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QUINDICI
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キリのいい所で切り、1話が短くなったので2話まとめて投稿しました。
―――――――――――――――――――――――――――――
ヒロインちゃんが宣言してお茶会が始まったわ。 至って普通のお茶会に見えるけど、何か色々おかしいのよね。 まず、ワタシとリズ以外の招待客。 オデッセ子爵とウッディ男爵のご令嬢だけど、始まってからずっと下を向いているわ。 それと他にも気になる事が....
「お、お待たせいたしました‥‥ お茶をお持ちしました‥‥っ」
「ありがとう~っ。 じゃあ皆さんに入れてあげてね。」
こう言う場に慣れていないのか、緊張しているのか(新人の使用人が令嬢付で入寮するとは考えづらいけど)ヒロインちゃんの侍女のお茶を持つ手が震えているわ。 震えすぎて手元が狂ったのかテーブルに置いたときかなり大きな音がした。
―――――ガシャン!
「も、申訳ありません!申訳ありません!!」
粗相をした侍女さんが顔を真っ青にして、今度は体中が可哀そうなぐらいぶるぶる震えているわ。 ナニコレ異常すぎじゃない?
ヒロインちゃんは侍女さんに近寄ると、目を細めてにっこり笑うと「いいの、誰だってミスくらいするもの。 それよりの火傷してない?大丈夫?」と慰めていたけど、何でかしら....とっても背筋が寒いわ....。
そんなハプニングもあったけど、お茶会は始終ヒロインちゃんが一方的に話すのを子爵令嬢と男爵令嬢の二人が肯定して盛り上げて――― といった感じに進行されていった。 ワタシにも気を使って話しかけてくれるのはいい印象だったわね。 ただし、礼儀がまるでなってないのを除いてだけどっ。
そしてリズがお花を摘みに退席した後、事件は起こった。
リズが席を立ってしばらくした後、ヒロインちゃんがお茶の入ったカップを手に持ち、ワタシの方に歩いてきた。 大振りなジェスチャーで話すヒロインちゃんになんだか嫌な予感がしたわ。 そして嫌な予感て言うのは大抵当たるのよ。
丁度戻ってきたリズにヒロインちゃんがぶつかって‥‥ 手に持っていたお茶を盛大にぶちまけながらしりもちをつき、お茶がヒロインちゃんとリズのドレスにびっしゃりとかかり、ドレスが朱色に染まった。
「きゃぁあ! 痛い!」
「大変‥‥! アンジェリカ様 お怪我はありません?」
叫ぶヒロインちゃんにリズが心配そうに声をかけると、きっ!とリズを睨みつけた。
「ひどい! ひどいですエリザベス様! うう‥‥!」
「だ、大丈夫ですか? アンジェリカ様。」
「あちらに参りましょう、もうお茶会は続けられませんのでこれで終了ですわ。」
なんとなく棒読みっぽい言い方でヒロインちゃんをかばった2人の令嬢により、お茶会は終了した。
はぁ~、ナニアレ。 三文芝居を見せられてるような、なんとも言えない徒労感に見舞われながら、リズのドレスについた染みの応急処置をして、落ち込んでしまったリズを連れてその場を後にした。
*********************
「エリザベス!貴様一体どういうつもりだ!」
翌日ジェラルドがSクラスの教室にドカドカと入り込んできたかと思ったら、いきなりリズの座る席にやってきて、ドン!と机を叩きながらリズに詰め寄ってきた。
「貴様‥‥ 私の大切なアンジェに贈ったドレスにわざと茶をかけて、アンジェを泣かせたそうじゃないか! 一体どういうつもりだって聞いているんだ!」
「お待ちください! 殿下誤解ですわ! あれはわざとでは‥‥」
そうよね、リズは悪くない。
「うるさい!言い訳するな! いいな、きっちりとアンジェに謝罪しろ! でなければ私は貴様を許さないからな!」
言いたい事だけ言って、ジェラルドは教室からでていったわ。
「大丈夫よリズ、リズが悪くないのは一緒にいたワタシが一番わかってる。 殿下の事は心配しないで。 ワタシが後でちゃんと言っておくわ。」
「エド‥‥」
なんとなく不穏な空気が色濃くなってきた周りの状況を、ワタシはこの時、本当の意味ではまだ理解していなかった。
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ヒロインちゃんが宣言してお茶会が始まったわ。 至って普通のお茶会に見えるけど、何か色々おかしいのよね。 まず、ワタシとリズ以外の招待客。 オデッセ子爵とウッディ男爵のご令嬢だけど、始まってからずっと下を向いているわ。 それと他にも気になる事が....
