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19話 カラオケ
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「翔子のブイブイメ~キャ~ップ!」
夜の自宅。家族4人でテーブルを囲む中光家。
ソファーの向かいにあるテレビのバラエティー番組から聞こえてくる単語に、千鶴と大翔は思わず振り向いた。
翔子と名乗るメイクアップアーティストが
「メイクはVの形に描くことが大事なんです!」
と自身のメイク術を説明していた。
NYで数々の有名ハリウッドセレブ達の専属メイクアーティストをした翔子という女性。
何枚も重ねたのでまつ毛は長くフサフサで、唇はオーバーリップでプルプル。
首には黒色でシースルーのストールを巻き、灰色の蛇柄でテカテカし素材の膝丈キャミソールワンピースを着ている。
歩いたら足折れそうなほど高いハイヒールで、芸能人達にメイクを施していた。
大翔と千鶴は振り向き、壁掛けのテレビを見ながら固まった。
(ショーコのブイブイブログって…)
(この人の真似したの名前なんだ)
2人は納得し、前を向いてご飯を食べ進めた
カンッ
父親が箸を床に落とした。
大翔の頭の上から越しにテレビを見ている。
いつもはふくよかでぽちゃぽちゃした、いつも恵比寿様みたいな笑顔の父。
目を開いて真顔になっている姿に、双子達は思わずゾッとした。
「パパ…?」
「………ん?」
ハッと我に返りいつもの笑顔になった。
「オトン箸落としたよ」
「あぁ、ありがと大翔」
大翔は拾った箸を父に渡す。
父は母をチラッとみて、彼女の様子を気にしているようだった。
母は黙ってテレビのチャンネルを変えた。
「ママ~!見たかったのに!」
「…こんな下品な番組、見たらダメよ!!頭バカになるわよ!!!」
間髪入れずに母は声を荒げた。
双子達は固まった。
千鶴が思わず「下品って…」と、つぶやく。ママに
母は頭をかき回した。
「あ…ごめん。私、あーゆーオネエが苦手で…」
(オカンそんな苦手意識あったっけ?てか女の人に見えたけどオネエなんだ)
千鶴は「じゃあ仕方ないね。あたしクイズ番組がいいな」と話題を変えた。
(ママにこんなに怒鳴られたの10年ぶりかも)
千鶴は年長のときタンスの中身を人形のお部屋にしようと思い、中身を全部出してこっぴどく怒られたことがあった。
タンスの中は大事なものが入っているから絶対に触らないで、と。
(大事なものって貯金とかかな)
タッタッ
「レモンさん」
「俺もう無理です」
「高文展に作品間に合いません」
大翔はベッドで寝転び、スマホに文字を打つが、送信せずに削除した。
スマホを枕元においてため息をする。
高文展の締めきりまであと8日。
またしても大翔のメンタルは底に落ちた。
ほんの一部しか知られていなかったショーコのブイブイブログの動画が学校全体に広まってしまったからだ。
淳が余計なことを言うから… 八王子レオ セントくん 抱き合う、で検索する生徒が増えてしまったから。その検索結果にショーコのブイブイブログが出てくるのだ。
そして一部の女子しか知らなかった“ハトハチ”の単語とその意味も広く知れ渡った。
「とんでもないもの見てしまった…」と見なかったことにする人もいれば、新しい扉を開き沼に落ちていく人もいた。
散々、ハトハチ界隈から邪魔扱いされた大翔だが、腐女子達はディベートを繰り返し紆余曲折し、“当て馬”というポジションに落ち着いた。
鳩田淳と八王子レオが真剣交際するために、2人の仲を深めるためだけに存在する、片思いのままフラれる役割だ。
(俺が八王子レオに片思いしている設定は心外だが、それで落ち着いたなら良かった…)
もう、これ以上、巻き込まれたくない。
八王子レオの復讐はいつまで続くのだろうか。
「つらい…」
ブーブーブーブー
スマホから長い音が鳴る。電話だ。画面はライン電話で「レモン」と表示されている。
(レモンさん?!急に…初めての電話?!)
