38 / 54
28話「ダブルデート」前編
しおりを挟む
「ふうー。 だいぶまとまってきたね私たちの演奏!」
「だな。 さっきのテイクは真柴も淳一も息ばっちしだったな」
「うん! それに淳一のギター前より格段に上手くなったよ!」
「まあ、伊達に毎日弾いてないからな。 それに俺には才能があるからな」
「バーカ、調子乗んなって。 ポテトもらうぞ」
「おい、それ俺のポテト……」
「淳一くん調子乗ってるとモテないぞ~。 私もいただき~」
「だから俺のポテトだって……」
バンドの練習が終わった俺たちBlues Drive Monsterは、某ファーストフード店に来ていた。
練習後に、ここに来るのが近恒例になりつつある。
学生の優しい値段で俺たち学生はとても入りやすい。
この頃は100円でハンバーガーが買えてお釣りも出たんだよな。 今じゃ100円ぴったりになったが。 まあ味は変わらない。
「文化祭まであと1ヶ月ちょっとだからな。 あんまうかうかしてらんねえよなー。 俺の部活もあるし、忙しいったらないぜ」
石田はそう言って深くため息をついた。
「おー、それはお疲れ様だね石田ボーイ」
「いいよなあお前らは部活なくてよー」
「うっ、そこを突かれると痛いぜ石田くん……あ、でも私の場合はお店の手伝いがあるからちょっと忙しいかな。 」
「あー、自営業だと家族も手伝わないとな。 それに比べてよ……」
「……悪かったな暇で」
石田が何か言いたげにこっちを見たので俺は先手を取る。
……暇で悪かったな……。
で、でも過去を変えるのに忙しいし?
「夏休みも部活とバンドしかしてなくてよー。 久しぶりに遊びたいわけだ。 そこでだ!」
石田は椅子から立ち上がり拳をあげる。
「明日の日曜日、部活が奇跡的に休みの俺と一緒に遊園地で遊べ!」
「……明日ってまた急だな」
「まあな。 昨日取り付けたデートだからな」
「昨日って本当に急だねえ……ってデート?」
石田の言葉に俺と真柴は反応する。
「富田さん知ってるだろ? あの子とデートすることになってよ」
「だとしてもなんで俺たちも一緒に行くんだ?」
「いや、なんか一対一は無理らしいんだ。恥ずかしいとか言ってたな。 ダブルデートならいいらしい」
「あー、なるほどねえ。 高校生らしい可愛い理由だねえ」
真柴がふむふむと頷く。
真柴よお前も高校生だろうが。
たまにお姉さん感はあるけど。
この前の夜の校舎での一件とか。
悩みを相談した時に高校生に相談した感じがなかったんだよな。
一応真柴は小説家志望だから本で得た知識なのかもしれないけど。
「そこでお前たちにも一緒に行ってほしいんだよ。 頼む付き合ってくれないか?」
石田が手を合わせ頼んでくる。
断る理由は無い。
それに石田には普段からお世話になっている。
俺のわがままにいつも付き合わせてるからな。
今回ばかりは手伝ってやらないと。
まあ、石田と富田真由美は3年生の時に付き合うんだけど。
俺が何かしてもその結果は大して変わらないだろうし。
ていうか、過去にもデートして付き添ってたんだよなそういえば。
「付き合ってやるよ。 石田にはお世話になってるからな」
「私も勿論手伝うよ! 淳一くんとデートしたいし~」
「お、お前ら……愛してるぜ!」
石田は涙ぐみ、抱擁してこようとする。
「うわ、なんだよ気持ち悪い」
「おー! 頑張れよ石田くん! 私の抱擁パワーを受け取りたまえ!」
俺は石田の抱擁を避けたが、真柴は石田の抱擁を受け止めた。
それよか真柴の方から強く抱きしめていた。
まったく、スキンシップが多いバンドだな。
まあ仲が良いのはいいことだけどな。
そんなこんなで俺たちはダブルデートをすることになった。
帰りに服屋に寄り、ファッションセンス皆無の石田に真柴が服を選んであげていた。
真柴は割とセンスが良い方らしく石田が二割り増しに見えた。
石田はニヤリと笑い、
「これで富田さん俺に惚れるな!」
と調子づいていた。
調子に乗るなと言おうと思ったが、まあ似合っていたし、これ以上なく嬉しそうだったのでそんなことを言う気は失せた。
「だな。 さっきのテイクは真柴も淳一も息ばっちしだったな」
「うん! それに淳一のギター前より格段に上手くなったよ!」
「まあ、伊達に毎日弾いてないからな。 それに俺には才能があるからな」
「バーカ、調子乗んなって。 ポテトもらうぞ」
「おい、それ俺のポテト……」
「淳一くん調子乗ってるとモテないぞ~。 私もいただき~」
「だから俺のポテトだって……」
バンドの練習が終わった俺たちBlues Drive Monsterは、某ファーストフード店に来ていた。
練習後に、ここに来るのが近恒例になりつつある。
学生の優しい値段で俺たち学生はとても入りやすい。
この頃は100円でハンバーガーが買えてお釣りも出たんだよな。 今じゃ100円ぴったりになったが。 まあ味は変わらない。
「文化祭まであと1ヶ月ちょっとだからな。 あんまうかうかしてらんねえよなー。 俺の部活もあるし、忙しいったらないぜ」
石田はそう言って深くため息をついた。
「おー、それはお疲れ様だね石田ボーイ」
「いいよなあお前らは部活なくてよー」
「うっ、そこを突かれると痛いぜ石田くん……あ、でも私の場合はお店の手伝いがあるからちょっと忙しいかな。 」
「あー、自営業だと家族も手伝わないとな。 それに比べてよ……」
「……悪かったな暇で」
石田が何か言いたげにこっちを見たので俺は先手を取る。
……暇で悪かったな……。
で、でも過去を変えるのに忙しいし?
