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2話・無理矢理が好き

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 拒否は、できない。

 だから俺は……震えながら、その時を待つ。
 黙って高遠原の動きを待つこと、ほんの数秒。

 すると。


「っ! お、お前、どこに……っ!」


 あまりにも突然の感覚に、俺は情けないほど不安げな声を漏らした。
 だって、そんな……ありえないだろ。

 ――肛門を、指で撫でられるだなんて。


「おまっ、お前……っ! こんなの、正気じゃないっ!」
「ココ使ってヤるんだよ。少しは頭使えっつの」
「お前こそちゃんと考えて――」


 窘めるような物言いに腹が立ち、高遠原を睨みつけようとした瞬間。


「い、ぁあ……っ!」


 ――突然。

 ――指を、突っ込まれた。


「ひ、うぅ……く、っ!」


 おそらく、俺の精液をローション代わりに使ってるんだろう。
 さっき指で弄んでいたのは、この伏線だったんだ。

 俺の精液で濡れた指を突っ込むと、高遠原はまるで……内側をほぐすかのように、動かしてくる。


「う、ぅ……っ! ぃ、やだ、やだ、ぁ……っ!」


 怖いくらい優しい手つき、で。


「うわ……ッ。真冬の締めつけ、ハンパねェな」
「うる、さ――ひっ、ぐ……っ!」


 奥まで指を挿入されると、体が勝手に跳ねてしまう。

 ビクンと仰け反ると、指の本数が二本――三本に増やされてしまった。


「ふゥん……? 後ろも感じやすいんだな」
「そ、そんなワケ、ない……っ!」
「説得力ねェなァ? これだけ俺様の指に吸いついてるクセして。……なァ、真冬。日頃からココ……弄ってるのか?」


 グリグリと、なにかを探るように動かされる、指。
 したくないのに、神経が集中してしまう。


「いじ、って……な、い……ん、っ!」


 ベッドのシーツを握り、首をゆるゆると横に振って、否定する。
 指の動きは一向に止まらず、今もなにかを探しているようだった。


「ぁ、う……っ! はや、く……抜け、ばか、ぁ……っ!」


 初めてで未知の感覚に、俺は終わりを望んだ。

 ――そのときだった。


「――ふ、ぁ……やっ、んんっ!」


 ――指が、ある一点をかすめたのは。

 俺の反応に、高遠原は瞬時に気付く。


「ココ、か……?」


 指が、同じところをもう一度擦る。


「ちが、っ! や、あっ!」


 『違う』なんて反論したところで、意味はない。

 高遠原は俺の声を無視して、弄ぶように指を動かす。


「やだ、あ、ぁ、っ! そこ、も……やめ、っ!」


 どうせ、やめてなんかもらえない。
 そうとは分かっているのに、俺は何度も『やめろ』と訴える。

 だが、ついに。


「ふ、ぁ……っ!」


 俺の望みが、叶ったのだ。

 突然……高遠原の指が、引き抜かれたことによって。




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