電話は苦手だ。このまま無視しようかと思ったが、何かを埋めたい気持ちで電話に出た。
「もしもし…」
シーン………
「もしもし…?レモンさん?」
「…うっ……、?」
うめき声が聞こえる
「え?大丈夫ですか?」
「………あ?電話?なんでえ」
「え?」
「え?」
初めて聞くレモンの声は低くて渋かった。小さい時に本屋で見かけた「ちょい悪オヤジ」という単語を思い出す。
「…どーしたん?Taishiくん」
「寝てたんですか?」
時計は夜9時すぎだ。社会人なのに寝るの早いんだな。会社が朝早いのかな、と思った。
「ん、いつも9時には寝るう」
「レモンさんが俺に電話かけてきたんですよ」
「おれえ?寝てるのにい」
お粥みたいに、ふにゃふにゃ喋るレモン。大翔は思わず吹き出てしまった。
「ああ~Taishiくんのトーク見返しながら寝たからかあー」
ふぁーとあくびする音が聞こえる
「高文展の作品どお?終わりそお?」
夢見心地の電話から一転、シュンっと現実に意識が戻った。
「いや…全然…。なんかもう嫌すぎて…今日は描かなかったです…。」
「何で嫌?」
「学校で色々…人間関係につかれて…心に余裕がなくて…だから偶然でも電話くれて嬉しかったです」
「え?この電話?あはっ、かわい~」
大翔にとって思い切った告白だったのが、まさか笑い飛ばされるとは。
「…レッサーパンダ見たいな後輩がいるんだけどさ。見た目は細くて目つき悪いんだけど、仕草が似てんの。もそもそ歩く感じとか。」
レッサーパンダ…?茶色と黒のモコモコした動物園にいる生き物?
「生意気なんだけど、なんか見てて癒されるっていうか。からかうとおもしろくて。何の話だっけ?あ、そーそー、絵が描けないんなら思い切って誰か…………と………いやされ……る……子と……遊ん…おも………」
「…レモンさん?」
電話は無言で、スー、スーという寝息が聞こえた。
「お休みなさい」
大翔は笑いながら電話を切った。
「というわけなんで俺とカラオケ行かない?」
スクールバックを肩にかけ教室から出ようとしている湊は目を軽く開いて大翔を見た。
「正気?締め切りまであと1週間だぞ。」
「レモンさんから頂いたお金でおごります」
「大翔からそんな言葉が出るなんて…行きましょう!でも大翔ってなに歌うの?」
「俺は歌いたくない。聴くだけでいい」
「俺、1人でずっと歌ってんの?異常な空間じゃない?」
「ん~…じゃあ千鶴も誘うか」
「えっ」湊はドキッとした。
「もしもし千鶴……千鶴??風邪ひいた?声おかしくない?湯婆婆の声してる」
廊下を歩いている千鶴は反論した。
「ひいてないし。本当にお兄ちゃん?なんか声低くて違う人みたい。電話壊れてるんじゃない?え?カラオケ?おごり?いくいく!」
青晴高校のすぐ近くにあるカラオケ屋「猫にゃんごろ」に、千鶴とはっちゃんがやってきた。
「はっちゃんも誘った~!はっちゃんの歌声きいたらお兄ちゃんのストレスも飛ぶよ」
大翔は内心、千鶴とはっちゃんみたいなハトハチ推しの圧力のせいでストレスが溜まってるんだよなあ、と思った。
カラオケの店内。
大翔は真顔でマスカラをフリフリしている。制服でカラオケ。まさに青春を表すイベントだ。
湊が首を上下に動かして歌うメタルバンドの音を聞きながら、自分がどうして落ち込んでいるのかゆっくり考えてみた。
①八王子レオとハグした動画が大勢の人に知られた → 恥ずかしい、ひどい
②似合わない、当て馬、など色んな意見をもらった → 悪口つらい
③八王子レオが何かと絡んでくる → お前の方から、俺に近づくな、と言った話はどこに行った?なんで何かと声をかけてくるんだ?会っても無視しろよ。勝手に俺に触るな。1ミリも触るな。近づくな。なんか変な感じして気持ち悪い。
