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118.赤い騎士
しおりを挟む「…私を責めるのか…ライガ。」
レイはひたすら自分を睨むライガを見て、動揺した。
「父さんがミラを奪った。父さんは…王族にされたことと同じことを俺と…兄さんにしている。」
ライガはジンの肩を叩いた。
最愛の人と理解者を奪われる苦しみは、一番理解しているはずだ。
ライガは、もう父親と分かり合うのは諦めた。
ならば、力ずくでミラの場所を吐かせるしかない。
「…王族と同じこと…私がそんなことを?」
レイは顔を歪めさせた。
「帝国は滅ばないといけない…私は、二人に誓ったんだ。」
レイは頭を抱え笑った。
レイは剣を仕舞った。
なにやら腰のポケットを探ってるのだろうか。
ライガはその動きと以前皇国の男に逃げられたことを思い出した。
「逃がすか!!」
ライガは剣を振り、レイに斬りかかった。
レイは避けて、ライガの予想通り煙幕を取り出した。
レイの取り出した煙幕は地面に叩きつけられ、辺り一面を煙で覆った。
かつてイシュが使ったものと同じく匂いがキツイ。
おそらくジン対策でもあるだろう。ジンは見えなくても敵を斬ることに長けている。
臭いのはジンも苦手なようで一瞬ふらついた。
ライガは息を止めて父がいた場所と、いるであろう場所を斬りつけた。
ザシュン
手ごたえはあった。
ただ、一撃だけだった。
「隊長!!」
制圧が終わったのか、市場の大通りにかかっていた隊員たちが駆けつけた。
だが、周りは臭い煙まみれでとてもレイを追うことは出来ない。
「逃げられ…ゲホッ…た。」
ジンは臭さと煙さに咳き込んだ。
辺りはものすごく臭い。
ライガも咳き込んでいた。
駆けつけた隊員たちも咳き込んでいた。
煙と臭いで追跡どころではなかった。
馬も走ってくれないだろう。
煙が晴れてくると、ライガの剣には血が付いていた。
どうやらけがを負わせるのは出来たようだ。
「…おそらく隠している拠点に向かっている。」
ジンはライガを見た。
「…ああ。一人拘束しているのが、動き出しているはずです。」
ライガは先ほど拘束した男を思い出した。
「隊長…隊長の予想通り、縄ぬけして動き出しています。」
ライガの隊の隊員は姿勢を正して言った。
彼も臭いで目に涙が滲んでいる。
「全員を市場に突入させたわけじゃないんです…すみません。」
ライガはジンに謝った。
「いや、一人二人なら全然問題ない。」
ジンは臭さと煙で滲んだ涙を拭っていた。
「でも、思ったよりも早かったな…だって…」
ライガは人数的にもっとかかると思っていた。
「それは…」
隊員は市場の方を見た。
真っ黒な人影がゆっくりとやってきた。
ライガとジンは思わず警戒し、剣に手をかけた。
見たことのないシルエットだったが、誰だか直ぐに分かった。
いつものポニーテールにまとめている赤毛は、幽霊のように全て下ろしてところどころ赤黒い液体がついている。
身に着けている鎧はライガたちと同じものだが、煤がひどく、焼けている部分もある。
それもあるが、彼の顔はひどく血まみれだ。
だが、それよりも彼の無事が確認できたことにライガもジンも安堵した。
「…リラン…」
ジンは安心したように息を吐いた。
「途中で加勢した。うちの隊は数人しか残っていない。怪我人も多いから馬も水辺で待機させている。」
リランは鬱陶しそうに髪を耳にかけた。
「…お前、すごい血だな。それに、髪留めは…」
ライガはリランがアランの髪留めをつけていることを知っている。
弟の形見をもしかして逃げる途中で亡くしたのではないかと心配になった。
「…アランを解放してやった。」
リランは寂しそうな顔で言った。
「解放…お前…」
ジンはリランの顔を見て彼が何をしたのか分かったようだ。
「…ブロック伯爵を殺した。」
リランは少し申し訳なさそうな顔をした。
「泳がせて追跡すれば拠点が分かるはずだったが、俺は我慢できなかった。」
リランは拠点の手がかりを潰したことを謝っているようだ。
「いや、それはライガが探ってくれている。…それよりも…」
ジンはマルコムの姿が見えないことが気になっているようだ。
「火を放った皇国兵は、マルコムたちの方角に向かっていた。」
リランも気になっているようだ。
