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07 悪魔に産まれた事
073 ごめんなさいが言えなくて。
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対し、フェオドラは不機嫌だった。
ワレリーはフェオドラに話しかける。
「フェオドラ?気に入りませんか?」
それに対し、フェオドラは頷いた。
「だってケリスが儀式を遂行しなきゃ、私も普通に産まれてきたし、マーマも生きてた。
ケリス大嫌い!」
その言葉に、一同の視線は一気にフェオドラに集まる。
ケリスは涙目で怖がっていると、フェオドラはケリスを睨んだ。
「別に儀式しなきゃいけない理由もないし、…ないのにするの酷い!」
ケリスは黙り込んでしまうと、ワレリーはフェオドラに優しく言う。
「ケリスはその為に生まれてきた悪魔だからですよ。
昔のケリスからそれを奪ってしまっては、生きる全てを奪ったようなものと同じとなります。」
しかしフェオドラは涙目で言い放つ。
「わかんない…!わかんないよ!!」
それに対し、スピムは難しい顔。
「そうね、人間らしく生きてきたフェオドラにとって、大昔からいる悪魔のいろはなんて何もわからないでしょうね。」
フューレンはそれを聞いて頭を抱えた。
「人殺してる時点で十分悪魔だけどな。」
「それもそう。」
とキリエルも苦笑していた。
スピムは続けた。
「古い悪魔は本来、使命っていうものを持っているから。
使命を持って、それだけを遂行するのが大昔の悪魔。最近の悪魔は、随分自由になっちゃったけど。」
「ケリスは純粋に使命を守ろうとしていただけって事か?」
「そうだと思うけど。
そもそも、大昔の悪魔に心を求める方が間違っているんだから。ケリスは逆にどこで道を外したんだか。」
それを聞くと、ワレリーが言う。
「ケリスは儀式の為に生まれてきたとは言え、フェオドラの様に悪魔にされて生まれた知的生物なんですよ。」
「え?そうなの?」
スピムが驚くと、ワレリーは頷く。
「親がいて、大昔はちゃんと親と一緒に暮らしていました。」
するとフェオドラが更に頬を膨らませた。
「フェオドラと同じなら尚更わかるじゃん!」
しかし、ケリスは困った顔をして黙るだけ。
それを見るとフェオドラは更に言った。
「ケリスはいっつも黙って!何か言ってよ!」
ケリスはそれを聞くと慌てて、やはり黙ってしまった。
それを見かねたワレリーが言った。
「わかってはいますが…ケリスも儀式を続行しないといけない理由があったのです。」
「なにそれ。」
フェオドラが聞くと、ワレリーは続けた。
「聞けばわかる通り、ケリスもフェオドラの様に生まれてきた悪魔です。
そんなケリスが、なぜ魔導書に住んでいたと思いますか?」
するとフューレンが言った。
「魔導書に封じられていた…とか?」
「その通りです。ケリスは魔導書に封じられていたのですよ。」
フェオドラはそれを聞くと、興味を示した。
「どうして?」
「フェオドラとケリスは、この魔導書と繋がっています。
二人が魔力を失って弱った時…その時は魔導書が命を繋いでくれるのです。封印という形で。
そして、その封印を解くには、儀式が必要なのですよ。」
「それが…なんなの?」
フェオドラが聞くと、ワレリーは続ける。
「つまり、儀式があったからこそガリーナは死に、ケリスは世に再び現れる事ができた。
考えてみてください。フェオドラがケリスと同じ立場であったのなら、どうするか。」
それを聞いてフェオドラは黙り込む。
「長い間、退屈な本の中で暮らすのです。
出られるチャンスはそうありません。もしチャンスが来たら、どうしますか?」
そう言われると、フェオドラ膨れたまま勢いが消えてしまう。
ワレリーは言った。
「確かに儀式を続行したのはケリスですが、儀式を始めたのは私です。
私にも非があるのですよ、フェオドラ。」
フェオドラは完全に勢いを失ってしまい、大人しくなってしまう。
するとスピムはフェオドラに言った。
「ほら、ケリスに謝りなさい。」
それを聞くとケリスは慌てた。
「あ、謝罪なんていいです…!」
「ダメよ!あんなに言われて謝罪の一つもなしだなんて、ケリスが可哀想!」
するとワレリーはフェオドラの肩を軽く叩くと言う。
「フェオドラ、ケリスの苦しみを少しは理解できましたか?」
フェオドラは頷いた。
ワレリーは微笑む。
