異世界で生きていく。

モネ

文字の大きさ
上 下
122 / 128
第四章の話

お礼

しおりを挟む
翌朝、ずいぶん調子も良くなりスッキリしている。
「んー、よく寝た。今日は活動できそうだな。無理しない程度にしよう。」
今日はゆっくり動こう。
顔を洗って身支度をした。
洗濯物が溜まっていたので洗面所で洗いと乾燥を済ませてしまった。
やっぱり前の世界も今の世界でも洗濯物終わらせるとスッキリする。
本当は天気の良い日は外に干すのが気持ちいいけれど。

ダイニングで朝食を済ませて、食後のコーヒーを窓辺で飲んでいた。
「モエさん。おはようございます。体調はいかがですか?」
「おはようございます、ケイさん。ゆっくり眠れてすっかり良くなりました。ご迷惑おかけしました。ありがとうございます!」
「フフッ。それならよかったです。あまり無理しすぎずゆっくりできる時はしてくださいね。」
「はい。今日は買い物に行ってきます。ずっと寝てばかりだったので。」
「そうですか。お気をつけて行ってきてくださいね。」
「はい、ありがとうございます!」

宿を出て、マリン通りへ向かった。
皆さんによくしてもらったのでなにかお礼をしようと思い買い物にでた。

何がいいかな。レンさんにもたくさんお世話になったから、何かしたい。
実はマリン通りに美味しいお菓子屋さんがあってそこで買いたいと思っている。

可愛い外観のお店に入るといろんなお菓子が並んでいる。
外まで香る甘い匂いにつられて入ってくる人もいるだろうな。
「いらっしゃいませ♪」
可愛いふんわりした雰囲気の店員さんが迎えてくれた。
「あの、お世話になったお礼にお菓子を贈りたいのですがオススメありますか?」
「お礼ですね!素敵ですね♪それならこのマカロンはどうですか?カラフルだし、いろんな味を楽しめます!」
マカロン!
こっちの世界にもあるんだ!
ピンク、赤、黄色、緑と
カラフルで可愛い。
「これにします!」
「ありがとうございます!」

大きな箱のものは宿の皆さん。
小さな箱のはレンさんとケイさん。
そして自分用に数個包んでもらった。
あとはこれに皆さんに一本ずつ調合した栄養剤をおくろう。
んー、でもレンさんとケイさんにはこれだけでは少ないかな。
そのうち美味しいお料理を、振る舞おう!

素敵な贈り物を購入できて満足だ。
今日も暑くて良い天気だ。
露店でレモネードを買って木陰のベンチに座って飲んだ。
水分補給と休憩はこまめにとらないと前みたいになってしまう。

でも本当に無理はしすぎない方がいいだろう。
旅をする時も気をつけないと。
あとは体力をもう少しつけたいな。
なんか良い方法はないかな。

「モエさん。」
呼ばれた方を見るとケイさんがいた。
「ケイさん!あれ?どうして?」
「商業ギルドに用があって行ってたんですよ。休憩ですか?」
「そうなんですね!はい!そこの露店で飲み物買って。美味しいですよ♪」
「なら、私も飲み物買ってきます!一緒に休憩いいですか?」
「もちろんです!」
ケイさんはアイスコーヒーを買ってベンチに座った。
「うん、美味しいですね!暑い日に冷たい飲み物は癒してくれますね!」
「はい!木陰で涼しいし。」
「そうですね!暑い日は涼む時間も大切ですね!」
「はい!あっ!あの、ケイさん!これお世話になったのでお礼です!受け取ってください!」
ケイさんの分のマカロンと栄養剤を渡した。
「え?そんな、気を遣わず。」
「いえ、とても助かりました。そしてゆっくり休めましたし。」
「そうですか?これはお菓子ですね!美味しそうです!それと栄養剤!仕事の休憩にいただきます!ありがとうございます!」
「いえ、こちらこそありがとうございます!」
「モエさんはいつも元気なのにびっくりしました。でも今後も無理しすぎず、ゆっくり過ごさず時間も作ってくださいね!」
「はい!ありがとうございます!」

少し話してケイさんは宿へ戻った。
私は少しゆっくりとマリン通りを見て周り、宿に戻ることにした。

帰り道の海沿いの道をゆっくりと歩く。
波の音と海風が気持ちいい。
こんなに気持ちいい道をゆっくり歩くのは元の世界ではあまりなかったな。
ビルが並ぶ街並みを歩くことはあっても。
今日はレンさん家にいるのかな?
寄ってみようかな。お礼を渡したいし。

宿を通り過ぎ、レンさんの家の方向へ歩いた。
門を入っていくと庭の方に海を眺める後ろ姿が見えた。
レンさんだ。
静かに海を眺めるレンさん。
レンさんがボーッと海を眺めてるの珍しいな。
何か考え事だろうか?
その眺めているレンさんの目が少し切なそうで、その姿がとても綺麗だった。
レンさんはどんな風に生きてきたのだろう。
ピクっとしてレンさんがこちらを見た。
「モエ。」
「あっ、すみません。声かけようとしてました。」
「あっ、あぁ。悪い。ボーッとしてた。どうした?」
「あの、倒れてお世話になったのでお礼をお渡ししようと思って来ました。」
「いや、気にしなくていい。気をつかうなよ。」
「ありがとうございます!お礼がしたかったんです。ささやかですが。」
そう言って渡した。
「ありがとう。お菓子と栄養剤。嬉しいよ、いただくよ。」
「はい!」
「出かけてたのか?」
「はい、このお礼を買いに。ちゃんと休憩して涼みながらだから大丈夫ですよ!もう帰りですし。」
「そうか。宿もどるのか?」
「はい、お昼ごはん食べなかったので、早めに夜ごはんにしようかと思って。」
「そうか。なら俺も行こうかな。飯はダイニングだろ?」
「はい!一緒にごはん食べましょう!」
「あぁ。」

