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VENTIQUATTRO
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「いい朝だ…」
リスタリア王国の王太子であるジェラルドは王宮内の自室の窓のカーテンを片手で払い、まぶしそうに目を細めた。
窓から見える空は雲一つ無く広がり、その下にはよく手入れされた庭園とその先に王都の街並みが見える。
その絶妙にコントラストされた風景はため息が出るほど美しい。
学園が長期休暇になってから毎日この景色を眺めているはずなのだが、今朝はまた違う煌きを見せている。
(こんなにも景色が美しく見えるのは、私の愛しい者のおかげだろうか。ああ…愛おしい私のアンジェリカ…)
朝っぱらからジェラルドが何故こんなにも上機嫌なのかと言えば勿論理由がある。
今日はアンジェリカとお忍びで王都の街へ出る約束をしているのだ。
そう、デートである。
余談だが、正当なジェラルドの婚約者であるエリザベスをこうしてデートに連れ出した事など一度もない。
夜会などのレセプションなどでどうしてもエリザベスを同伴しなければならない場合は嫌々なのがモロバレの仏頂面でエスコートをし、会場に入るなり役目は果たしたと言わんばかりにそそくさとエリザベスから離れ知人の元へ行ってしまう。そして放置されたエリザベスは所作無く壁の花になるのがいつもの事であった。
そんな婚約者は蔑ろにしても、あいj…恋人のアンジェリカにはわかりやすくデレる。
ジェラルドはまごう事なきクズだった。
(きっと私の為に美しく装ってくれているのだろうな。まあ彼女は着飾らなくとも素のままで可愛く愛らしいが。 しかし、ああ、楽しみすぎる!)
はやる気持ちを抑えきれずに顔に自然と笑みが浮かぶ。
きっとエドナーシュがこれをみたら『やだ....ニヤケ顔が最高に気持ちわるいわぁ....』っと言うに違いない。
ついでにアイオスなら『殿下エロじじいみたいだな』と言うだろう。
さて、お忍びとは言うが、王太子と言う立場上街には気軽に出て行けないのが難点だ。
ちゃらららっちゃら~♪
ジェラルドは(余計な事を)思いついた!
護衛は目立たたないように町人に変装させて(そんなに離れていては有事の際に間に合わないんじゃ?と思われる目視できるギリギリの距離についてこさせ)自慢のさらりとした金髪を黒髪のウイッグで隠し、メガネをかけて裕福な商人の息子に見えるような服装で変装をした。
(ふん…これでいいだろう。私の美しさを隠さねばならないのは本当は嫌なんだがな)
どこまでも自分ダイスキーなナルシス王子である。
そうして待ち合わせ場所にしたのは街の中央から外れた閑静な場所にあるカフェだった。
スイーツがとても美味しく、また店内もおしゃれで女性に大変な人気と噂のその店は猫の尻尾と蔦が円を描いた看板の、お菓子のようなかわいい建物だった。
ドアを開けるとカランとドア上部に付いたベルが鳴り、中からは甘い匂いと心がほっと落ち着くような紅茶のいい香りが漂ってくる。
「いらっしゃいませ!お一人様ですか?」
「……いや、二名だ。その…ピンクブロンドの愛らしい女性は来ているだろうか?待ち合わせをしているのだが」
白シャツにクロスタイと黒のギャルソンエプロンを身につけたシュッとしたイケメンの店員は右手を顎に当てて小首を傾げ、少し考える素振りをすると「いえ、そのようなお客様はお見かけしてません」と答えた。
(そうか…… 早かったか)
「分かった。それじゃ個室に案内してくれるか」
「かしこまりました。こちらでございます」
店員について2階へ案内されていくジェラルド。
彼はまだ知らない。
焦がれてやまない“ピンクブロンドの愛らしい女性”はジェラルドと同じように、この世界では割と一般的な髪色であるブラウンのウィッグをつけ、周囲から目立たぬよう変装してすでに店内にいる事を。
(ジェラルドったらおっそいわね…あたしを待たせるなんてちょっと調k…愛が足らないんじゃないかしら)
結局、彼らがお互いがすれ違っている事に気づき、漸く合流出来たのはそれから1時間後のことだった。
「アンジェリカどうか機嫌直してもらえないか?」
眉をハの字に下げ、困ったように懇願するジェラルドの前には、可愛らしい頬をぷうっと膨らませ、潤んだ目を上目遣いにして無言で睨むアンジェリカが座っていた。
「………」
「お願いだよアンジェリカ…」
「………」
「そ、そうだ!なにか欲しいものはないか!? 何でも言うことを聞いてやろう!」
「…ほんと?」
「…っつ。ああ!」
「…本当に何でも聞いてくれる?」
「ああ勿論さ!」
心の中でニヤリと嗤ったアンジェリカは満面の笑みを浮かべた。