「夏休みも部活とバンドしかしてなくてよー。 久しぶりに遊びたいわけだ。 そこでだ!」
石田は椅子から立ち上がり拳をあげる。
「明日の日曜日、部活が奇跡的に休みの俺と一緒に遊園地で遊べ!」
「……明日ってまた急だな」
「まあな。 昨日取り付けたデートだからな」
「昨日って本当に急だねえ……ってデート?」
石田の言葉に俺と真柴は反応する。
「富田さん知ってるだろ? あの子とデートすることになってよ」
「だとしてもなんで俺たちも一緒に行くんだ?」
「いや、なんか一対一は無理らしいんだ。恥ずかしいとか言ってたな。 ダブルデートならいいらしい」
「あー、なるほどねえ。 高校生らしい可愛い理由だねえ」
真柴がふむふむと頷く。
真柴よお前も高校生だろうが。
たまにお姉さん感はあるけど。
この前の夜の校舎での一件とか。
悩みを相談した時に高校生に相談した感じがなかったんだよな。
一応真柴は小説家志望だから本で得た知識なのかもしれないけど。
「そこでお前たちにも一緒に行ってほしいんだよ。 頼む付き合ってくれないか?」
石田が手を合わせ頼んでくる。
断る理由は無い。
それに石田には普段からお世話になっている。
俺のわがままにいつも付き合わせてるからな。
今回ばかりは手伝ってやらないと。
まあ、石田と富田真由美は3年生の時に付き合うんだけど。
俺が何かしてもその結果は大して変わらないだろうし。
ていうか、過去にもデートして付き添ってたんだよなそういえば。
「付き合ってやるよ。 石田にはお世話になってるからな」
「私も勿論手伝うよ! 淳一くんとデートしたいし~」
「お、お前ら……愛してるぜ!」
石田は涙ぐみ、抱擁してこようとする。
「うわ、なんだよ気持ち悪い」
「おー! 頑張れよ石田くん! 私の抱擁パワーを受け取りたまえ!」
俺は石田の抱擁を避けたが、真柴は石田の抱擁を受け止めた。
それよか真柴の方から強く抱きしめていた。
まったく、スキンシップが多いバンドだな。
まあ仲が良いのはいいことだけどな。
そんなこんなで俺たちはダブルデートをすることになった。
帰りに服屋に寄り、ファッションセンス皆無の石田に真柴が服を選んであげていた。
真柴は割とセンスが良い方らしく石田が二割り増しに見えた。
石田はニヤリと笑い、
「これで富田さん俺に惚れるな!」
と調子づいていた。
調子に乗るなと言おうと思ったが、まあ似合っていたし、これ以上なく嬉しそうだったのでそんなことを言う気は失せた。
0
お気に入りに追加
21
あなたにおすすめの小説
隣の人妻としているいけないこと
ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。
そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。
しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。
彼女の夫がしかけたものと思われ…
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子
ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。
Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。
【R-18】クリしつけ
蛙鳴蝉噪
恋愛
男尊女卑な社会で女の子がクリトリスを使って淫らに教育されていく日常の一コマ。クリ責め。クリリード。なんでもありでアブノーマルな内容なので、精神ともに18歳以上でなんでも許せる方のみどうぞ。
【R18】僕の筆おろし日記(高校生の僕は親友の家で彼の母親と倫ならぬ禁断の行為を…初体験の相手は美しい人妻だった)
幻田恋人
恋愛
夏休みも終盤に入って、僕は親友の家で一緒に宿題をする事になった。
でも、その家には僕が以前から大人の女性として憧れていた親友の母親で、とても魅力的な人妻の小百合がいた。
親友のいない家の中で僕と小百合の二人だけの時間が始まる。
童貞の僕は小百合の美しさに圧倒され、次第に彼女との濃厚な大人の関係に陥っていく。
許されるはずのない、男子高校生の僕と親友の母親との倫を外れた禁断の愛欲の行為が親友の家で展開されていく…
僕はもう我慢の限界を超えてしまった… 早く小百合さんの中に…
お嬢様、お仕置の時間です。
moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。
両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。
私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。
私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。
両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。
新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。
私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。
海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。
しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。
海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。
しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる