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「捕縛の魔術があります。実践で試したことはないのですが、文書ではその魔術でドラゴンの行動を抑えていました」
彼はドラゴンへの興味が尽きないようで、何度もドラゴンを捕まえてその生態を確かめていた。
捕縛はともかく、生きたまま生態を確認するのはかなり難しいようで、ドラゴンに近づいたその日の日記では大怪我を負った描写が多く、痛そうなのに何故か笑ってしまった。
懐かしい小屋の持ち主である彼の日記を思い出し、思わず笑みが浮かぶ。
そんなミシェラを、ハウリーは胡散臭げに見つめた。
「ミシェラは一体どうなっているのか謎すぎるな。……そもそも、ドラゴンを見たら普通の人は捕まえようなどとは思わないし、新人であれば怯むのは当然なのに、その様子もない」
「うーん、それは、死に直面することが多かったのと、ドラゴンに対して親しみがあるからかもしれませんね」
「……今、そういう事を話している場合ではないのが残念だ。君の言う捕縛を試してみてくれるか? 時間をかければ倒すことは出来るだろうが、村や団員への被害がないとは言えない」
「ありがとうございます! ……できれば、ドラゴンには生きていて欲しいのですが、難しいでしょうか」
「記録上、何度か魔術師団が派遣されているが討伐まではしていない。それは、倒せなかったというものでもあるが……」
「村では、ドラゴンを信仰しているので、生きていたら喜ぶと思います。……あと、個人的にドラゴンには生きていて欲しいと言うのがあって……」
「ミシェラ。君の意見は通してあげたい。しかし、難しい事もある。ドラゴンの危険は、街まで来てしまった場合は被害が甚大だ。倒せるならば倒したいというのが本音だ」
ハウリーに告げられた言葉は、当然で。ミシェラは目をつむって心の中で小屋の家主の彼に謝った。
彼が好きだったドラゴン。
きっと、彼には倒すことなどいつでもできたけど、そうしなかったのは好きだったから。
それにもしドラゴンが原因で死んでしまっても仕方がないと、彼なら思えたから。
私達は、違う。
ハウリーは人間を守るために師団長として生きている。それに、自分だってそれを手伝う為にここにきているのだ。
私の支えになってくれたのに、ごめんね。あなたのドラゴンになら食べられてもいいと思ってたけど……、今は、あなたのドラゴンのような存在が私にはもう居るから。
心の中で、会ったことのない、しかしずっと心の支えになってくれた彼に謝り整理をつける。
「わかりました。わがまま言って申し訳ありません」
「おっと、こっちにきたな。私が炎を弾くので、ミシェラはここで魔術を使って捕縛をしてくれ。炎を吐く瞬間に一番隙ができる。残念ながら、捕えられたら攻撃させてもらう」
「はい。ハウリー様が安全に討伐できるように、頑張ります!」
「よし、行くぞ!」
こちらに飛んでくるドラゴンを見つめながら、ドラゴンの視界に入る様にハウリーが駆け出す。
ミシェラはそのまま木の陰で、ドラゴンの動きを待った。
ハウリーはドラゴンを挑発する様に、走りながら細い氷を打ち込んでいく。ドラゴンはそれを避けもせずにハウリーに向かって一直線に降りてくる。その巨体が太陽の光を隠し、あたりが一瞬にして暗くなる。
本能的な恐怖がミシェラを襲う、手が冷え、身体がこわばる。
そんなミシェラとは対照的に、ハウリーは慌てた様子もなく、大きく跳躍した。木を使い、どんどん上に向かって飛んでいく。ドラゴンは邪魔だと言うように、大きく口を開けた。咆哮がびりびりと身体に響く。そしてそのまま続けて、ドラゴンは炎を吐いた。
一瞬ハウリーの姿が見えなくなり、ぞっとする。しかしすぐに魔法陣が見え、彼の姿も炎の中から辛うじて見えた。
ミシェラはドラゴンを見つめ、魔法陣を展開した。
「ごめんね……『捕縛』」
謝りながら、魔力を捧げる。ぞわっと魔力が大量に消費され、意識が持っていかれそうになる。それを歯を食いしばり耐え、光の網を広げる。
ミシェラの魔力を食い続けながら、光の網がドラゴンの周りに広がり、そのままするすると小さくなってドラゴンに絡まった。
羽に光の縄が絡まったドラゴンは、そのまま飛んでいる事が出来ずに地に落ちた。
ドーンと激しい地響きが広がり、木々が大きく揺れる。
ミシェラは成功を感じて、そのまま木に寄り掛かった。
使えるとは思っていたが、こんなにギリギリだとは思っていなかった。
自分の実力がまだ把握しきれていない。問題だ。
これではいざという時に失敗しかねないと息を吐いた。何とか成功してよかった。
散らばっていた団員達も慌てた様子でこちらにやってくる。誰も彼も、落ちて来たドラゴンを見て、ギョッとした顔をしている。
そこに、いつの間に移動していたのか、上空から氷の槍のようなものを持ったハウリーが落ちてきた。その勢いのまま、ドラゴンの身体を槍で突き刺す。
ドラゴンが苦悶の咆哮を上げる。耳が痛い。耳を押さえていると、いつの間にかシュシュが近くに居た。
「ミシェラちゃん、これはあなたが……?」
「ええと、はい」
「そっか。お疲れ様。後はまかせてね」
ミシェラの魔力切れでフラフラの身体をそっと支えて座らせてくれる。そこにシュシュは防壁の魔術をかけ、ドラゴンの方へ向かった。
彼女の後姿を見ながら、ミシェラは彼らの勝利を祈った。
