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SETTE
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リズの義母妹であるアリサと衝撃的な第一接近遭遇を果たしたワタシは、ふと乙女ゲームの『星君』の内容を思い出そうとがんばってみた。
キッカケは「リズの異母妹なんていたかしら?」と言う疑問からなんだけど、 なにしろ転生を自覚してから10年以上経ってるわけで、大筋に関してはなんとかなるけど、細かいイベントとか設定とか忘れてる事も多い事に気が付いたわ。
うーん… うーん… うーん…?
あ、そうじゃない! やだ、思い出したわ! アイオスの婚約者じゃなーい。 アイオスルートは興味ないからコンプの為に1回やったっきりだったのよね。 ひどいって? だってワタシエド様以外興味なかったし。
それにしても婚約者かぁ… 『星君』のエド様には婚約者がいなかったけど、今世のワタシはどうなのかしらね。 前世はゲイバーで働くオネエだったけど、今世でエド様になったワタシは意識がこのキャラに引きずられているのか特に男が好きって事もないし。 なんかね、不思議なカンジ。
さて、思い出してすっきりしたし、アリサの(ゲームでは)婚約者になるはずのアイオスの様子でも見に行こうかしらね。
手土産に手作りのスイーツを持っていく。 今日のスイーツは『レーズンサンド』と『プレーンスコーン』『オレンジピール入りスコーン』よぉ。 なんでレーズンサンドなのかって? 急に小〇軒のレイズン・ウィッチを思い出したからよ。 さっくりとしたクッキーに甘さ控えめのフレッシュクリームと、ラム酒に漬け込んでおいたレーズンが‥‥ はぁ~もうこれ絶対おいしい。
・・・・・・・・・・
「あいしゃ ふぉん あふゅれいお? むーん ひいたこひょえーな。」
アイオスの家、ローズブレイド侯爵家にお邪魔したワタシは、サロンで前世のアールグレイの様なベルガモットの香りの紅茶をいただいている。 ワタシこれが好きなのよね。
レーズンサンドをいたくお気に召したらしいアイオスが口いっぱいにほおばりながらワタシの「アリサって知ってる?」に答えてくれた。 まあさ、いいんだけどほんと行儀悪いわねこの子…。
それにしても、アイオスはまだアリサと出会ってないのね。
「アシュレイドって事はエリザベス嬢の血縁者だろ? エドがしらねえの? それにしてもコレうまいな。」
「知ってるわよ。 っていうかこの間会ったばかりだし。 美味しいのは当然よ、ワタシが作った自信作ですもの。 でもあんまり食べ過ぎると太るわよ。」
「知ってるなら俺に聞かなくてもいいんじゃね? 俺は運動してるから太らねえよ。」
「お兄様は脳筋ですものね。 身体を動かすことしか取り柄がないのですわ。 ごきげんようエドナーシュ様。」
「ごきげんようシャーロット嬢。 まあねぇ、アイオスが脳筋なのは間違いないけども… 」
「シャルにエド… おまえら何気にひどいな?」
このアイオスを兄と呼び、ディスってるのはアイオスの妹のシャーロット。 アイオスと同じ鮮やかな赤の髪を縦ロールにしていて、さすが攻略対象の妹といった感じの美少女よ。
「あら、それじゃあ今度のプレイスメントテストは大丈夫なんでしょうね?」
「ん? なんだっけ? それ」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
思わずワタシとシャーロットは半眼になったわ…。 なぜプレイスメントテストも知らんのだアンタは。
「はー… 馬鹿だ脳筋だと思っていましたけど、お兄様本当にどうしようもない馬鹿ですわね。」
「な… なんだよ! え、何? ほんとに何?!」
「来春にワタシ達王立学園に入学するでしょ?」
「おう」
「入学時に能力別、学力別にクラスを振り分ける為のテストよ。」
「・・・・・・・・・・・・・は?」
「は?じゃないわよ。 試験勉強しないとアンタ底辺クラスに問答無用で入れられるわよ。」
「え… エドはやってるのかよ…?」
「当り前じゃない。 あと半年もないのよ。 ワタシは家庭教師から高得点のお墨付きを頂いてるわよ。」
まあ勉強はほどほどしかしなくても、前世の知識とエド様のチートボディで常に上位を狙えるくらい… ぶっちゃけると飛び級していきなり最終学年に行けるくらいの学力はたぶんあるのよね。
すると青い顔したアイオスが上目遣いでワタシを見上げてから、意を決したのかふーーっと息を吐いてから「エド… いや、エドナーシュ様」といきなり下手にでてきた。
「頼む!」
「嫌よ」
「うぉい! まだ何も言ってねえ!」
「分かるわよ。 勉強みてくれって言うんでしょ?」
「いや、ちょっと違う。 試験内容を教えてくれ。 できれば答えも。 むしろ俺の代わりに試験受けてくれ。」
いやぁーーー! アイオス斜め上すぎーーーっ!
「エドナーシュ様… お兄様はもう放置でいいですわ。 無理に今勉強しても入学してからついていけなくなりそうですし、ありのままのお兄様で試験に挑んだ方がきっと先々幸せになれますわ。」
「シャルはもうちょっと兄に優しくしろよ!」
「あら、優しいではありませんか。 無理をせず自然体でいた方がいいと申しておりますのよ?」
「俺は馬鹿にされたくねえ!」
アイオスそれは… 無理ね。 アンタおバカなんだから…。
※次回辺りから乙女ゲームのメインストーリーに入りそうです。
キッカケは「リズの異母妹なんていたかしら?」と言う疑問からなんだけど、 なにしろ転生を自覚してから10年以上経ってるわけで、大筋に関してはなんとかなるけど、細かいイベントとか設定とか忘れてる事も多い事に気が付いたわ。
うーん… うーん… うーん…?