(こうしてまとめると、俺は八王子レオが接触してくることで起きる体の変な感じが一番嫌なんだな。それに付随して、外野からあーだこーだ言われるのもストレス)
「次、わたしねー」
はっちゃんがバラードをしっとりと歌い上げる。本当に上手で大翔は驚いた。 隣で歌を選んでいる千鶴に大翔は声をかけた。
「最近、千鶴は俺に怒ってないね」
「私が怒ったことある?」
「怒ってたよ。俺がハトハチの動画に初めて出たとき」
「あ~あんときは…びっくりして…ハトハチの動画に他の人が出たの初めてだったし…間接キスは腰抜かしたよ…」
「(間接キス………………)なんで今は怒ってないん?」
千鶴は顎に手を当てて考えた。
「なんで?ん~、慣れてきたから?それとお兄ちゃんが思ったよりも叩かれてかわいそうだから…?あと、最近、なんか忙しくて、推し活できてない」
大翔は勢いよく千鶴を見た。
「え??3年も推し活してたのに???」
「そんなもんよ。来年にはハトハチも卒業だし、私も普通科に移動するし。」
「そうなん???初耳だけど???」
「元々そーするつもりだったよ~」
大翔は前を見ながら話した。
「…俺は…推し活はじめたよ」
千鶴が不思議そうにこちらを見る。
「誰の??????」
「ハトハチ」
「え???????具体的に何してるの?????」
「なんかすることあるの…?心のなかで鳩田先輩と八王子先輩が仲良くしますよーにって祈ってるだけや」
「それ推し活っていう?ハトハチの作品読んだ上でそれ言ってるの?」
「それは読んだことない。どこにあるかも分からんし」
「知らないほうが良いと思う…あ、次あたし!」
千鶴はマイクを持って立ち上がった。画面には、ウルトラマンレオ、という文字があった。
「燃えよレオ~♫燃えろよ~♫」
大翔は固まった。「レオ………?」
歌い終わり汗をかき息を荒げるはっちゃんが説明してくれた。
「レオ様のお父さんがウルトラマンレオが好きで、男ならレオにするって決めてたんだよ!ファンの間では、この歌はテーマソングです」
大翔は画面の歌詞を見ながら「そうなんだ…」と返事をした。
夜の自宅。家族4人でテーブルを囲む中光家。
ソファーの向かいにあるテレビのバラエティー番組から聞こえてくる単語に、千鶴と大翔は思わず振り向いた。
翔子と名乗るメイクアップアーティストが
「メイクはVの形に描くことが大事なんです!」
と自身のメイク術を説明していた。
NYで数々の有名ハリウッドセレブ達の専属メイクアーティストをした翔子という女性。
何枚も重ねたのでまつ毛は長くフサフサで、唇はオーバーリップでプルプル。
首には黒色でシースルーのストールを巻き、灰色の蛇柄でテカテカし素材の膝丈キャミソールワンピースを着ている。
歩いたら足折れそうなほど高いハイヒールで、芸能人達にメイクを施していた。
大翔と千鶴は振り向き、壁掛けのテレビを見ながら固まった。
(ショーコのブイブイブログって…)
(この人の真似したの名前なんだ)
2人は納得し、前を向いてご飯を食べ進めた
カンッ
父親が箸を床に落とした。
大翔の頭の上から越しにテレビを見ている。
いつもはふくよかでぽちゃぽちゃした、いつも恵比寿様みたいな笑顔の父。
目を開いて真顔になっている姿に、双子達は思わずゾッとした。
「パパ…?」
「………ん?」
ハッと我に返りいつもの笑顔になった。
「オトン箸落としたよ」
「あぁ、ありがと大翔」
大翔は拾った箸を父に渡す。
父は母をチラッとみて、彼女の様子を気にしているようだった。
母は黙ってテレビのチャンネルを変えた。
「ママ~!見たかったのに!」
「…こんな下品な番組、見たらダメよ!!頭バカになるわよ!!!」
