陽のあたる場所

こたろ

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剥落の虚偽

剥落の虚偽20

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メールを送信した後、俺は携帯を左手に握りしめ

今度は駅まで全力疾走していた…。




早く…



早くケースケさんに会いたいっ!!



「はぁっ…はぁ…。」


駅に着いて、息を切らしたまま電車に乗ると、

今度は貧乏揺すりがとまらなくて…。




みんな俺を見ないでくれ……。


俺を見るんじゃねぇ…っ。




なんだか異常に周りの目が気になって、

ずっと視点が定まらずにいた…。



くそっ…


震えがとまらねぇよ…。


ケースケさん…


ケースケさん助けてくれよ……。




ケースケさんの返事はまだかと何度携帯を開いたけど…

何度みてもメールは来ない…。



もし今日会えなかったらどうしよう…。


明日もこんな状態で仕事をするのだろうか…?


明日はまた高円寺で仕事だから

将吾くんに会うというのに…



俺がこんな状態じゃまた心配をかけてしまう…。




明日は真央とも会う約束をしているのに……。


真央と……。


………。



"そんな人と関わるのは辞めなさい…"


"その人はあなたの人生を不幸にするわ…"



……っ!!



ちくしょうっ…


俺は真央に会っちゃいけないのかよ?



なぁ?誰か教えてくれよ…?


じゃあ俺はどうすればいいんだよ…?



ケースケさん教えてくれよ…?



だから早くっ…


早く返事を……。




地下鉄だと電波も悪いし、俺は何度も新着メール問い合わせもしたけど…




結局、返事は来ないまま新宿駅に到着した--。
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