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1話「妹たちと朝」

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 俺の朝は決まってこう始まる。 どう始まるかって? 毎朝妹が起こしにくるのだ。

「ダーッイブ! 陽兄! 起っきろー!」
「うう……重い。 茜、俺の上に乗っかるな……」

 俺の双子の妹、高崎茜たかさきあかねが俺を起こしにやってきた。 決まっていつもこうやって俺の上にダイブして起こしてくるのだ。

「陽兄が起きないからいけないんだよー! 早くおっきしないと学校間に合わないよー?」

 茜はそう言いながら俺の上に跨り、体を上下に弾ませる。

「分かった分かった! 起きるからぴょんぴょんするのはやめてくれ!」

 茜はニヒヒっと笑い、よいしょっとベッドから降りた。
 茜は黒髮のショートカットで目の下に泣きぼくろがある。 目鼻口は整っており、兄の俺がいうのも何だがかなりの美人だ。

「ちょっと兄さん! 早く起きないと学校遅刻するわよ! 茜も!」

 声の方を見るとそこにはもう一人の妹である、高崎智咲たかさきちさきが険しい表情で腕を組んでいる。

「ちーちゃんそんなに怒ってたら顔にシワ増えちゃうよー」

 茜はニヒヒっと笑う。

「うるさいわね! いいから兄さん、茜! 朝ごはん食べなさい!」

 茜に煽られ、智咲は更に険しい顔になる。
 黒髮ロングで、茜と同じく目鼻口が整っており、かなりの美人だ。
 ちなみに二人は一卵性双生児であり、顔はそっくりである。 見分け方は目の下に泣きぼくろがあるか、髪型だ。 

 俺たちは朝ごはんを食べためダイニングへと向かった。

「おー、今朝はハムエッグだ! これちーちゃんが作ったの?」
「そうよ、感謝して食べなさい」

 茜の問いに智咲は誇らしげに答える。
 最近母さんから教わった料理でたまに俺と茜のために作ってくれる。

「いつもありがとな、智咲」

 俺は智咲にそう言ってハムエッグを口に運ぶ。 美味い。

「べ、別に……自分の朝ごはん作るついでよ!」
「出たー、ちーちゃんのツンデレー」
「っ! 茜うるさい! 黙って食べてなさい!」
「ははは、二人とも仲良くしろよなー」

 俺はそう言って朝食を食べている二人を見つめる。 
 ……今日は二人の誕生日、今日伝えると決めたのだ。 父さんと母さんからは了承を得ている。 中学生になった二人になら受け止められる事実だと信じて。

 朝食を食べ終え、3人で片付けをし、学校へ行く準備をした。

「陽兄ー、いってきますのチュー」

 そう言って茜は俺の首へとキスをしてきた。

「ニヒヒっ。 キスマークつけちゃった~これで陽兄に学校の女の子は近づかないね!」

 そう言って笑って俺の顔を覗き込む茜。

「あほか! 跡ついてるのか? どうすんだよこれ!」
「ふ、二人とも私の前で何してんのよ! 変態!」

 怒りを露わにする智咲。

「ちーちゃんやきもちー? 言っとくけど陽兄は茜のだからねー」
「や、やきもちなわけないじゃない! ……ていうか兄さん! まんざらでもなさそうな顔してるんじゃないわよ!」

 俺としたことが妹にキスマークをつけられ建前で嫌がっていたが、無意識にニヤついてしまっていたようだ。

「す、すまん! は、早く学校行こうぜ!」

 俺はそう言って逃げるように家を出た。

「こら兄さん待ちなさい!」
「陽兄待って~」

 これが俺たち兄妹の朝だ。
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