(利用できるものは利用しなくちゃね。ふふ…楽しみだわぁ)
「嬉しい!それじゃあお願いがあるの…聞いてくれる?あのね…」
リスタリア王国の王太子であるジェラルドは王宮内の自室の窓のカーテンを片手で払い、まぶしそうに目を細めた。
窓から見える空は雲一つ無く広がり、その下にはよく手入れされた庭園とその先に王都の街並みが見える。
その絶妙にコントラストされた風景はため息が出るほど美しい。
学園が長期休暇になってから毎日この景色を眺めているはずなのだが、今朝はまた違う煌きを見せている。
(こんなにも景色が美しく見えるのは、私の愛しい者のおかげだろうか。ああ…愛おしい私のアンジェリカ…)
朝っぱらからジェラルドが何故こんなにも上機嫌なのかと言えば勿論理由がある。
今日はアンジェリカとお忍びで王都の街へ出る約束をしているのだ。
そう、デートである。
余談だが、正当なジェラルドの婚約者であるエリザベスをこうしてデートに連れ出した事など一度もない。
夜会などのレセプションなどでどうしてもエリザベスを同伴しなければならない場合は嫌々なのがモロバレの仏頂面でエスコートをし、会場に入るなり役目は果たしたと言わんばかりにそそくさとエリザベスから離れ知人の元へ行ってしまう。そして放置されたエリザベスは所作無く壁の花になるのがいつもの事であった。
そんな婚約者は蔑ろにしても、あいj…恋人のアンジェリカにはわかりやすくデレる。
ジェラルドはまごう事なきクズだった。
(きっと私の為に美しく装ってくれているのだろうな。まあ彼女は着飾らなくとも素のままで可愛く愛らしいが。 しかし、ああ、楽しみすぎる!)
はやる気持ちを抑えきれずに顔に自然と笑みが浮かぶ。
きっとエドナーシュがこれをみたら『やだ....ニヤケ顔が最高に気持ちわるいわぁ....』っと言うに違いない。
ついでにアイオスなら『殿下エロじじいみたいだな』と言うだろう。
さて、お忍びとは言うが、王太子と言う立場上街には気軽に出て行けないのが難点だ。
ちゃらららっちゃら~♪
ジェラルドは(余計な事を)思いついた!
護衛は目立たたないように町人に変装させて(そんなに離れていては有事の際に間に合わないんじゃ?と思われる目視できるギリギリの距離についてこさせ)自慢のさらりとした金髪を黒髪のウイッグで隠し、メガネをかけて裕福な商人の息子に見えるような服装で変装をした。
(ふん…これでいいだろう。私の美しさを隠さねばならないのは本当は嫌なんだがな)
どこまでも自分ダイスキーなナルシス王子である。
そうして待ち合わせ場所にしたのは街の中央から外れた閑静な場所にあるカフェだった。
スイーツがとても美味しく、また店内もおしゃれで女性に大変な人気と噂のその店は猫の尻尾と蔦が円を描いた看板の、お菓子のようなかわいい建物だった。
ドアを開けるとカランとドア上部に付いたベルが鳴り、中からは甘い匂いと心がほっと落ち着くような紅茶のいい香りが漂ってくる。
「いらっしゃいませ!お一人様ですか?」
「……いや、二名だ。その…ピンクブロンドの愛らしい女性は来ているだろうか?待ち合わせをしているのだが」
白シャツにクロスタイと黒のギャルソンエプロンを身につけたシュッとしたイケメンの店員は右手を顎に当てて小首を傾げ、少し考える素振りをすると「いえ、そのようなお客様はお見かけしてません」と答えた。
(そうか…… 早かったか)
「分かった。それじゃ個室に案内してくれるか」
「かしこまりました。こちらでございます」
店員について2階へ案内されていくジェラルド。
彼はまだ知らない。
焦がれてやまない“ピンクブロンドの愛らしい女性”はジェラルドと同じように、この世界では割と一般的な髪色であるブラウンのウィッグをつけ、周囲から目立たぬよう変装してすでに店内にいる事を。
(ジェラルドったらおっそいわね…あたしを待たせるなんてちょっと調k…愛が足らないんじゃないかしら)
結局、彼らがお互いがすれ違っている事に気づき、漸く合流出来たのはそれから1時間後のことだった。
「アンジェリカどうか機嫌直してもらえないか?」
眉をハの字に下げ、困ったように懇願するジェラルドの前には、可愛らしい頬をぷうっと膨らませ、潤んだ目を上目遣いにして無言で睨むアンジェリカが座っていた。
「………」
「お願いだよアンジェリカ…」
「………」
「そ、そうだ!なにか欲しいものはないか!? 何でも言うことを聞いてやろう!」
「…ほんと?」
「…っつ。ああ!」
「…本当に何でも聞いてくれる?」
「ああ勿論さ!」
心の中でニヤリと嗤ったアンジェリカは満面の笑みを浮かべた。
(利用できるものは利用しなくちゃね。ふふ…楽しみだわぁ)
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