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182話.魔王討伐!!

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 私と画家の旦那は、シズクを救出する為に裏庭にある転送の魔道具を使い魔王が乗っ取りを行なった城のある島へと移動した。

 島にある転送の魔道具のある小屋は無事だった。
 小屋内鍵を開け扉を開けて私達二人は小屋の外へと飛び出した。

 飛び出した直後に、私が見た事のないモンスターに強襲を受けた。
 ソレに気づき画家の旦那が、モンスターの攻撃にカウンターを合わせモンスターを討伐した。

「へぇ……
 やるようになったじゃないか!!」と、私は画家の旦那の事を再評価した。

 ひとまず、二人パーティを組み作戦を提案した。

「まず、この島は魔王とやらに占領されている。
 それと私が知らないモンスターが歩き回ってる。
 なので、この島をまず浄化したい」と、私は提案した。

「方法はあるのか?  商人の旦那」

「方法はある。
 この島にモンスターを寄せ付けない為に、島の海岸沿いの四箇所に聖なる女神像を設置している。
 四箇所の女神像に魔石を設置して私が[聖域]を発動すれば、この範囲にいるモンスターは大幅に弱体化もしくは浄化される」

「魔石はナニを使えば良い?」

「中級クラスの魔石なら二日ほど続くので問題ないが……初級の魔石だと切れるのが早すぎるかな。
 永続して使いたいなら、ラッキーインセクトの魔石を使うのが理想だろうな」

「なぁ……
 ラッキーインセクトの魔石が三つあるから魔石を一つ貸してくれないか?」

「あー。建築費に足しとくよ」と、私が答えたら。
 ラッキーインセクトの魔石を私に一つ投げて渡された。

「画家の旦那は右回り、私は左周りで魔石の設置をする。
 得体のしれないモンスターなので、極力、戦闘は回避してくれ。
 魔石の設置が終わったら通信機で連絡して下さい」

「オーケー!!」

 私は[スピードアップ]の魔法をパーティ全体にかけた。

「それじゃ、作戦開始だ!!」

 お互いに作戦開始の合図とともに、ダッシュで海岸沿いを突き進んでいく。
 
 道中モンスターに出くわしたが……
 もとより戦闘は回避するつもりなのでモンスター無視して振り切った。

 一個目の女神像を見つけた。
 魔石を嵌め込み、次の女神像へ移動を再開した。

 何度かモンスターに遭遇したが、適当に討伐して【アイテムボックス】に入れて、すぐさま女神像の探索に戻った。
 二個目の女神像を見つけた時、画家の旦那から通信が入った。

「二つ目の女神像に魔石の設置完了した」

 私も通信に返答した。

「私も設置完了する。
 すぐ[聖域]を張るから。
 さっき移動を開始した小屋にもう一度戻ってきてくれ」と、答えた。
「了解」と、画家の旦那から返事が返ってきて通信が切れた。
 私も二個目の女神増に魔石を設置して、[聖域]の魔法を発動させた。
[聖域]の魔法が発動し、島にいたモンスター達は浄化され消え去っていった。

 一度、集合場所に戻ろう……

 集合場所には、画家の旦那が既に待っていた。

「遅れてすまない。
 待たせたな……」

 画家の旦那が、会った頃よりレベルアップしているようだ。
 私より早く集合場所に着いている事から彼の成長は容易に想像できた。

「いや、商人の旦那は一仕事してきてるんだ。
 当然だろ!!」

「そ、そうか。
 それじゃ、気を取り直して行こうか。
 この場所から真っ直ぐ、島の中央に進むと城の入り口がある。
 [聖域]がある以上、無人の城と言っていいくらいに魔物はいなくなってるはずさ」

「つまり、堂々と正面突破ってことかい?」と、画家の旦那が私に問うた。

「そういうことだ!!」

 二人で城へ進む意思を示して移動を開始した。
 しばらく移動すると城が見えてきた。

「おいおい、随分デカい城を建てたな」

「教会のお抱え絵師の貴族様の城だ。
 気合い入れて従業員に作らせたさ風呂なんかも完備してるんだぜ……」

「ハッ!! ソレを盗賊の僕から奪った馬鹿がいるというんだな」

「確かに……違いねぇな」

 入り口の門のところに、モンスターの集団がいた。

「耐えてるヤツもいるんだな」

「クソッ!! 入り口のモンスターが邪魔だし、下手に魔法で攻撃すると城をキズつけるな」

「僕があいつらをおびき寄せようか?」

「解った!!
 ソレを俺が魔法で囲んで一気に仕留めるよ」

 先に二箇所魔石を設置しておき、モンスターをおびき寄せてもらった場所の二箇所に魔石を置いて、[聖域]の魔法を発動して旦那と一緒にモンスターを閉じ込めた。
 画家の旦那はモンスターでも、悪魔でもないから[聖域]を自由に通り抜けれるがね。