「では、ケリスが沢山傷ついている事もわかるはずです。」
次は躊躇いながらも、フェオドラは黙って頷いた。
ワレリーはフェオドラに言う。
「フェオドラの今の気持ちを、そのままケリスに伝えればいいのですよ。」
フェオドラはやっとワレリーの顔を見る。
ワレリーの穏やかな微笑み、それにフェオドラは少し俯いた。
するとフェオドラは顔を上げ、ケリスの前に来る。
ケリスはビクビクしていると、フェオドラは言う。
「私も退屈嫌い。私がケリスと同じ立場だったら、同じ事してた。」
そう言うと、フェオドラは躊躇った様子を見せる。
顔を真っ赤にするまで躊躇ったフェオドラだが、最後には頭を下げて言った。
「ごめんなさい!許して!」
「そ、そそそそんな…!いいんですよ!ケリスの事なんて…!」
ケリスは慌てて言うが、フェオドラは首を横に振った。
「ダメ!ケリスはもっと傲慢になって!」
「傲慢にはなるなよ。」
とフューレンは言うが、ケリスは眉を困らせて微笑んだ。
「…わかりました。ケリス、もっと強く自分を持たないとダメですよね。」
フェオドラが強く頷くと、ケリスは笑った。
それを見たフェオドラは、流されるように笑う。
フェオドラはケリスの腕を引っ張った。
「じゃあ今日から、フェオドラが自分の持ち方を教えてあげる!」
「ホ、ホントですか…!?」
「うん!こっちこっち~!」
フェオドラはすっかり元気になって、ケリスをどこかへ連れて行ってしまった。
それを見ていたワレリーは眉を困らせる。
「おやおや。みんなとケリスを馴染ませるはずが、ケリスとフェオドラだけが仲良くなってしまいましたね。」
「いいんじゃないかしら。」
フレノアがワレリーを見てそう言うと、ワレリーはクスクスと笑ってしまう。
スピムも言った。
「それに、私達もちょっとはケリスの事理解できたしね。
ケリスは前々から黙ってる事が多くて、不信感しかなかったし。」
「あら、それは解消できて良かったです。」
そしてモルビスは苦笑。
「俺はあんま気にしてなかったや。」
「僕も!ケリスとは仲良し!」
と言って出てきたのはキリエル。
フューレンは思わず微妙な反応。
(確かに、キリエルとモルビスは他者に不信感抱かないタイプだよな。)
そういう他愛もない会話をしながらも、一同はフェオドラとケリスが外でじゃれているのを眺めているのであった。
ワレリーはフェオドラに話しかける。
「フェオドラ?気に入りませんか?」
それに対し、フェオドラは頷いた。
「だってケリスが儀式を遂行しなきゃ、私も普通に産まれてきたし、マーマも生きてた。
ケリス大嫌い!」
その言葉に、一同の視線は一気にフェオドラに集まる。
ケリスは涙目で怖がっていると、フェオドラはケリスを睨んだ。
「別に儀式しなきゃいけない理由もないし、…ないのにするの酷い!」
ケリスは黙り込んでしまうと、ワレリーはフェオドラに優しく言う。
「ケリスはその為に生まれてきた悪魔だからですよ。
昔のケリスからそれを奪ってしまっては、生きる全てを奪ったようなものと同じとなります。」
しかしフェオドラは涙目で言い放つ。
「わかんない…!わかんないよ!!」
それに対し、スピムは難しい顔。
「そうね、人間らしく生きてきたフェオドラにとって、大昔からいる悪魔のいろはなんて何もわからないでしょうね。」
フューレンはそれを聞いて頭を抱えた。
「人殺してる時点で十分悪魔だけどな。」
「それもそう。」
とキリエルも苦笑していた。
スピムは続けた。
「古い悪魔は本来、使命っていうものを持っているから。
使命を持って、それだけを遂行するのが大昔の悪魔。最近の悪魔は、随分自由になっちゃったけど。」
「ケリスは純粋に使命を守ろうとしていただけって事か?」
「そうだと思うけど。
そもそも、大昔の悪魔に心を求める方が間違っているんだから。ケリスは逆にどこで道を外したんだか。」
それを聞くと、ワレリーが言う。
「ケリスは儀式の為に生まれてきたとは言え、フェオドラの様に悪魔にされて生まれた知的生物なんですよ。」
「え?そうなの?」
スピムが驚くと、ワレリーは頷く。
「親がいて、大昔はちゃんと親と一緒に暮らしていました。」
するとフェオドラが更に頬を膨らませた。
「フェオドラと同じなら尚更わかるじゃん!」
しかし、ケリスは困った顔をして黙るだけ。
それを見るとフェオドラは更に言った。
「ケリスはいっつも黙って!何か言ってよ!」
ケリスはそれを聞くと慌てて、やはり黙ってしまった。