レンさんはニッコリ微笑んだ。
さっきの切ない感じの顔とは違ういつものレンさんだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

拝啓神様。転生場所間違えたでしょ。転生したら木にめり込んで…てか半身が木になってるんですけど!?あでも意外とスペック高くて何とかなりそうです

熊ごろう
ファンタジー
俺はどうやら事故で死んで、神様の計らいで異世界へと転生したらしい。 そこまではわりと良くある?お話だと思う。 ただ俺が皆と違ったのは……森の中、木にめり込んだ状態で転生していたことだろうか。 しかも必死こいて引っこ抜いて見ればめり込んでいた部分が木の体となっていた。次、神様に出会うことがあったならば髪の毛むしってやろうと思う。 ずっとその場に居るわけにもいかず、森の中をあてもなく彷徨う俺であったが、やがて空腹と渇き、それにたまった疲労で意識を失ってしまい……と、そこでこの木の体が思わぬ力を発揮する。なんと地面から水分や養分を取れる上に生命力すら吸い取る事が出来たのだ。 生命力を吸った体は凄まじい力を発揮した。木を殴れば幹をえぐり取り、走れば凄まじい速度な上に疲れもほとんどない。 これはチートきたのでは!?と浮かれそうになる俺であったが……そこはぐっと押さえ気を引き締める。何せ比較対象が無いからね。 比較対象もそうだけど、とりあえず生活していくためには人里に出なければならないだろう。そう考えた俺はひとまず森を抜け出そうと再び歩を進めるが……。 P.S 最近、右半身にリンゴがなるようになりました。 やったね(´・ω・`) 火、木曜と土日更新でいきたいと思います。

路地裏生活をしていた私ですが、実は騎士様の実の娘でした

上野佐栁
ファンタジー
 主人公がとある漫画の世界に転生してしまう話し。転生した先はまさかの死確定のキャラクター。死を回避するために本当の父親と再会しなければならない。もしできなければ死が待っている。

神に異世界へ転生させられたので……自由に生きていく

霜月 祈叶 (霜月藍)
ファンタジー
小説漫画アニメではお馴染みの神の失敗で死んだ。 だから異世界で自由に生きていこうと決めた鈴村茉莉。 どう足掻いても異世界のせいかテンプレ発生。ゴブリン、オーク……盗賊。 でも目立ちたくない。目指せフリーダムライフ!

漫画オタクの俺は『神と一緒に』転生する

寺印乃力
ファンタジー
漫画オタク、ゲームオタク、ファンタジーオタク。 3つのオタク要素を全て兼ね備えたオタクマンこと箕形 篤。 彼は成人してからは建設企業の優良社員として生活していたが、影ではずっと 漫画やゲームを買い漁っていた。しかし、突如として神に殺されてしまい、、、 転生した。その神と共に。 〜作者より〜 何番煎じでしょうか。異世界転生無双物。50?100? 多分もっとありますね(笑)。かな〜〜りご都合な設定で、甘い小説なので なんでも許せる方向けですね。後、初めての文章なので、文章にミスがあったり 設定に甘さが有るかもしれません。ご了承お願いしますm(_ _)m ギャクやコメディ的要素も混ざっているかも知れません。 作者は思考回路が単純明快すぎるので、お気に入りしてくれたり優しい感想を 頂けるだけでモチベが爆上がりします。しかし、否定的なコメントを されるといじけちゃうのでやめてあげてください。 6/28改定しました。 8/11改定しました。←プロット時の設定のままだという事に気が付いた

称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~

しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」 病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?! 女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。 そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!? そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?! しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。 異世界転生の王道を行く最強無双劇!!! ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!! 小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!

異世界転生した時に心を失くした私は貧民生まれです

ぐるぐる
ファンタジー
前世日本人の私は剣と魔法の世界に転生した。 転生した時に感情を欠落したのか、生まれた時から心が全く動かない。 前世の記憶を頼りに善悪等を判断。 貧民街の狭くて汚くて臭い家……家とはいえないほったて小屋に、生まれた時から住んでいる。 2人の兄と、私と、弟と母。 母親はいつも心ここにあらず、父親は所在不明。 ある日母親が死んで父親のへそくりを発見したことで、兄弟4人引っ越しを決意する。 前世の記憶と知識、魔法を駆使して少しずつでも確実にお金を貯めていく。

辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します

潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる! トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。 領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。 アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。 だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう 完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。 果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!? これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。

公爵家長男はゴミスキルだったので廃嫡後冒険者になる(美味しいモノが狩れるなら文句はない)

音爽(ネソウ)
ファンタジー
記憶持ち転生者は元定食屋の息子。 魔法ありファンタジー異世界に転生した。彼は将軍を父に持つエリートの公爵家の嫡男に生まれかわる。 だが授かった職業スキルが「パンツもぐもぐ」という謎ゴミスキルだった。そんな彼に聖騎士の弟以外家族は冷たい。 見習い騎士にさえなれそうもない長男レオニードは廃嫡後は冒険者として生き抜く決意をする。 「ゴミスキルでも美味しい物を狩れれば満足だ」そんな彼は前世の料理で敵味方の胃袋を掴んで魅了しまくるグルメギャグ。

処理中です...