間髪入れずに母は声を荒げた。
双子達は固まった。
千鶴が思わず「下品って…」と、つぶやく。ママに
母は頭をかき回した。
「あ…ごめん。私、あーゆーオネエが苦手で…」
(オカンそんな苦手意識あったっけ?てか女の人に見えたけどオネエなんだ)
千鶴は「じゃあ仕方ないね。あたしクイズ番組がいいな」と話題を変えた。
(ママにこんなに怒鳴られたの10年ぶりかも)
千鶴は年長のときタンスの中身を人形のお部屋にしようと思い、中身を全部出してこっぴどく怒られたことがあった。
タンスの中は大事なものが入っているから絶対に触らないで、と。
(大事なものって貯金とかかな)
タッタッ
「レモンさん」
「俺もう無理です」
「高文展に作品間に合いません」
大翔はベッドで寝転び、スマホに文字を打つが、送信せずに削除した。
スマホを枕元においてため息をする。
高文展の締めきりまであと8日。
またしても大翔のメンタルは底に落ちた。
ほんの一部しか知られていなかったショーコのブイブイブログの動画が学校全体に広まってしまったからだ。
淳が余計なことを言うから… 八王子レオ セントくん 抱き合う、で検索する生徒が増えてしまったから。その検索結果にショーコのブイブイブログが出てくるのだ。
そして一部の女子しか知らなかった“ハトハチ”の単語とその意味も広く知れ渡った。
「とんでもないもの見てしまった…」と見なかったことにする人もいれば、新しい扉を開き沼に落ちていく人もいた。
散々、ハトハチ界隈から邪魔扱いされた大翔だが、腐女子達はディベートを繰り返し紆余曲折し、“当て馬”というポジションに落ち着いた。
鳩田淳と八王子レオが真剣交際するために、2人の仲を深めるためだけに存在する、片思いのままフラれる役割だ。
(俺が八王子レオに片思いしている設定は心外だが、それで落ち着いたなら良かった…)
もう、これ以上、巻き込まれたくない。
八王子レオの復讐はいつまで続くのだろうか。
「つらい…」
ブーブーブーブー
スマホから長い音が鳴る。電話だ。画面はライン電話で「レモン」と表示されている。
(レモンさん?!急に…初めての電話?!)
電話は苦手だ。このまま無視しようかと思ったが、何かを埋めたい気持ちで電話に出た。
「もしもし…」
シーン………
「もしもし…?レモンさん?」
「…うっ……、?」
うめき声が聞こえる
「え?大丈夫ですか?」
「………あ?電話?なんでえ」
「え?」
「え?」
初めて聞くレモンの声は低くて渋かった。小さい時に本屋で見かけた「ちょい悪オヤジ」という単語を思い出す。
「…どーしたん?Taishiくん」
「寝てたんですか?」
時計は夜9時すぎだ。社会人なのに寝るの早いんだな。会社が朝早いのかな、と思った。
「ん、いつも9時には寝るう」
「レモンさんが俺に電話かけてきたんですよ」
「おれえ?寝てるのにい」
お粥みたいに、ふにゃふにゃ喋るレモン。大翔は思わず吹き出てしまった。
「ああ~Taishiくんのトーク見返しながら寝たからかあー」
ふぁーとあくびする音が聞こえる
「高文展の作品どお?終わりそお?」
夢見心地の電話から一転、シュンっと現実に意識が戻った。
「いや…全然…。なんかもう嫌すぎて…今日は描かなかったです…。」
「何で嫌?」
「学校で色々…人間関係につかれて…心に余裕がなくて…だから偶然でも電話くれて嬉しかったです」
「え?この電話?あはっ、かわい~」
大翔にとって思い切った告白だったのが、まさか笑い飛ばされるとは。
「…レッサーパンダ見たいな後輩がいるんだけどさ。見た目は細くて目つき悪いんだけど、仕草が似てんの。もそもそ歩く感じとか。」
レッサーパンダ…?茶色と黒のモコモコした動物園にいる生き物?
