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第15話 復讐者リベンは復讐の続行を決意する

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「お前はアレックスの下っ端の女、何故お前がここに?」

「いや、さっきからいただろ」

 ロークスの突っ込みにエルミアは笑いながらこう答えた。

「ふふっ、リベン先輩つれないことを言わないでくださいよ。こうして、貴方に恨みがある勇者パーティの真に使えない人間をこうも徹底的に使い物にならないようにしてくれましたですもの。おかげで彼女を始めとする無能者を排除できましたわ。ああ、でもカイステは少し利用価値がまだ残っていましたわ。もう少し相手を選んでほしいですわ」

「なんだとこの女ぁあああああああああああああああ!!」

 リベンはトゲ付きのスパイクで職員を殴った。

「何で俺!?」

「この人さっきから可哀そうにもほどがあるだろ!!ただ、雇えませんと言っただけなのに!!」

 ロークスの突っ込みにエルミアはくすりと笑った。

「ふふっ、その点はご心配なく。この豚女に任せたこちらの部署ですが、今日を持ちまして解散となりましたわ」

 その言葉にその場へ来ていた職員全てが固まった。

 それもそのはず。

 職員の一人はセメントで固めらていたからだ。

「無関係の人にさっきから何やってんだ!このおっさん!!」

「か、解散!?それは一体どういうことですか?」

 職員の一人が思わず声を上げた。

 その言葉にエルミアは眉一つ動かさず、冷徹にこう言った。

「この女が『ブレイブリー・イグニート』の金を横領していたからですわ。権威の越権のみならず、ここまでことをされると、例え貴族と言えども追放せざるえないのよ。それにこの女は私たち新人を当たりが異常まで強く、私も日ごろから鬱憤が溜まっていましたわ。貴方方もそうではなくて?」

「うっ…それは…」

 職員たちは言葉を詰まらせた。

 現に彼女の職員に対する扱いは“最悪”であり、教えてもないことをさも自分が教えたかのように振る舞い、それができなければ、権力を盾に厳しく当たった。

 それを考えたら、特に若い職員は否定できなかった。

 一人はリベンの手によって、セメントで見事な彫刻になった。

「岩斬霊山破!!」

「ぐぼおおおおおおおおおおおお!!すげー技出た!!」

 彫刻にされた職員はリベンをぶん殴った。

「いい加減しろよ!このおっさんは!!」

「ふふっ、何も言えないみたいね。このおば様の人望が知れるという物。私はあなた方を解放してあげたのよ。感謝なさい」

「気にせず続けたよ!!スルースキル検定何級だよ!!」

 彼女は青い髪をかきあがると、くすりと笑った。

「それよりもトンカツ揚がったよ~。ロークスも食べなよ~」

 フラムはそんなことを気にせず、トンカツを作ってくれていた。

「お前がボケるのかよ!!」

「うるせぇええええええええええええええええ!!今話してんだろうがああああああああああ!!」

 リベンはロークスの頭を思い切り拳骨を食らわせた。

「何でオレェ!?」

「そうよ。坊やのせいでみんな集中できないじゃないの」

「てめぇもかよ!!」

「ここの組織が解散で職員全員クビになるって、冷酷な女ボスが言うところなのよ。邪魔しないでくれる」

「今さらっと大事なことを言いやがったよ!!つーか、ここの人たち全員クビかよ!!」

 その言葉にリベンが反応した。

「職権乱用!!」

「ぐぼおおおおおおおおおおおお」

 リベンは絶命したスールの魂をぶん殴った。

「また人をゴミカスに捨てやがって!!仕事を失ったその人たちはどうなる!?」

「ぎゃああああああああああ!!天国へ登らせろ!!」

「お前は地獄行きじゃあああああああ!!」

 そう言いながら、リベンはキャメルクラッチをスールに食らわせた。

「その人もう死んでんだろうが!!いい加減にしろや!!」
 
 ロークスは思わず突っ込みを入れた。

 その一方でエルミアの一言に職員はわなわなと震えた。

「そ、そんな…明日からの生活はどうすれば…」

 職員たちの言葉にエルミアはため息をついた。

「職業安定所に行きなさい。何かここより紹介してくれると思うから」

「そ、そんな…」

 職員たちはその発言に思わず言葉を失った。

「待て!エルミア!!」

「あら、お名前を覚えて頂き光栄ですわ。リベン先輩」

 余裕をもった態度でそう言うエルミアに対し、リベンはぎろりと睨みつけてこういった。

「その職業安定所に医者か帝王ってあるのか?」

「あるわけないでしょ。何言ってんの、このおっさん」

 リベンの発言にルミエは冷ややかに突っ込んだ。

「そうねぇ…知り合いの話によると、医者はないけど、帝王は二件ほどあったらしいわよ」

「えっ、嘘。あるの!?しかも、そっちが!?」

 その発言にルミエは驚いた。

「ええ、確かミジンコを愛する会の帝王と世紀末の帝王の二つだったわ」

(何それ…逆に気になるわ…)

