陽のあたる場所２

各々の旅路

各々の旅路19

彼"達也"は８年以上前に居酒屋で出会った新宿在住の"おなべ"で、当時は中学生だったーー。（旧作『新宿ウォーカー』参照）


居酒屋の男子トイレに並んでいる彼をみて、自分と一緒の"おなべ"だとピンときて

自ら話しかけて仲良くなり、それからしばらくは会っていたけど……



「達也じゃん！？

わぁ～っ！久しぶりっ！！超感激なんだけどっ！！！

何年振りだろうっ！？」



自分が女に戻ってから定期的に会うことは無くなり、彼が当時働いていた"おなべBAR"に顔を出したくらいで、殆ど会わなくなっていたーーー。


「ですよね？w 何年振りでしょうね！？（笑）

フクさん、あの…ココで働いてるんですか！？」


「そうなんだよね（笑）

ホント偶然だね！？

達也最近どうしてるの！？

ぶっちゃけ改名とかどこまで進めたの！？」


「改名はしましたよ♪

で、今はホル注していて、胸オペまではしましたっ！」


※ホル注→男性ホルモンの投与のこと

※胸オペ→乳房切除手術のこと


そう話す達也の声は、ホル注の影響で明らかに数年前より低く、男らしくなっていたーー。



「胸オペまで済ませたんだ！？

なんかより男らしくなったし、大人になったねぇ！


ってか、達也今いくつになったの！？」



「今は大学院に通ってるんですよね。今大学院の2年生で23歳ですよ♪」


「すごいねっ！？もう23歳なんだ！？しかも大学院まで行くなんて立派だね！

大学院の２年ってことはもうすぐ卒業じゃん！？

就職先は決まったの！？」



「いや…就職先はまだですけど…

とりあえず英語の教員免許は取れるんで♪」