「お、お待たせいたしました‥‥ お茶をお持ちしました‥‥っ」
「ありがとう~っ。 じゃあ皆さんに入れてあげてね。」
こう言う場に慣れていないのか、緊張しているのか(新人の使用人が令嬢付で入寮するとは考えづらいけど)ヒロインちゃんの侍女のお茶を持つ手が震えているわ。 震えすぎて手元が狂ったのかテーブルに置いたときかなり大きな音がした。
―――――ガシャン!
「も、申訳ありません!申訳ありません!!」
粗相をした侍女さんが顔を真っ青にして、今度は体中が可哀そうなぐらいぶるぶる震えているわ。 ナニコレ異常すぎじゃない?
ヒロインちゃんは侍女さんに近寄ると、目を細めてにっこり笑うと「いいの、誰だってミスくらいするもの。 それよりの火傷してない?大丈夫?」と慰めていたけど、何でかしら....とっても背筋が寒いわ....。
そんなハプニングもあったけど、お茶会は始終ヒロインちゃんが一方的に話すのを子爵令嬢と男爵令嬢の二人が肯定して盛り上げて――― といった感じに進行されていった。 ワタシにも気を使って話しかけてくれるのはいい印象だったわね。 ただし、礼儀がまるでなってないのを除いてだけどっ。
そしてリズがお花を摘みに退席した後、事件は起こった。
リズが席を立ってしばらくした後、ヒロインちゃんがお茶の入ったカップを手に持ち、ワタシの方に歩いてきた。 大振りなジェスチャーで話すヒロインちゃんになんだか嫌な予感がしたわ。 そして嫌な予感て言うのは大抵当たるのよ。
丁度戻ってきたリズにヒロインちゃんがぶつかって‥‥ 手に持っていたお茶を盛大にぶちまけながらしりもちをつき、お茶がヒロインちゃんとリズのドレスにびっしゃりとかかり、ドレスが朱色に染まった。
「きゃぁあ! 痛い!」
「大変‥‥! アンジェリカ様 お怪我はありません?」
叫ぶヒロインちゃんにリズが心配そうに声をかけると、きっ!とリズを睨みつけた。
「ひどい! ひどいですエリザベス様! うう‥‥!」
「だ、大丈夫ですか? アンジェリカ様。」
「あちらに参りましょう、もうお茶会は続けられませんのでこれで終了ですわ。」
なんとなく棒読みっぽい言い方でヒロインちゃんをかばった2人の令嬢により、お茶会は終了した。
はぁ~、ナニアレ。 三文芝居を見せられてるような、なんとも言えない徒労感に見舞われながら、リズのドレスについた染みの応急処置をして、落ち込んでしまったリズを連れてその場を後にした。
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「エリザベス!貴様一体どういうつもりだ!」
翌日ジェラルドがSクラスの教室にドカドカと入り込んできたかと思ったら、いきなりリズの座る席にやってきて、ドン!と机を叩きながらリズに詰め寄ってきた。
「貴様‥‥ 私の大切なアンジェに贈ったドレスにわざと茶をかけて、アンジェを泣かせたそうじゃないか! 一体どういうつもりだって聞いているんだ!」
「お待ちください! 殿下誤解ですわ! あれはわざとでは‥‥」
そうよね、リズは悪くない。
「うるさい!言い訳するな! いいな、きっちりとアンジェに謝罪しろ! でなければ私は貴様を許さないからな!」
言いたい事だけ言って、ジェラルドは教室からでていったわ。
「大丈夫よリズ、リズが悪くないのは一緒にいたワタシが一番わかってる。 殿下の事は心配しないで。 ワタシが後でちゃんと言っておくわ。」
「エド‥‥」
なんとなく不穏な空気が色濃くなってきた周りの状況を、ワタシはこの時、本当の意味ではまだ理解していなかった。
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