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第十一章 幸運は不幸への序曲(プロローグ)
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ドイツ語ができる人にとって、ドイツ語と文法も単語も似ている英語は簡単らしく、オーストリアで英語が喋れない若者は非常に少ないです。
そんな中でも特に英語に自信のある人たちが、僕の在籍していた翻訳学科には群雄割拠していました。
ドイツ語を母国語にし、英語を簡単だと思っている人たちの中で、僕はドイツ語と英語(日本語はありません)を翻訳する授業に出ていました。
現地の学生でも難しいというテストに、どっちの言語も付け焼刃の僕が受かるはずがありません。
そこで僕は考えました、
「英語圏に行けば、長らくドイツ語圏に留学している僕のドイツ語の方が上なのではないか」と。
これこそ僕が留学先のオーストリアから英語圏へのさらなる留学を志した理由です。
ヨーロッパの交換留学プログラムということで、留学先はヨーロッパの様々な国の大学がありましたが、英語圏へのは希望者は極めて多く、また翻訳学科から参加できるのはたった四名と狭き門。
それに、オーストリアに税金を払っていない僕が、日本の大学からすら出なかったのに、留学のための奨学金なんて貰えるわけがない。
そう思っていました。
しかし、日本学科の学友が同様の留学プログラムに何度も応募し、次々に日本へ旅立っていくのを見送っている内に、外国人の僕にもチャンスがあるんじゃないか、と思うようになり、ダメもとでスコットランドのエジンバラ留学に申し込んでみました。
今考えてみても、心の底から「運がよかった」と思えるのは、小学生の頃におかめ納豆を食べまくって応募したら任天堂64が当たったことと、今回この留学プログラムのために一発で選抜されたことくらいです。
しかも、選ばれてしまえばこちらのもの、「取得すべき単位は必ず取れる!」という自信が僕の中にはありました。
合格した留学プログラムは欧州で格式高い歴史あるものなのですが、僕の認識では形骸化したクソプログラムで、ヨーロッパ諸国がバカみたいにお金を出しあって留学生に海外の年間無料パーティー券を配っているようにしか思えませんでした。
この留学制度を使ってウィーンに来た学生は、英語の授業など人気が高く通常は抽選をしなければ受けられない授業も特別枠で受けられ、現地生が四苦八苦する難しいテストも別の課題やレポート提出で免除されます。
授業に出席さえしていれば勉強しなくていいものだから、留学生は旅行にグルメと奨学金で奢侈を尽くす。
クラブの中には火曜日などに『留学生の日』なるものを設け、毎週様々なプログラムを用意するところもあり、この制度を使う留学生がいかにパーティー好きか、いかに勉強していないかがうかがえました。
もちろんエジンバラ留学中は僕も例に漏れずクソプログラムの恩恵にあずかり、勉強はほどほどに、留学生仲間とパーティーや観光に明け暮れました。
ポジティブに考えれば、オーストリア代表として、オーストリアにいる時よりもオーストリア人と結束でき、仲良くなれましたし、卒業単位も無事に取得することができました。
だがしかし、それすらも覆ってしまう不幸な出来事が英国留学中にも起こったのです。
第十二章に続く
そんな中でも特に英語に自信のある人たちが、僕の在籍していた翻訳学科には群雄割拠していました。
ドイツ語を母国語にし、英語を簡単だと思っている人たちの中で、僕はドイツ語と英語(日本語はありません)を翻訳する授業に出ていました。
現地の学生でも難しいというテストに、どっちの言語も付け焼刃の僕が受かるはずがありません。
そこで僕は考えました、
「英語圏に行けば、長らくドイツ語圏に留学している僕のドイツ語の方が上なのではないか」と。
これこそ僕が留学先のオーストリアから英語圏へのさらなる留学を志した理由です。
ヨーロッパの交換留学プログラムということで、留学先はヨーロッパの様々な国の大学がありましたが、英語圏へのは希望者は極めて多く、また翻訳学科から参加できるのはたった四名と狭き門。
それに、オーストリアに税金を払っていない僕が、日本の大学からすら出なかったのに、留学のための奨学金なんて貰えるわけがない。
そう思っていました。
しかし、日本学科の学友が同様の留学プログラムに何度も応募し、次々に日本へ旅立っていくのを見送っている内に、外国人の僕にもチャンスがあるんじゃないか、と思うようになり、ダメもとでスコットランドのエジンバラ留学に申し込んでみました。
今考えてみても、心の底から「運がよかった」と思えるのは、小学生の頃におかめ納豆を食べまくって応募したら任天堂64が当たったことと、今回この留学プログラムのために一発で選抜されたことくらいです。
しかも、選ばれてしまえばこちらのもの、「取得すべき単位は必ず取れる!」という自信が僕の中にはありました。
合格した留学プログラムは欧州で格式高い歴史あるものなのですが、僕の認識では形骸化したクソプログラムで、ヨーロッパ諸国がバカみたいにお金を出しあって留学生に海外の年間無料パーティー券を配っているようにしか思えませんでした。
この留学制度を使ってウィーンに来た学生は、英語の授業など人気が高く通常は抽選をしなければ受けられない授業も特別枠で受けられ、現地生が四苦八苦する難しいテストも別の課題やレポート提出で免除されます。
授業に出席さえしていれば勉強しなくていいものだから、留学生は旅行にグルメと奨学金で奢侈を尽くす。
クラブの中には火曜日などに『留学生の日』なるものを設け、毎週様々なプログラムを用意するところもあり、この制度を使う留学生がいかにパーティー好きか、いかに勉強していないかがうかがえました。
もちろんエジンバラ留学中は僕も例に漏れずクソプログラムの恩恵にあずかり、勉強はほどほどに、留学生仲間とパーティーや観光に明け暮れました。
ポジティブに考えれば、オーストリア代表として、オーストリアにいる時よりもオーストリア人と結束でき、仲良くなれましたし、卒業単位も無事に取得することができました。
だがしかし、それすらも覆ってしまう不幸な出来事が英国留学中にも起こったのです。
第十二章に続く
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