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55 ポインセチア=私の心は燃えている

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やっとの思いでワレリーもレモンパイを完食すると、ニコライは館を冒険。

「おーはな おーはな」

ちなみに二人はニコライの後ろを歩いていて、ニコライは楽器を振りながらご機嫌だった。
ニコライはとある寝室の扉を覗くと、ベッドを見つけて二人に言う。

「ねる!」

「え?」

ガリーナは驚くと、ニコライは布団に飛び込む。
ワレリーとガリーナは顔を見合わせていると、ニコライは寝たままダダをこねるように二人を呼んだ。

「マーマ!パーパ!」

二人はベッドまで来ると、ガリーナはニコライの隣に寝た。
ワレリーはベッドの前で立ち止まっていると、ニコライは不機嫌な顔をしつつ、ワレリーを見ながらベッドを指差す。
ワレリーは苦笑しつつも寝ると、シングルベッドで狭い為か、三人は詰め寄って寝た。

ニコライは暫く楽器を振っていたが、飽きた為布団に置く。
するとニコライはガリーナとワレリーの顔をそれぞれ見ると、二人は微笑んでくれた。
二人の笑みを見ると、ニコライは急に無愛想な顔をして黙り込んだ。
ワレリーはニコライの異変に気づいていると、ニコライは手を伸ばしてガリーナの手を掴む。

「マーマ…」

ガリーナはニコライを見て目を丸くすると、ニコライは更に手を伸ばしてワレリーの手も掴んだ。

「パーパ…」

ワレリーはそっとニコライの顔を覗き込むと、ニコライは頬を膨らませて目に涙を溜めている。
ガリーナはそれに気づいたのか驚いて起き上がってしまう。

「ニコライ!?」

その声にニコライは驚いたのか、うつ伏せになって布団にしがみついた。

「ヤダ!そと、ヤダ!」

ニコライは掠れた声で訴える。
ガリーナは今までにないニコライの反応に戸惑うと、ワレリーは優しくニコライの背中を撫でた。
ニコライは顔を上げてワレリーを見ると、ワレリーは言う。

「大丈夫、私達はニコライを追い出しませんよ。」

ニコライはワレリーの服にしがみつくと、ワレリーはガリーナに言った。

「寝なさいガリーナ、ニコライが怖がっています。」

ガリーナは言う事に従って一緒に寝ると、ガリーナもニコライの頭を撫でる。
するとニコライはガリーナの方にも振り向くので、ガリーナは微笑んだ。

「マーマ!」

ニコライはガリーナにしがみつき、ガリーナはニコライを優しく撫でてあげた。

「ごめんね、驚かせちゃって。」


暫くしてニコライは落ち着いたのか、二人の手を重ね、更に自分が二人の手を包むようにして握る。
二人の手はあまりにも大きすぎて、ニコライの小さな手では包めない。
その為ニコライは不機嫌な顔をして言う。

「あかちゃん」

「え?」

ガリーナは目を丸くすると、ニコライはガリーナのお腹を触った。

「あかちゃん!」

「えっ」

ワレリーは声を出してしまうと、ガリーナは目が点になる。

「誰から習ったのそれ…」

ガリーナは呟くと、ワレリーはニコライに言った。

「が…ガリーナにはいませんよ…」

「な、なんで急にそんな言葉を…!」

ガリーナは慌てると、ワレリーは暫く考えてから言う。

「…ガリーナ、お話があるのですが。」

「え?」

ワレリーの言葉にガリーナは更に目を点にすると、ワレリーはレギーナの事を話した。


話が終わり、ニコライはいつの間にか眠っていた。
一通り話を聞いたガリーナは、気を落として言う。

「レギーナがそんな事を…」

「パーヴェルにも話したそうですね。
パーヴェルは、責任を持って受け止める姿勢だそうです。」

「そっか…それならいいんだ。
レギーナがパーヴェルくんに嫌われていなかったらそれで。」

ガリーナは微笑むと、ワレリーは困った表情を見せた。

「勘違いして欲しくないところは、パーヴェルは子供に関しての責任を負おうとしているだけである事。
レギーナに気が移ったわけではありませんし、勿論ガリーナを愛してしますよ。」

「わかってる。」

ガリーナは笑うと、ガリーナはスヤスヤと眠るニコライ手を軽く握る。

「ワレリーさんはどう思ってるの?」

ガリーナが聞くと、ワレリーは眉を潜めてからニコライを見つめた。

「…二人が新しい命を大切にしてくれる事を願います。
悪魔も…神も…この村にはいないのですから。」

ワレリーはそう言うと、ガリーナの手を握る。
ガリーナはワレリーの顔を見ると、ワレリーは真剣な顔をして言った。

「ガリーナ。ニコライを連れ、私と共に海外へ来なさい。」

ガリーナは驚いて言葉を失う。
ワレリーが握る力は強いが、ただ力任せにといった感じではない。

「私はガリーナを愛しています。
無論、ニコライも愛しています。

私は、ニコライの父になりたい。
あなたの、傍にいたい。」

ワレリーの熱い視線に、ガリーナは一切目を離す事ができなかった。

「あなたと初めて出会った時から気になり始め、大きくなった今では形容できないほど好きになっています。
とは言え、その大きな感情に気づいたのはつい最近…なのですが。」

