かっこ悪かっただけで、他の騎士はめちゃくちゃかっこいいんだよ。一度、王都に足を運んでみるといいよ。
と、伝えようか迷っている僕の耳に商人の笑い声が入る。
「ハハハっ! この坊主の方がわかっているじゃねえかい!」
「痛い! 乱暴に頭を撫でないでよ、おじさん!」
「坊主の言う通りだ! 英雄と決めるのは兄ちゃん自身じゃねえ。おら達、守られた側が決めんだ!」
「そんな……」
横暴だ。
英雄じゃないのに英雄と呼ばれるなんて納得いかない。
なおも認めない僕に、少年は思いもよらぬ行動をとった。
「えいゆう! えいゆう! えいゆう!」
なんと手拍子しなが英雄コールを始めたのだ。
「ーーお、坊主いいな! わかってるじゃねえかい! 英雄! 英雄!」
商人も男の子に続く。
良い年いったおじさんが何をしているんだろう。
そう思ったのだが。
「「「「英雄! 英雄! 英雄! 英雄!」」」」
その輪は、みるみるうちに周りに伝播していくではないか。
ええ……。
検問所の前は側から見れば狂気に満ちた集団と化していた。
ここまで行くと僕が何を言おうと止まらないだろう。
居心地が悪くなった僕は馬車がある遠くを見つめる。
と、ちょうど御者席に座るシフォンと目があった。
シフォンの元までコールが届いたのだろう。
彼女は微笑んでいた。
いや、笑ってないでなんとかしてよ。
ーー僕の思いは届かず。
しばらくの間、英雄コールが鳴り止むことはなかった。
騎士を倒した僕は、血糊を飛ばしナイフを鞘に収める。
「て、てめえ自分が何をしたのかわかってるのか!?」
「騎士に手を出して許されるはずがないぞ!」
倒れる騎士に駆け寄った取り巻き二人が僕を見て何やら喚いている。
そういえばこいつらもいたなぁ。
「あなた方もやりますか?」
振り向き、ナイフをちらつかせながら尋ねると。
「ひ、ひいいいいっ!」
「ち、近寄るな! 化物!」
二人して騎士とは思えない情けない声を上げはじめた。
やっぱりか。
僕は二人を見て合点がいく。
初めからこの二人には不可解な点を感じていた。
僕はシフォンのように気配を測れる訳ではないが、経験を積んだことで相手の力量はなんとなく分かる。
それによると、この二人からは強者の気配を全く感じないのだ。本当に騎士なのか怪しいくらいだ。
二人とも格好は騎士そのものだが、まるで愛らしい小動物が両手を掲げ自分の体を大きく見せようとしているようなチグハグさを感じずにはいられなかった。
うるさい二人は放っておいても脅威にはならないと判断した僕は、理不尽な理由で殺されそうになっていた門兵の元へ歩みを進める。
「大丈夫ですか?」
門兵は腰が抜けているようで、自力では立てないようだった。
手を差し伸べ起こしてあげる。
彼の手は震えていた。
「すみません……。助けていただきありがとうございました」
よっぽど怖かったのだろう。
騎士相手に強気でいた彼は鳴りをひそめ、今や弱々しい姿となっていた。
「無事ならよかったです」
「本当にありがとうございました」
最後にそう言って、ふらふらになりながらも門兵は街の方へと去っていった。
僕が介入したことで、事態は彼一人で対処できるレベルを超えている。上司や応援を呼びに行ったのかもしれない。
「ーーさて」
門兵を見送った僕は野次馬の方を向く。
この状況。どうしたものか。
野次馬たちが一様に僕を見ていた。
あっけに取られているような。
今起きたことをまだ理解できずにいるような。
誰も彼もが間抜けた顔をしている。
そして静かだった。
誰一人動こうとしない。
まるで僕の言葉を待っているかのようだ。
「えっと……やりすぎましたかね?」
僕は彼らを前にそう呟いた。他に言う言葉が思いつかなかったのだから仕方がない。無言で立ち去るのもなんか違うし。
「あ__」
最初に動きを取り戻したのは商人のおじさんだった。
おじさんは僕の元まで近づく。
下を向いているので表情は見えないが、怒っているんだなとは思った。
理由はどうであれ、街の目の前で面倒ごとを起こしたのは僕だ。
騎士をこんな目に遭わせたのも僕だ。
非難されても仕方がない、と身構えた時だった。
「ーー兄ちゃん! 恐ろしく強えのな! びっくりこいたぜ!」
商人は興奮冷めやらぬ様子でそう言ったのだ。
「え」
てっきり小言をいわれると思いきや、全くの予想外で固まる僕。
「ん? なに惚けた面してんだ? これ、兄ちゃんがやったんだよな」
商人が倒れる騎士を指差して聞いてくる。
「……はい」
途端に嬉しそうな顔をする商人。
「やっぱそうだよな!? いやー、最初は速すぎて何が起こってんのかわからなかったけどよ……兄ちゃんが走ったのは見えたからもしかしてと思ったんだ。騎士が倒れて、兄ちゃんが立っていたもんだから兄ちゃんがやっつけたんだと知って、おらぁびっくらこいたな!」
「ははは……」
「うっすい反応だな! 兄ちゃんはすげえことをしたんだ! もっと胸を張るべきじゃないかい」
「でも騎士を手にかけてしまいましたし……」
「なんだそんな小せえこと気にしてんのかい?」
小さいって……。
僕のしたことは全然小さいことではないと思うんだけどな。
ーーというか。
冷静になって考えてみれば、小さいどころか結構な重い罪になる可能性がある。
なぜなら僕は国の守護者たる騎士を手にかけてしまったわけで。貴族ならまだしも平民が騎士に歯向かうことは重罪とされているわけで。