「…」
ライガも心配になった。
「隊長!!」
ライガの隊の騎士がライガたちの元に飛び込んできた。
「拠点を探らせたものが戻ってきました!!場所も分かったようです!!」
その言葉に、マルコムを待っている余裕が無いことがわかった。
「…マルコムは大丈夫だ。」
ジンはそれだけ言うと、歩き出した。
そうだ、マルコムは大丈夫だ。
ライガもそう思っていた。
彼が死ぬのは想像できない。
ライガはそう考えた時に、死んでいった仲間のことを思い出した。
彼らもそうだった。
想像できなかった。
「お前は余裕なんか無いだろ。」
リランはライガの肩を叩いた。
そうだ。
ライガはマルコムを心配する余裕はない。
ミラを探さないといけないのだ。
彼女の居場所を知ることが、一番だ。
ライガはミラの顔を思い浮かべた。
彼女に会いたい。
そう思い始めると、マルコムの心配など吹き飛んだ。
「拠点まで案内して。」
ライガは前だけ見て歩き出した。
山の崖を少し降りたところに、木々の隙間から光が漏れているところがあった。
地面にめり込むようにテントが張られ、テントの上にはカモフラージュをするように木の枝や葉がちりばめられていた。
そこから離れた場所に比較的目立つ簡易的な馬小屋がある。
「な…どうしてここ…があ!!」
テントの中から動揺する声と、叫び声が聞こえる。
「何で…シューラ様!!どうして…」
「止めろ!!助けてくれ!!」
ザシュン
響く声を切り裂くよう斬裂音が響いた。
テントの中は、真っ赤だった。
真っ赤な血だまりが出来ていた。
その真ん中には、一人の青年がいた。
彼は槍を背負い、剣を握っており、その手は血まみれだった。
テントの中には、夥しいほどの遺体があった。
「…生き残りがいないか見て回るよ。」
彼は剣の血を拭きながら言った。
彼は別のテントを見て回り始めた。
どうやらこのテント周辺は制圧したようだ。
テントの中も外も夥しいほどの遺体があった。
彼は足を止めた。
ガタリ
何やら、テントではない地下から物音が聞こえた。
彼は背負った槍で地面を軽く叩いた。
そして、地面の表面を払うように土を剥いだ。
数回剥ぐと、なにやら木の扉らしきものが見えた。
ドゴン
彼は木の扉を槍で突き破った。
「ひ…ひいいい!!」
地面の扉の下には、数人の男が居た。
男達の目は真っ黒だった。
「…鑑目…君たち、一族か。」
彼は拍子抜けしたように言った。
「お前…帝国騎士団が何の用だ!!」
一族と呼ばれた、地下にいる男たちは彼に怒鳴った。
「待機している皇国兵は全員殺した。君たちをこのまま解放しに来た。」
彼は滞ることなく言った。
そして、言った後彼は舌打ちをした。
「皇国兵を…何だと?何てことを…」
「帝国に戻ってたまるか!!我々は、帝国から逃げるために皇国を呼んだんだ!!」
一族の言葉に、彼は目を細めた。
「そうだ!!我々の今の境遇は不当だ!!鑑目を提供して犠牲を強いられているのだから、こんな生活を強いられるのは割に合わない!!」
「…ミラちゃんは?」
彼は一族の者達に柔らかい口調で訊いた。
「ミラ…?あの子か?」
彼の問いに一族の者は顔を歪めた。
彼はその様子を見て、地下から一族の男を二人引きずり出した。
「止めろ!!こんなことをしていいと思っているのか!!」
「騎士風情が!!帝国の犬が!!」
怒鳴られても彼は気にすることなく、二人の目を合わせた。
「彼女は…?」
彼は二人の男の頭を鷲掴みにしながら訊いた。
二人の男は、顔を歪めて話し始めた。
彼はそれを聞いて、顔の表情が徐々に消えていった。
優しさは勿論、怒りも無かった。
彼は、話を聞き終えると、地下にいる者達も全て引きずり出した。
「何をする!!」
男達は彼を睨んだ。
彼は剣を仕舞い、背中の槍を握った。
「…お前らのせいだったのかよ…」
彼は、槍を握りつぶすのではないかと思うほど握り締めた。
彼は槍を振った。
明らかな実力差があるにもかかわらず、槍を振った。
辺り一面が血まみれになり、彼も返り血で真っ赤だった。
彼は力を好む。強い人間が好きである。
彼のこの行動は、強い人間のするものではなかった。
彼は賢いからそれはわかっているはずだ。
だが、彼は賢い以上に感情的だった。
何よりも彼には心の支えというのが無かった。
いや
無くなった