「ワレリーさん…」

ガリーナが呟くと、ワレリーは照れ臭そうに微笑む。

「ごめんなさい、自信がついて調子に乗っています。
ニコライは私の事をパパと呼び、今ではガリーナとこれほど良い関係を築けているのです。
その上、今は気持ちの整理がついていて、想いが強く溢れてしまいます。」

そう言われたガリーナは、驚きを通り越して動揺。

「えっ、でも二人から選ぶなんて…!」

「おや?迷っているのですか?つまり私にもチャンスが?」

ワレリーは意地悪に微笑んでそう言うと、ガリーナはギクッとして表情を歪める。
ワレリーはガリーナを真っ直ぐ見つめた。

「私のものになってもらいますよ。」

ガリーナは涙目になってしまう。

(違う…!違うの…!どっちかを選んだらどっちかを傷つけちゃうの嫌なの…!)

すると、ニコライは目を覚ます。
二人は急に動いたニコライに驚いていた。
楽器を持って布団から降りるので、二人は起き上がってニコライを見る。

「ごはん…」

ニコライは寝ぼけてそう言うと、楽器を落としてしまった。
楽器は木で出来た床に落ちると、音が鳴る。
まるで、バチがついていた時の様に。
ニコライはその音を聞くと目を丸くした。

「あー!」

楽器を拾うと、ニコライはもう一度楽器を落とした。
再び音の鳴る楽器。
ニコライは嬉しくて飛び跳ねた。

「あーー!マーマ!パーパ!」

ニコライはそう言って二人に笑う。
ワレリーはクスッと笑うと、ニコライに言った。

「良かったですね、ニコライ。」

ガリーナはニコライが嬉しそうに遊んでいるのを見て、胸に手を当てる。

「良かったね。」

ニコライは暫くの間、楽器を落として遊んでいた。

 ==================

お誕生日会が終わった夕方、ガリーナは家までニコライを送っていた。
家にガリーナは入ると、リビングへ向かう。

「レギーナいるー?
ニコライが帰ってきましたよー。」

するとリビングにはレギーナだけでなく、パーヴェルもいた。
パーヴェルはガリーナに微笑むと、次にニコライを見て言う。

「おかえり。誕生日プレゼントは貰ったか?」

パーヴェルはニコライに対しては、表情に活気がないがそう聞いた。
ニコライは言う。

「あかちゃん!」

「ハア!?」

パーヴェルは過剰に反応してガリーナを見ると、ガリーナは苦笑。

「一緒にレモンパイを作っただけよ。
ほら、二人の分もあるわよ。」

パーヴェルはそう言われると、すぐに目を輝かせた。

「ガリーナの手作りい!?」

ガリーナはニコニコして言う。

「ニコライも生地を伸ばしたのよ?あとワレリーさんがメレンゲ作ってくれたの!」

「ひゃー!これは今食って感想言わなきゃ!」

パーヴェルはその場でパイを食べようと包丁を持ってくる。
パーヴェルはレモンパイをひと切れ切ると、大きな口でそのまま頬張った。
ニコライはそれを見て羨む。

「レモンパイー!」

ニコライは飛び跳ねてパーヴェルにしがみつくと、パーヴェルは嬉しそうに言った。

「美味い!!幸せ!」

パーヴェルはそう言ってもう一口。
幸せそうにご飯を食べるパーヴェルを見て、ガリーナは懐かしさを思い出して目に涙を溜める。
パーヴェルはガリーナを見ると、口にパイが入ったまま言った。

「どうしたガリーナ!」

「え…いや、なんか懐かしいなって…一緒に暮らしてた頃が…」

そう言われると、パーヴェルは目を丸くする。
それからパイを飲むと、笑顔になった。

「俺も。久々にガリーナの手料理食べられて幸せだぜ!」

レギーナはそんな二人に妬けていると、ガリーナは言う。

「実はね、さっきワレリーさんから告白されちゃって…迷ってるの私…」

パーヴェルはそれを聞くと、一度目を丸くしてから再び笑顔に。

「愛されてるな~ガリーナは!
にしても兄様もよくやった!にひひ!」

ガリーナは眉を困らせてパーヴェルに言う。

「も~真剣に悩んでるんだからね。」

「仕方ないな~!」

パーヴェルはそう言うと、一度頷いてから言った。

「今夜、兄様と決闘しよう。」

「え?」

ガリーナは目を丸くすると、パーヴェルはパイをひと切れ平らげてしまうのであった。


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