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第2話
しおりを挟む懲りずにこんな風に過ごして良くないのは分かってる。
(でも染み付いちゃってるんだよぉ…。)
お願いポーズをとったまま心の中で嘆く。幼少期から「可愛く・あざとく・たくましく」を志しとして掲げてきた僕の言動の節々に滲み出る可愛さ♡を制御できずにいた。癖ってなかなか治らない。
お馴染みの1人反省会を開いていると頬を赤く染めて固まってた相手がやっと動き出した。
「………っう、うんっ!ももももも、もちろんだよっ!!」
そう言って惜しみなくイケメンスマイルを振り撒くのはクラスメイトであり、中等部から仲良しでいてくれてる犬飼 優くん。名前の通り優しくてほわほわしてる僕の大切なお友達だ。
優くんは何度も同じようにお願いしてるのに毎回うぶな反応をしてくれて可愛いのだ。いつか悪い人に騙されてしまうのでは無いだろうか。そう思いながらもついついサービスしてしまう。だって可愛い優くん見たいもん。
思わずふふっと笑い、「ありがとっ」と言ってフォークに刺した食べかけのエビフライを差し出す。あーんと言いながら優くんの口元に近づけていくと僕の手首が掴まれて途中で止められてしまった。
顔を上げると案の定そこにはちょっと怒った顔の幼なじみ。頬を膨らませながら睨む。
「…うっ。か、可愛い…。じゃ、なくて!ちゃんと自分で食べなきゃダメじゃないか。美緒。それに優も甘やかすなよ。」
「ご、ごめん…。」
しゅんとする優くんをよそに僕は相変わらず過保護な幼なじみに抗議する。
「でも優くんいいって言ってくれたし、ちょっとは自分で食べたんだよ?りひくん褒めてくれないの?」
僕はエビフライをお皿に置いて幼なじみの藤崎 理人の手を両手で掴み、僕の頭の方に持っていった。そのまますりすりと頭を擦り付けると優しく僕の頭を撫でてくれた。りひくんもなんだかんだ僕に甘いのだ。
りひくんは唯一この学園に入る前からのお友達で小さい頃から一緒の僕が中学受験をすると聞いて心配して着いてきてくれたのだ。自分で決めたこととはいえやっぱり少し心細かったのでとても嬉しかった。
りひくんの手が心地よくてしばらくにまにましながら撫でられていると放置されていた優くんが口を開いた。
「ふ、2人ともー…?」
その声にはっとしたりひくんが僕の頭から手をのける。もう少し撫でられてたかったのに…。少しムッとしながらりひくんを見ると少し怯んだもののもう撫でてはくれなかった。残念。
「ところで、なんで美緒は海老が苦手なのに海老フライを食べてたんだ?」
えっ、という顔で優くんがこちらを凝視する。
「だってなんか今日は食べれる気がしたんだもん!」
そう言っててへぺろっと舌を出す。それを見たりひくんは呆れて深いため息をついた。
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