陽のあたる場所２

思考と嗜好

思考と嗜好32

APAホテルの客室には、いわゆる「南京大虐殺」を否定する記述のある書籍が置かれてあり、今大きな議論を呼んでいる。


この問題が浮上したせいなのか、この日まだホテル内に中国人観光客を見かけていない…。


普段この歌舞伎町のAPAホテルは中国人観光客でごった返しているのに…。


果たしてこの書籍の内容が事実か否か…。


『死人に口なし』というように時間が経てば経つほどその当時を知る人も減り、真実とはうやむやになりやすい…。


だからこそ、私は篤史と会長のやりとりもうやむやにならないのか心配なワケで……


「あのさ、篤史…

こないだの話だけどさ、会長となるべく早めに会って話した方がいいんじゃない？

変な話さ…会長もいつ亡くなるか分かんないじゃん！？

ちゃんと会長が生きてるうちに会長から篤史を代表取締役として推薦するの書面上に残してもらった方がいいんじゃない！？」


「分かってる…。

近いうち会ってくるさ…。」


「会長が入院してること、お母さんは知ってるの！？

もし…知らないなら教えてあげたほうが……

会長に今愛人がいるとはいえ、長年連れ添ってた夫婦なんだからっ！！」



「いやっ！それはできねぇっ！！


…オヤジからはこの事は『お袋には言うなっ！』って口止めされてるんだわっ！！」