彼らの活躍を見たい、そう体を起こしたいのに、身体は全くいう事を聞かずに意識はそのまま沈んでいってしまった。
彼はドラゴンへの興味が尽きないようで、何度もドラゴンを捕まえてその生態を確かめていた。
捕縛はともかく、生きたまま生態を確認するのはかなり難しいようで、ドラゴンに近づいたその日の日記では大怪我を負った描写が多く、痛そうなのに何故か笑ってしまった。
懐かしい小屋の持ち主である彼の日記を思い出し、思わず笑みが浮かぶ。
そんなミシェラを、ハウリーは胡散臭げに見つめた。
「ミシェラは一体どうなっているのか謎すぎるな。……そもそも、ドラゴンを見たら普通の人は捕まえようなどとは思わないし、新人であれば怯むのは当然なのに、その様子もない」
「うーん、それは、死に直面することが多かったのと、ドラゴンに対して親しみがあるからかもしれませんね」
「……今、そういう事を話している場合ではないのが残念だ。君の言う捕縛を試してみてくれるか? 時間をかければ倒すことは出来るだろうが、村や団員への被害がないとは言えない」
「ありがとうございます! ……できれば、ドラゴンには生きていて欲しいのですが、難しいでしょうか」
「記録上、何度か魔術師団が派遣されているが討伐まではしていない。それは、倒せなかったというものでもあるが……」
「村では、ドラゴンを信仰しているので、生きていたら喜ぶと思います。……あと、個人的にドラゴンには生きていて欲しいと言うのがあって……」
「ミシェラ。君の意見は通してあげたい。しかし、難しい事もある。ドラゴンの危険は、街まで来てしまった場合は被害が甚大だ。倒せるならば倒したいというのが本音だ」
ハウリーに告げられた言葉は、当然で。ミシェラは目をつむって心の中で小屋の家主の彼に謝った。
彼が好きだったドラゴン。
きっと、彼には倒すことなどいつでもできたけど、そうしなかったのは好きだったから。
それにもしドラゴンが原因で死んでしまっても仕方がないと、彼なら思えたから。
私達は、違う。
ハウリーは人間を守るために師団長として生きている。それに、自分だってそれを手伝う為にここにきているのだ。
私の支えになってくれたのに、ごめんね。あなたのドラゴンになら食べられてもいいと思ってたけど……、今は、あなたのドラゴンのような存在が私にはもう居るから。
心の中で、会ったことのない、しかしずっと心の支えになってくれた彼に謝り整理をつける。
「わかりました。わがまま言って申し訳ありません」
「おっと、こっちにきたな。私が炎を弾くので、ミシェラはここで魔術を使って捕縛をしてくれ。炎を吐く瞬間に一番隙ができる。残念ながら、捕えられたら攻撃させてもらう」
「はい。ハウリー様が安全に討伐できるように、頑張ります!」
「よし、行くぞ!」
こちらに飛んでくるドラゴンを見つめながら、ドラゴンの視界に入る様にハウリーが駆け出す。
ミシェラはそのまま木の陰で、ドラゴンの動きを待った。
ハウリーはドラゴンを挑発する様に、走りながら細い氷を打ち込んでいく。ドラゴンはそれを避けもせずにハウリーに向かって一直線に降りてくる。その巨体が太陽の光を隠し、あたりが一瞬にして暗くなる。
本能的な恐怖がミシェラを襲う、手が冷え、身体がこわばる。
そんなミシェラとは対照的に、ハウリーは慌てた様子もなく、大きく跳躍した。木を使い、どんどん上に向かって飛んでいく。ドラゴンは邪魔だと言うように、大きく口を開けた。咆哮がびりびりと身体に響く。そしてそのまま続けて、ドラゴンは炎を吐いた。
一瞬ハウリーの姿が見えなくなり、ぞっとする。しかしすぐに魔法陣が見え、彼の姿も炎の中から辛うじて見えた。
ミシェラはドラゴンを見つめ、魔法陣を展開した。
「ごめんね……『捕縛』」
謝りながら、魔力を捧げる。ぞわっと魔力が大量に消費され、意識が持っていかれそうになる。それを歯を食いしばり耐え、光の網を広げる。
ミシェラの魔力を食い続けながら、光の網がドラゴンの周りに広がり、そのままするすると小さくなってドラゴンに絡まった。
羽に光の縄が絡まったドラゴンは、そのまま飛んでいる事が出来ずに地に落ちた。
ドーンと激しい地響きが広がり、木々が大きく揺れる。
ミシェラは成功を感じて、そのまま木に寄り掛かった。
使えるとは思っていたが、こんなにギリギリだとは思っていなかった。
自分の実力がまだ把握しきれていない。問題だ。
これではいざという時に失敗しかねないと息を吐いた。何とか成功してよかった。
散らばっていた団員達も慌てた様子でこちらにやってくる。誰も彼も、落ちて来たドラゴンを見て、ギョッとした顔をしている。
そこに、いつの間に移動していたのか、上空から氷の槍のようなものを持ったハウリーが落ちてきた。その勢いのまま、ドラゴンの身体を槍で突き刺す。
ドラゴンが苦悶の咆哮を上げる。耳が痛い。耳を押さえていると、いつの間にかシュシュが近くに居た。
「ミシェラちゃん、これはあなたが……?」
「ええと、はい」
「そっか。お疲れ様。後はまかせてね」
ミシェラの魔力切れでフラフラの身体をそっと支えて座らせてくれる。そこにシュシュは防壁の魔術をかけ、ドラゴンの方へ向かった。
彼女の後姿を見ながら、ミシェラは彼らの勝利を祈った。
彼らの活躍を見たい、そう体を起こしたいのに、身体は全くいう事を聞かずに意識はそのまま沈んでいってしまった。
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