「聖域から、離れてくれ!!」と、私が叫んで指示を出すと画家の旦那は全速力で[聖域]から脱出してくれた。

 私の運命剣あいぼうを構えて、[エクスプロージョン]の魔法を[聖域]の中に放った!!
 ものすごい爆発音とともにモンスターの集団を一掃した。

「あとは城だけだ!!
 進むぞ」と、私は気合を入れ声を出した。

「おう!!」

 城の中には、モンスターはいなかった。
 王の間みたいな部屋に、魔王とシズクがいた。
 いや、こんな場面でも魔王はシズクを味わっていた。

 シズクは、私達二人に気づかず目が虚な状態だった。
 状況を把握した、画家の旦那が即座に特攻をかけた。

 私は、その場でシズクと魔王(転生者)に対して[鑑定]をかけた。
 シズクも頑張っているが、成長度合いが私や画家の旦那に比べて悪い。
 勇者ではあるが、彼女には残念ながらセンスがないのだろう。

 それと、魔王には日本人らしい苗字と名前が付いていた。
 そして、職業の欄に魔王と記載されていた。
 これが魔王落ちした奴の結末か!!

 私が懸念していた通り魔王のステータスが三倍されていた。
 ただし、聖域の効果でステータス半減のデバフが魔王にかかっていた。
 これなら、画家の旦那なら時間位なら稼げるハズ。

 あいつが魔法を使って攻撃する瞬間……
 そして、画家の旦那が一撃を決めにいく瞬間に私は魔王に対してある魔法で狙い撃つ!!
 魔王が、魔法を打つ構えをとった。

 今だ!!

 私は[ディスペルマジック]の魔法を使い、魔王の魔法の発動を潰した!!
 攻撃に入っていた、画家の旦那は魔王に一撃を加えた。

 完全に魔王に対してカウンターが決まった。
 魔王はシズクから手を離し、その瞬間にの旦那が女勇者を奪い去っていった。

「コッチは大丈夫だ。シズクの息もある!!
 商人の旦那、あとは任せた!!」

 画家の旦那……美味しい所は譲ってくれるのかい。
 その依頼引き受けた!!
 しかし、魔王を討伐する前に魔王と話をしようと私は考えた。

「よぉ、魔王さんよ。
 いや、元日本人か?」

「!?」

「よくも好き勝手に、やってくれやがったな」

「ちょっと待ってくれ!!  俺はお前達に危害を加えようと思ったわけじゃ。
 お前も日本人なんだろう、同じ同士」

「私は、魔王にならない為に……
 何年も苦労したんだ。お前と一緒にするな!!」

 私は魔王の周り歩きながら魔石を設置していく……

 魔王が私のステータスを見て驚愕しているようだった。
 勇者でもない、商人が魔王の力を圧倒している。

「ま、待て!! お前となら世界を牛耳る事ができる!!
 考えなおせ!!」

「すまないが、その提案には乗れないな。 
 私には嫁も大事な子供達や従業員がいるんだ。それにお前が傷物にした友人もな」

「俺は魔王だぞ!! 魔物を統べる王だぞ!!
 な、何故? お前は俺に屈さない!!」

「フン!! お前が魔物の王というのなら、お前より強い私は魔法の王だ!!」

 魔王の周りに最後の魔石を設置した。
[聖域]を魔王の周りに展開した。

「最後に聞いてやる。お前は暑いの寒いのどっちが好きだ?」

「そんなのどっちも嫌に決まってる!!」と言って、魔王は魔法を放ってきたが魔法は聖域に阻まれた。

「そうか……それが答えか!!
 それじゃ両方を食らわせてやるよ」

 運命剣を構え、[エクスプロージョン]の魔法を放った。
 魔王は、しぶとく耐えてきたので、立て続けに[ストームガスト]の魔法を放った。
 魔法の冷気により魔王は固まってしまった。
 私は運命剣あいぼうを大上段に構えて一気に振り下ろした。

 魔王を討伐した。
 魔王の遺品を【アイテムボックス】へ回収した。
 レベルが47になった。

「旦那、さすがだね。
 魔王のくだりはなかなか、サマになってたよ……」

「ハハハ!! 俺の苦労を馬鹿にしてきたような奴だったし遠慮なく討伐できたよ。
 それと、アイツも転生した人間だったよ。そんな事はどうでもいい!! シズクは無事か?」

「あぁ、大丈夫だ。
[ヒール]と[ヒーリング]の魔法はかけている」

「そうか……それなら良い。
 私は国王陛下に直訴して、シズクの勇者を辞めさせるつもりだ。
 それと、今回のシズクのギフトが気になるから教会に情報を公開させる。
 今回の件の黒幕が誰なのか、なんとなく想像はついてるからね」

「黒幕なんていたか?」

「画家の旦那は知らなくても良い事だよ。
 私が決着つけなきゃな」

 私は、シズクをお屋敷のベッドに寝かせた後、今回の件の後始末をして回ることにした。
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