あ、そうじゃない! やだ、思い出したわ! アイオスの婚約者じゃなーい。 アイオスルートは興味ないからコンプの為に1回やったっきりだったのよね。 ひどいって? だってワタシエド様以外興味なかったし。
それにしても婚約者かぁ… 『星君』のエド様には婚約者がいなかったけど、今世のワタシはどうなのかしらね。 前世はゲイバーで働くオネエだったけど、今世でエド様になったワタシは意識がこのキャラに引きずられているのか特に男が好きって事もないし。 なんかね、不思議なカンジ。
さて、思い出してすっきりしたし、アリサの(ゲームでは)婚約者になるはずのアイオスの様子でも見に行こうかしらね。
手土産に手作りのスイーツを持っていく。 今日のスイーツは『レーズンサンド』と『プレーンスコーン』『オレンジピール入りスコーン』よぉ。 なんでレーズンサンドなのかって? 急に小〇軒のレイズン・ウィッチを思い出したからよ。 さっくりとしたクッキーに甘さ控えめのフレッシュクリームと、ラム酒に漬け込んでおいたレーズンが‥‥ はぁ~もうこれ絶対おいしい。
・・・・・・・・・・
「あいしゃ ふぉん あふゅれいお? むーん ひいたこひょえーな。」
アイオスの家、ローズブレイド侯爵家にお邪魔したワタシは、サロンで前世のアールグレイの様なベルガモットの香りの紅茶をいただいている。 ワタシこれが好きなのよね。
レーズンサンドをいたくお気に召したらしいアイオスが口いっぱいにほおばりながらワタシの「アリサって知ってる?」に答えてくれた。 まあさ、いいんだけどほんと行儀悪いわねこの子…。
それにしても、アイオスはまだアリサと出会ってないのね。
「アシュレイドって事はエリザベス嬢の血縁者だろ? エドがしらねえの? それにしてもコレうまいな。」
「知ってるわよ。 っていうかこの間会ったばかりだし。 美味しいのは当然よ、ワタシが作った自信作ですもの。 でもあんまり食べ過ぎると太るわよ。」
「知ってるなら俺に聞かなくてもいいんじゃね? 俺は運動してるから太らねえよ。」
「お兄様は脳筋ですものね。 身体を動かすことしか取り柄がないのですわ。 ごきげんようエドナーシュ様。」
「ごきげんようシャーロット嬢。 まあねぇ、アイオスが脳筋なのは間違いないけども… 」
「シャルにエド… おまえら何気にひどいな?」
このアイオスを兄と呼び、ディスってるのはアイオスの妹のシャーロット。 アイオスと同じ鮮やかな赤の髪を縦ロールにしていて、さすが攻略対象の妹といった感じの美少女よ。
「あら、それじゃあ今度のプレイスメントテストは大丈夫なんでしょうね?」
「ん? なんだっけ? それ」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
思わずワタシとシャーロットは半眼になったわ…。 なぜプレイスメントテストも知らんのだアンタは。
「はー… 馬鹿だ脳筋だと思っていましたけど、お兄様本当にどうしようもない馬鹿ですわね。」
「な… なんだよ! え、何? ほんとに何?!」
「来春にワタシ達王立学園に入学するでしょ?」
「おう」
「入学時に能力別、学力別にクラスを振り分ける為のテストよ。」
「・・・・・・・・・・・・・は?」
「は?じゃないわよ。 試験勉強しないとアンタ底辺クラスに問答無用で入れられるわよ。」
「え… エドはやってるのかよ…?」
「当り前じゃない。 あと半年もないのよ。 ワタシは家庭教師から高得点のお墨付きを頂いてるわよ。」
まあ勉強はほどほどしかしなくても、前世の知識とエド様のチートボディで常に上位を狙えるくらい… ぶっちゃけると飛び級していきなり最終学年に行けるくらいの学力はたぶんあるのよね。
すると青い顔したアイオスが上目遣いでワタシを見上げてから、意を決したのかふーーっと息を吐いてから「エド… いや、エドナーシュ様」といきなり下手にでてきた。
「頼む!」
「嫌よ」
「うぉい! まだ何も言ってねえ!」
「分かるわよ。 勉強みてくれって言うんでしょ?」
「いや、ちょっと違う。 試験内容を教えてくれ。 できれば答えも。 むしろ俺の代わりに試験受けてくれ。」
いやぁーーー! アイオス斜め上すぎーーーっ!
「エドナーシュ様… お兄様はもう放置でいいですわ。 無理に今勉強しても入学してからついていけなくなりそうですし、ありのままのお兄様で試験に挑んだ方がきっと先々幸せになれますわ。」
「シャルはもうちょっと兄に優しくしろよ!」
「あら、優しいではありませんか。 無理をせず自然体でいた方がいいと申しておりますのよ?」
「俺は馬鹿にされたくねえ!」
アイオスそれは… 無理ね。 アンタおバカなんだから…。
※次回辺りから乙女ゲームのメインストーリーに入りそうです。
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