このことが公になれば、僕は連行だけでは済まされない可能性がある。
事を起こす前にそんなことに頭が回らないとは、僕はよっぽど冷静じゃなかったらしい。
まったく我ながら厄介なことに手を出してしまったものだ。
けど、一寸も後悔はない。むしろ清々しいくらいだ。
単純に許せなかった。
騎士が民に手をあげることが。
選ばれた者が傲慢に振る舞うことが。
強者が弱者を痛ぶることが。
「兄ちゃん」
商人が僕の両肩に手を置く。
「何を勘違いしてんのか知らないけどな。少なくともこの場には、兄ちゃんがしたことを非難するやつはいないぜ? ーーなあ、そうだろ!?」
商人のおじさんが後ろにいる人たちに呼びかける。
彼らは一瞬目を瞬かせるとーー。
「あ、当たり前だろ!」
「そうよ! そうよ!」
「悪いのはそこの馬鹿どもだ!」
「あなたは良いことをしたのよ! 胸を張って!」
「むしろよくやった! かっこよかったぞ!」
「ありがとな! お陰でスッキリしたよ!」
僕を非難するどころか、感謝する者まで現れる。
「どうして」
僕が目を白黒させていると、商人のおじさんがにかっと笑った。
「そりゃ、兄ちゃんがおら達の英雄だからだ」
「英雄?」
頭にはてなマークが浮かぶ。僕がしたことは門兵を傷つけようとしていた騎士を倒しただけだ。
それがどうして英雄になるんだろ。
「兄ちゃんだけだったんだ。あの時、門兵を助けようと行動したのはな。おら達は見ていることしかできなかった。頭ではわかっていても、怖くて動くことができなかったのさ」
思い出しているのか、商人は少し肩を震わせた。
ーーそれは仕方がない、と思う。
【騎士】は全職業の中でも上位に君臨する上級職だ。実力は折り紙付きで、あの騎士は強者の雰囲気を纏っていた。
対して、ここにいるほとんどの人は戦闘職を持たない一般市民だ。
職業第一主義のこの世界で、一般職の市民が上級職の騎士に勝てるはずがない。
誰だって自分の命が一番大切だ。
理不尽な理由により目の前で人が殺されようとも、圧倒的強者に立ち向かえる者はいないだろう。
「おら達が見てみぬ振りをする中、兄ちゃんは違った。あの騎士に立ち向かったんだ。しまいにゃ勝っちまった。おらは心が震えたよ。家内が魔道具を発明したあの日と同じくらい感激した」
心なしか商人の瞳が輝いている。
まるで小さい子供が憧れの存在に出会ったかのような、そんな目だ。
「門兵を庇い戦う姿はまさにーー英雄だった。おらはな、兄ちゃんに英雄の勇姿を見たんだ!」
「……」
商人はとても褒めてくれる。
だが、僕は英雄と呼ばれるほど大それた人間ではない。そんなこと自分が一番よくわかっている。
努力をしたにもかかわらず職業を授かれない無職。
家を追い出され生きる気力を失った。
なんとか目標を見つけたものの、大切な人を守りきれなかった。
約束を破ってしまった。
こんな僕が英雄だなんて……笑っちゃう。
「……あの時は体が勝手に動いた感じで……勝てたのも半分はまぐれで……僕は、英雄じゃありません」
真実だ。
商人だって一時の感情に熱されているだけで、冷静になれば僕が英雄じゃないと、英雄と呼ぶのに値しない人間だとわかるはずだ。
「ちがうよ!」
高い声がした。
視線を下げる。
いつの間にか小さい男の子が立っていた。
男の子は怒っているような、少し悲しんでいるような難しい表情をしている。
「おにいちゃんは“えいゆう“だったよ! ぼく、“きし“の人よりかっこいいって思ったもん! “えいゆう“じゃないなんてウソだよ!」
ポカーンである。
何を言うかと思えば、この小さい子も僕が英雄だと言うのか。
騎士よりかっこいいって。
それは倒れている騎士が偶々かっこ悪かっただけで、他の騎士はめちゃくちゃかっこいいんだよ。一度、王都に足を運んでみるといいよ。
と、伝えようか迷っている僕の耳に商人の笑い声が入る。
「ハハハっ! この坊主の方がわかっているじゃねえかい!」
「痛い! 乱暴に頭を撫でないでよ、おじさん!」
「坊主の言う通りだ! 英雄と決めるのは兄ちゃん自身じゃねえ。おら達、守られた側が決めんだ!」
「そんな……」
横暴だ。
英雄じゃないのに英雄と呼ばれるなんて納得いかない。
なおも認めない僕に、少年は思いもよらぬ行動をとった。
「えいゆう! えいゆう! えいゆう!」
なんと手拍子しなが英雄コールを始めたのだ。
「ーーお、坊主いいな! わかってるじゃねえかい! 英雄! 英雄!」
商人も男の子に続く。
良い年いったおじさんが何をしているんだろう。
そう思ったのだが。
「「「「英雄! 英雄! 英雄! 英雄!」」」」
その輪は、みるみるうちに周りに伝播していくではないか。
ええ……。
検問所の前は側から見れば狂気に満ちた集団と化していた。
ここまで行くと僕が何を言おうと止まらないだろう。
居心地が悪くなった僕は馬車がある遠くを見つめる。
と、ちょうど御者席に座るシフォンと目があった。
シフォンの元までコールが届いたのだろう。
彼女は微笑んでいた。
いや、笑ってないでなんとかしてよ。
ーー僕の思いは届かず。
しばらくの間、英雄コールが鳴り止むことはなかった。
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