「生意気なんだけど、なんか見てて癒されるっていうか。からかうとおもしろくて。何の話だっけ?あ、そーそー、絵が描けないんなら思い切って誰か…………と………いやされ……る……子と……遊ん…おも………」
「…レモンさん?」
電話は無言で、スー、スーという寝息が聞こえた。
「お休みなさい」
大翔は笑いながら電話を切った。
「というわけなんで俺とカラオケ行かない?」
スクールバックを肩にかけ教室から出ようとしている湊は目を軽く開いて大翔を見た。
「正気?締め切りまであと1週間だぞ。」
「レモンさんから頂いたお金でおごります」
「大翔からそんな言葉が出るなんて…行きましょう!でも大翔ってなに歌うの?」
「俺は歌いたくない。聴くだけでいい」
「俺、1人でずっと歌ってんの?異常な空間じゃない?」
「ん~…じゃあ千鶴も誘うか」
「えっ」湊はドキッとした。
「もしもし千鶴……千鶴??風邪ひいた?声おかしくない?湯婆婆の声してる」
廊下を歩いている千鶴は反論した。
「ひいてないし。本当にお兄ちゃん?なんか声低くて違う人みたい。電話壊れてるんじゃない?え?カラオケ?おごり?いくいく!」
青晴高校のすぐ近くにあるカラオケ屋「猫にゃんごろ」に、千鶴とはっちゃんがやってきた。
「はっちゃんも誘った~!はっちゃんの歌声きいたらお兄ちゃんのストレスも飛ぶよ」
大翔は内心、千鶴とはっちゃんみたいなハトハチ推しの圧力のせいでストレスが溜まってるんだよなあ、と思った。
カラオケの店内。
大翔は真顔でマスカラをフリフリしている。制服でカラオケ。まさに青春を表すイベントだ。
湊が首を上下に動かして歌うメタルバンドの音を聞きながら、自分がどうして落ち込んでいるのかゆっくり考えてみた。
①八王子レオとハグした動画が大勢の人に知られた → 恥ずかしい、ひどい
②似合わない、当て馬、など色んな意見をもらった → 悪口つらい
③八王子レオが何かと絡んでくる → お前の方から、俺に近づくな、と言った話はどこに行った?なんで何かと声をかけてくるんだ?会っても無視しろよ。勝手に俺に触るな。1ミリも触るな。近づくな。なんか変な感じして気持ち悪い。
(こうしてまとめると、俺は八王子レオが接触してくることで起きる体の変な感じが一番嫌なんだな。それに付随して、外野からあーだこーだ言われるのもストレス)
「次、わたしねー」
はっちゃんがバラードをしっとりと歌い上げる。本当に上手で大翔は驚いた。 隣で歌を選んでいる千鶴に大翔は声をかけた。
「最近、千鶴は俺に怒ってないね」
「私が怒ったことある?」
「怒ってたよ。俺がハトハチの動画に初めて出たとき」
「あ~あんときは…びっくりして…ハトハチの動画に他の人が出たの初めてだったし…間接キスは腰抜かしたよ…」
「(間接キス………………)なんで今は怒ってないん?」
千鶴は顎に手を当てて考えた。
「なんで?ん~、慣れてきたから?それとお兄ちゃんが思ったよりも叩かれてかわいそうだから…?あと、最近、なんか忙しくて、推し活できてない」
大翔は勢いよく千鶴を見た。
「え??3年も推し活してたのに???」
「そんなもんよ。来年にはハトハチも卒業だし、私も普通科に移動するし。」
「そうなん???初耳だけど???」
「元々そーするつもりだったよ~」
大翔は前を見ながら話した。
「…俺は…推し活はじめたよ」
千鶴が不思議そうにこちらを見る。
「誰の??????」
「ハトハチ」
「え???????具体的に何してるの?????」
「なんかすることあるの…?心のなかで鳩田先輩と八王子先輩が仲良くしますよーにって祈ってるだけや」
「それ推し活っていう?ハトハチの作品読んだ上でそれ言ってるの?」
「それは読んだことない。どこにあるかも分からんし」
「知らないほうが良いと思う…あ、次あたし!」
千鶴はマイクを持って立ち上がった。画面には、ウルトラマンレオ、という文字があった。
「燃えよレオ~♫燃えろよ~♫」
大翔は固まった。「レオ………?」
歌い終わり汗をかき息を荒げるはっちゃんが説明してくれた。
「レオ様のお父さんがウルトラマンレオが好きで、男ならレオにするって決めてたんだよ!ファンの間では、この歌はテーマソングです」
大翔は画面の歌詞を見ながら「そうなんだ…」と返事をした。
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