陽のあたる場所

こたろ

文字の大きさ
上 下
351 / 449
儚いユートピア

儚いユートピア10

しおりを挟む
真央と電話をした翌日に、今度は心理カウンセラーの鳥飼さんに朝から電話をした。


この日久しぶりに仕事が休みだった俺は、やっと鳥飼さんとゆっくり話す時間が取れたのだった。


「…はい。お願いします。」


「フクちゃん大丈夫よ?w

"トラウマバスター"はちょっとしたゲームのようなものだからw

いつも通り部屋の中でリラックスしていて大丈夫よ♪」


「はいw

なんかどんな事するのか想像つかなくて緊張しちゃって(笑)」


「フフっw大丈夫よ♪

それより時間は大丈夫かしら?時間はだいたい1時間くらいかかる予定だけど。」


「はい♪今日は休みなんで大丈夫です♪」


「では始めますが…

その前にね、フクちゃん?」


「…はい?」


「フクちゃんは、震えや動悸に悩んでいると言っていたけれど

脳はね、時々間違った司令を身体に出してしまって誤作動を起こすことがあるの。

でもそれは故障ではなく、ただのミスなのよ。


ミスは誰でもある事だし、それも別に普通のことなのよ?」


「…はい。…?」


「もし、今の話で納得できたのなら、今ここで電話を切っても構わないのよ?(笑)」


「…え。」


「どうする?

それでもフクちゃんはやるかしら?w」



「……。


はい!!やります♪


せっかく鳥飼さんに偶然出会って、こうゆう機会になったんで!!

ぜひお願いしますっ!!」


「では、福永さん始めますね。」


突然"福永さん"に切り替わった鳥飼さんは口調も変わり

まるでアナウンサーかのような"プロ"の口調になっていた…。


「その思い出はいつ頃の事か思い出せますか?」


「…はい。

まだ幼稚園の頃でした。」


「その時、あなたは……」


"トラウマバスター"と題された心理ゲームは、自分のトラウマとなる過去を引き出して

自ら脳内をその時にタイムスリップさせ、情景を甦らせた後

その1つ1つ再生、巻き戻し、早送りなどをさせ、それについて鳥飼さんが質問をし、答えるという脳内ゲームだった。



「福永さん、これで終わりです。

どうだったかしら?w」
しおりを挟む

処理中です...