それを見かねたワレリーが言った。
「わかってはいますが…ケリスも儀式を続行しないといけない理由があったのです。」
「なにそれ。」
フェオドラが聞くと、ワレリーは続けた。
「聞けばわかる通り、ケリスもフェオドラの様に生まれてきた悪魔です。
そんなケリスが、なぜ魔導書に住んでいたと思いますか?」
するとフューレンが言った。
「魔導書に封じられていた…とか?」
「その通りです。ケリスは魔導書に封じられていたのですよ。」
フェオドラはそれを聞くと、興味を示した。
「どうして?」
「フェオドラとケリスは、この魔導書と繋がっています。
二人が魔力を失って弱った時…その時は魔導書が命を繋いでくれるのです。封印という形で。
そして、その封印を解くには、儀式が必要なのですよ。」
「それが…なんなの?」
フェオドラが聞くと、ワレリーは続ける。
「つまり、儀式があったからこそガリーナは死に、ケリスは世に再び現れる事ができた。
考えてみてください。フェオドラがケリスと同じ立場であったのなら、どうするか。」
それを聞いてフェオドラは黙り込む。
「長い間、退屈な本の中で暮らすのです。
出られるチャンスはそうありません。もしチャンスが来たら、どうしますか?」
そう言われると、フェオドラ膨れたまま勢いが消えてしまう。
ワレリーは言った。
「確かに儀式を続行したのはケリスですが、儀式を始めたのは私です。
私にも非があるのですよ、フェオドラ。」
フェオドラは完全に勢いを失ってしまい、大人しくなってしまう。
するとスピムはフェオドラに言った。
「ほら、ケリスに謝りなさい。」
それを聞くとケリスは慌てた。
「あ、謝罪なんていいです…!」
「ダメよ!あんなに言われて謝罪の一つもなしだなんて、ケリスが可哀想!」
するとワレリーはフェオドラの肩を軽く叩くと言う。
「フェオドラ、ケリスの苦しみを少しは理解できましたか?」
フェオドラは頷いた。
ワレリーは微笑む。
「では、ケリスが沢山傷ついている事もわかるはずです。」
次は躊躇いながらも、フェオドラは黙って頷いた。
ワレリーはフェオドラに言う。
「フェオドラの今の気持ちを、そのままケリスに伝えればいいのですよ。」
フェオドラはやっとワレリーの顔を見る。
ワレリーの穏やかな微笑み、それにフェオドラは少し俯いた。
するとフェオドラは顔を上げ、ケリスの前に来る。
ケリスはビクビクしていると、フェオドラは言う。
「私も退屈嫌い。私がケリスと同じ立場だったら、同じ事してた。」
そう言うと、フェオドラは躊躇った様子を見せる。
顔を真っ赤にするまで躊躇ったフェオドラだが、最後には頭を下げて言った。
「ごめんなさい!許して!」
「そ、そそそそんな…!いいんですよ!ケリスの事なんて…!」
ケリスは慌てて言うが、フェオドラは首を横に振った。
「ダメ!ケリスはもっと傲慢になって!」
「傲慢にはなるなよ。」
とフューレンは言うが、ケリスは眉を困らせて微笑んだ。
「…わかりました。ケリス、もっと強く自分を持たないとダメですよね。」
フェオドラが強く頷くと、ケリスは笑った。
それを見たフェオドラは、流されるように笑う。
フェオドラはケリスの腕を引っ張った。
「じゃあ今日から、フェオドラが自分の持ち方を教えてあげる!」
「ホ、ホントですか…!?」
「うん!こっちこっち~!」
フェオドラはすっかり元気になって、ケリスをどこかへ連れて行ってしまった。
それを見ていたワレリーは眉を困らせる。
「おやおや。みんなとケリスを馴染ませるはずが、ケリスとフェオドラだけが仲良くなってしまいましたね。」
「いいんじゃないかしら。」
フレノアがワレリーを見てそう言うと、ワレリーはクスクスと笑ってしまう。
スピムも言った。
「それに、私達もちょっとはケリスの事理解できたしね。
ケリスは前々から黙ってる事が多くて、不信感しかなかったし。」
「あら、それは解消できて良かったです。」
そしてモルビスは苦笑。
「俺はあんま気にしてなかったや。」
「僕も!ケリスとは仲良し!」
と言って出てきたのはキリエル。
フューレンは思わず微妙な反応。
(確かに、キリエルとモルビスは他者に不信感抱かないタイプだよな。)
そういう他愛もない会話をしながらも、一同はフェオドラとケリスが外でじゃれているのを眺めているのであった。
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