ザッ
闖入者を伝える足音が響いた。
彼は血まみれの槍を、血まみれの手で握り、音の元を振り向いた。
彼の視線の先には、初老の男がいた。
彼は目を見開き、彼と、彼が今無残にも殺した者達を見ていた。
「…お前…何を…」
初老の男は顔を歪めていた。
彼は槍を構えた。
「…普段は敵わないと思いますけど…」
彼は指で初老の男の怪我している右腕を指した。
「その怪我だったら、俺といい勝負かもしれません。」
彼は少しだけ嬉しそうに笑っていた。
勿論制圧した市場の皇国兵にジンの鑑目を用いて、場所を吐かせようとしたが、鑑目対策を取られていた。
要は吐く前に仕込み毒で自害された。
それに加え、市場にいる皇国兵は一部を除いて別の拠点のありかを知らないようだ。
ライガが拘束した男は場所を知っている上に、新たな情報を得て逃げ出せたと思い込んでいる。
彼はおそらく騎士団がブロック伯爵の領地に向かっていると報告しているだろう。
皇国に向かっているから事実ではあるが、今さら知ったところで対策もできないだろう。
ライガ、ジン、リランと10人程度の騎士たちで馬ではなく、歩きで向かった。
流石に奇襲をしようとしているため、察知される可能性のある大きな動きは控えたかった。
ライガの隊で3人、ジンの隊で5人の犠牲が出たが、思ったよりも犠牲は少なかった。
皇国側の戦力がほとんど別に隠している拠点に集中しているからだろう。
ブヒヒヒン
ライガたちの後ろから馬の声が聞こえた。
気付かれたのかと思い、ライガたちは剣を構えて振り向いた。
だが、そこには馬だけだった。
「…こいつ…」
リランは馬の装備を見て顔色を変えた。
「帝国の馬だ。」
ジンも気付いたようだ。
「なあ、これ、マルコムの馬じゃ…」
ライガはミラに逢いたくて仕方なくても、目の前に現れた馬を見て再びマルコムのことがよぎった。
それでも、今は探している余裕はない。
「後で探そう。」
ジンがリランの肩を叩いた。
マルコムの馬は近くの木に縄で繋げて、ライガたちはまた歩き出した。
暫く行くと、かすかに光が漏れ出す木々があった。
ジンが何かに気付いたようで手で制して止めた。
「どうしました?」
ライガは辺りを警戒して見渡していた。
「…本当に手が込んでいる。大掛かりに壕のように穴を掘って拠点としている。」
ジンは地面を軽く叩いた。
彼の言葉受け、ライガとリランを始めとした同行者は地面に耳を充てた。
ダン
ドン
と何やら物音が聞こえる。
それは少し異常な気がした。
「…中で何か争っている…」
ライガはジンたちの顔を見た。彼等もそう思ったようだ。
ライガを先頭にして、音の元に走った。
ライガたちが見つけた皇国の拠点は、地面を掘り、地下にめり込むような形でテントを張っていた。
テントの上には木の枝と葉がちりばめられている。
見つけたのはいいが、明らかに何かがおかしい。
全員が潜んでいるのか、全く人が動いている気がしない。
ライガはテントの入り口を探し、飛び込んだ。
「な…」
ライガは絶句した。
後ろから入ってきたリランもジンも、他の騎士たちもだ。
テントの中には、夥しいほどの皇国兵の遺体があった。
床に敷き詰められているのではないかと思うほどだ。
「…何だ…これ…。」
ライガは周りを見渡した。
どこもかしこも血だらけだった。
ただ、血の中に足跡がある。
二つの足跡が血を踏んだようだ。
ガキン
武器がぶつかる音が聞こえた。
ライガたちが入ってきたテントの裏側だ。
このテントにいる可能性のある人物はたった一人だ。
「父さん…誰と…」
ライガは剣を握り音の元に走った。
周りは全部遺体だ。
誰がミラの居場所を知っているかも分からないうえに、ミラがいるかもしれない。
倒れているのは全部皇国兵だったのがライガの心の救いだった。
ミラの痕跡が見えない。
嬉しいことだが、存在が遠く感じて悲しく苦しいことである。
ライガたちは、地面の血だまりが気にならないほどたくさんの血を踏んだ。
「…何で皇国兵をあいつが殺すんだ…」
ジンは倒れているのが皇国兵だけというのと、ここにいる可能性のあるレイがどうも結びつかなかったようだ。
「…団長。急ぎましょう。」
リランは何か思い当たったようで顔を青くした。
後ろを走る他の騎士たちにはテントの探索を頼み、ライガ、ジン、リランは音の元、裏側に回った。