 ルミエは彼女発言に若干戦慄した。

 だが、リベンは納得いかなかった模様だ。

「ふざけんな!!」

「あら、お気に召さなかったかしらか?」

 エルミアは意外そうに言った。

「おれはゾウリムシか鬼の帝王以外認めねぇ!!」

「わけがわからねぇ!!」

 リベンの言葉にロークスが突っ込み入れた。

「残念だけど、ゾウリムシの帝王はタオルソムリエ検定二級が必要よ。後、鬼の帝王は今募集していないわ」

「何だよ、タオルソムリエ検定って!?それいるのかよ!!」

「ふふっ、そんなことを朗報よ。リベン・アヴェンジヤン。アレックス様からのお言葉ですわ」

「また、スルーしやがったな!!この女!!」

 ロークスの言葉を無視し、エルミアは衝撃的な言葉を述べた。

「『一年前は本当にすまなかった。お前を追い出したのは、コザを始めとする諫言に耐え切れなかったからだ。頼む、戻ってきてくれ。魔王を倒すためにお前の力が必要なんだ』とのことです。それであなたへの謝罪の一環として、このビチの追放を決定したのですわ。彼女には先ほども言いましたが、問題行動が多くありましたので、追放するには容易いことでしたわ。さぁどうでしょう?」

 その言葉にリベンはこう答えた。

「ほう?言い方が違うじゃないのか?『頼む、殺さないでくれ!!復讐をおれに向けないでくれ。こいつらの命はやるから見逃してくれ!!ついでにおれの都合がいい駒になれ』…そうじゃねぇのか?駒使いさんよ」

「急に真面目になったよ、このおっさん」

「今は真面目なシーンじゃああああああああああああ!!邪魔すんなや!!」

「ええええええええええ!?」

 スパンっ!!

 リベンは思い切りハリセンでロークスをはたいた。

「今のはあんたが悪い」

「うん、ロークス。人が真面目に話している間は邪魔しちゃダメだよ」

 女子二人はロークスにそう注意した。

「ふんっ、相変わらず同情の余地がないやつだ。アレックスに伝えろ『おれは貴様ら全員を許さん。貴様ら全員に復讐を終えるまでその恐怖に怯え続けろ。戻ってこい、許してくれなどと言われようが、許す気がない』とな」

「ふふっ、そうでなくて面白くないですわ。こちらを見なさい」

 そう言って、彼女は一枚の紙を渡した。

「これは…?」

「ボウ殿からの挑戦状よ。貴方も大分恨みがあるよね?」

 その言葉にリベンは息をのんでこう答えた。

「ふっ、コザ、カイステ、ビチ、そしてスールと潰してきたが、ここにきて大物とはな…いいだろう、首を洗って待っていろと伝えてこい」

「そうでなくて」

 彼女はクスリと笑うと、その場から立ち去ろうとした。

「ところでお前どうやって帰るの?」

「私は貴方から譲って頂いたジャン=コネール=ゼネラル=シャカシャカ=ポテト=コンソメ=アジ=テイカ=ドナル=ポコポコ=コンスタンティノープル=リメイク=ゴリラゴリア36号乗ってきましたわ」

「何それ?」

 リベンの言葉にエルミアは指を差した。

 すると、ポップコーン制作器に改造されたゴリラみたいな怪物がいた。

 よく見たら、子供たちに人気だ。

「めっちゃ子供に人気だ!!あの怪物一体何なんだよ!!」

「「ウホッ(あいつは…)!ウホホホホホホホホ(裏切者)!」」

 他のゴリラみたいな怪物は一目見るや、殺しに行こうとした。

 だが、その前に窓からエルミアがスタイリッシュにゴリラみたいな怪物の上に乗ってしまった。

「ぱくっ、それでは皆様早く新しい職が見つかるといいですわね。むぐむぐ」

「ウホッ(いいから、とっとと降りろ)!!」

 彼女はポップコーンを食べながら、ゴリラみたいな怪物に乗って帰って行った。

「ボウ…ここに来て大物とはな…」

 リベンはそう言うと、唖然とする職員たちを尻目にその場から去った。
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