陽のあたる場所

こたろ

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沈む太陽

沈む太陽31

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それから夕方になって、俺は仕事中に治さんに呼び出され、

外で落ち着いて話し合うことになった。


「治さん、すみません。

忙しい時期なのに余計なこと言ってしまって…。」


「いや…、すみません。

俺もさっきはキツい言い方をしてしまって…。


で、どうしましょうか?

将吾を帰したら、福永さんもキツいですよ?」


「俺は構いません。

将吾くんが帰って、たまにはゆっくりして、明日頑張ってくれた方がいいと思うんで。」


「…う~ん。

アイツだけ特別扱い?」


「いや…、そもそも日本の基本的な労働時間って1日8時間じゃないですか。

でも今は毎日半日以上働くのが当たり前になってますよね?


でも本来8時間以上の労働を強制的にさせるのはおかしいと思います。」


「でもこの仕事はそれが普通ですし、みんなも同じだけ働いてるんですよ?」


「でも彼はアルバイトですよね?

アルバイトにそんな義務はないと思います!!」


「でもっ!!それはアイツが社員になる気がないだけで…っ!!」

「それは彼の自由ですよね!?

アルバイトが必要だからアルバイトを雇ったんですよね!?」

「そうですけど…」

「でも将吾くんは社員と同じような仕事をしてますよね!?

社員並の責任感負わされてますよね!?

将吾くんがいないと仕事が廻らないほど重い立場になっちゃってますよね!?

なんの保障もないのにそれはおかしくないですかっ!?」


「……。

…確かに福永さんの言う通りですね。」


「必ずしも残業させるなというわけじゃありません。

アルバイトの場合、残業は残業したい人だけ残ればいいと思います。


俺は稼ぎたいんで残業したいです。

だから何時まででも大丈夫です。

だからそうゆう人だけ残ればいいと思います。」



「そうですね。

確かに今までが普通じゃなかったのかもしれません。


福永さん、思ったことちゃんと言ってくれてありがとうございます。」


「いえ、こんな時期に余計な事考えさせてしまってすみません…。」



「いやいや。

俺も…



将吾に甘えてしまっていたのかもしれませんね…。」
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