ガキン
金属がぶつかる音が変わらず響いている。
剣を持ち、ライガに斬られたであろう右腕を庇いながら戦うレイと、彼の剣を受け、力ずくで流す血まみれの
「マルコム…」
ライガは彼の異様な姿に息を呑んだ。
鎧も、槍も、彼の顔も、腕も真っ赤だ。
ここの皇国兵を誰が殺したのか、それは一目瞭然だった。
ただ、一人でここまで大量に倒したことも、ここをどうやって把握したのかも謎だった。
そんなことを考えたが、マルコムの足元に倒れる遺体を見てライガは血が凍る思いをした。
倒れているのは、一族の男達だ。
ジンも見つけたようで、愕然としていた。
レイの剣には血が付いた形跡が少ない。
それに、一族の者達は撲殺に近い。
どう見ても手にかけたのはマルコムだ。
それの考えが頭に上りきる前に、ライガは剣握り締めて、戦うレイとマルコムの元に走った。
「マルコム!!お前!!」
ライガは確証も何もないが、怒鳴るように叫んだ。
マルコムはふとライガに気付いたが、レイと戦いながらでは全くライガに反応できなかった。
ライガは剣をマルコムに振り下ろした。
ガキン
ライガの剣が横から弾かれるように斬りつけられた。
「ぐ!!」
ライガは予想外の攻撃に、斬り付けることを止め、周りを見た。
「…危ないね。」
ライガの剣を邪魔したのは、さきほどレイと一緒にいた皇国の白髪の青年だった。
ジンとリランは彼を見つけると剣を握った。
「彼は協力者だよ。」
レイと斬り合っているマルコムは、息切れをしながら言った。
「はあ?…何を言っているんだ?」
リランは白髪の青年を指さして顔を歪めた。
マルコムはレイの攻撃を凌ぐので精一杯で直ぐには応えてくれない。
レイはケガの影響が大きいのか、実力ならマルコムよりも上であるのに苦戦していた。
「ライガ。この騎士がそこの一族を全て殺した。」
レイは息を荒くしていた。
どうやら怒っているようだ。
そして、思うように剣を振れない腕を憎んでいるようだ。
「俺はミラちゃんの居場所を知っている。」
マルコムはライガを横目で見て言った。
その言葉にライガは剣を止めた。
白髪の青年はライガたちに斬りかかる気配は無い。どうやら攻撃してこなければ攻撃はしないようだ。
ライガはマルコムを見た。
どおやらレイを殺せと言うことのようだ。
それの人質としてミラの居場所を握っていると、中々汚い手段だ。
ライガが剣を握り、レイに向かうとマルコムは身をひるがえし、レイから距離を取った。
レイはマルコムに対して相当怒っているようで彼を追った。
ガキン
レイの攻撃を、白髪の青年が止めた。
「シューラ!!お前…裏切るのか!!」
レイは白髪の青年に怒鳴った。
「もともとそんな感情は無いんだよ。僕にはね。」
シューラは攻撃を受け止めると素早く距離を置いてマルコムの横に立った。
「マルコム!!」
リランが怒鳴るように叫んだ。
「今はそれどころじゃない。」
ジンはリランの肩を叩き、ライガに続きレイの元に向かった。
リランは舌打ちをしたが、迷わずマルコムの元に剣を持って向かった。
彼はマルコムが分からなかった。
もちろん皇国兵を手にかけたことはわかる。
だが、一族を全て手にかけたことや、まして皇国の襲撃犯と協力している様子だ。
「リラン。落ち着きなよ。」
マルコムは血まみれでリランを窘めるように笑った。
その顔は穏やかだった。
昔のマルコムのようだが、どこか違う。
ガキン
リランの剣撃はマルコムではなく白髪の青年が止めた。
「そうだよ。周りを見てみな…」
白髪の青年はリランに笑いかけた。
「憎い皇国兵は死に…主犯の黒幕は追い詰められている。」
白髪の青年は後ろでジンとライガと戦うレイを指した。
「マルコム!!お前どういうつもりだ!!」
リランはマルコムに怒鳴った。
「自分を知った…とだけかな?」
マルコムは笑っていた。
夥しいほどの死の光景と臭い。
敵の大将であるレイはケガを負ったままライガとジンと戦い、危惧していた皇国兵も逃げ出そうとしていた一族も全て屠られている。
その中心にはマルコムと皇国の襲撃犯の白髪の青年が並んで立っている。
そして、そんな彼らにリランは剣を向けていた。
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