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138話.新ルール

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 目が覚めた。
 また、ここか……地下牢スタートである。
 コレが意味する事は、リリスに敗北した事を意味する。

 幸せそうに眠りおって、彼女の柔らかい頬を指でツンツンして気持ちを落ち着かせた。
 頬をつつかれるリリスは寝ぼけていて、寝言でムニュムニュと言葉にならない言葉を発していた。
 か、カワイイ……

 先日の完全敗北の件は、リリスが可愛いさに免じて許すとしよう――可愛いは正義なのである。

 屋敷の窓から地下室の階段に朝日が差し込んでおり――今が朝方なのが解ったので、まずは着替える事にした。
 地下室から寝室へ戻り、[クリア]の魔法をかけて服を着替えた。

 ノルニルに聞きたい事があるのを思い出たので、彼女の部屋へ向かった。
 彼女の部屋の前に移動し扉をノックした。

「二階堂です。お話があってきました」

「はい、どうぞ入ってください」

「それじゃあ、お邪魔しますね」と言って、入口の扉を開けてノルニルの部屋へ入った。

 相変わらず明るい部屋である……。

「それで話って何ですか?」と、開口一番にノルニルが聞いてきた。

「いくつか聞きたい事があって……
 質問してもいいですか?」

「いいですよ。
 答えれるモノならお答えしますよ」

 その時、ノルニルに質問した内容は二つの事についてだった。
 まず一つ目は、薬の副作用の反動はもう来ないのかという点と、なぜ副作用が出たのかという件を質問した。

 ノルニルの答えは、副作用は[ヒーリング]の魔法で悪い部分を治療したのでもうでないらしい。
 副作用が出た理由は、疲れが酷いという理由で、あのアイテムを使いすぎた為だ。
 私が常人より魔力が多い為、一つの使用で効果を実感できなかった為に、一日に3つ程纏めて使用したが、通常は一週間に一つ使えば効果が出るアイテムなのである。

 その結果、効果が暴走し本能のみが爆発してしまった訳だ。
 昼と夜の魔力注入の際の異常な回復力はソレのせいだったのだろう。
 とりあえず、一週間に一つの使用なら問題はないらしい……
 イザという時に、一枚だけ使うようにしよう。

 次に質問したのは、ノルニルに昨日の夜の記憶があるのかという件だ。

 その質問した瞬間に、ノルニルは顔を赤くしたが……
 彼女が昨夜の出来事を一部始終内容を伝えてくれたので私は満足した。
 
「朝からセクハラするとは、いい度胸ですね」と、彼女が軽く怒っていたが……それもご愛嬌だろう。

 聞きたい事を全て聞き終えたので、ノルニルにこう言った。

「ノルニルさん。いや、ノルン様!!
 今後ともよろしくお願いしますね」

「はい、こちらこそ」と、ノルニルが言葉を返してくれた。

 そして、彼女との会話を済ませて自宅のある[セカンタの町]へ移動した。

「おはようございます」

「おはようございます。
 朝ごはん用意してますよ」と、エミリーが挨拶してくれた。

 エミリー達には、フローラさんの件に続いて、ノルニルさんの事も伝えるのか?
 しかも、薬の件もいうべきなんだろうか?

「ハジメさん、どうかしたんですか?
 何か言いたい事があるような表情してますよ」

「エミリーには敵わないなぁ。
 私の考えてる事が筒抜けみたいだ……」

「そんな事ないですよ。
 それでどうしたんですか?」

「エミリーは、気づいてると思うけど……
 武器作りで一番キツかった時に魔道具屋で買った薬を服用したんだよね。
 それで、あの夜にエミリーにも相手してもらったんだけどさ――朝方ノルニルさんに注意されたんだよね」

「はい、それが何か関係が?」

「その薬の副作用で、一緒に狩に行ってたノルニルさんを襲ってしまいました。
 魔王化してない範囲で、やることをやってしまったので責任を取りたいと思ってます」

「彼女もハジメさんのお嫁に加えるんですか?」「そのつもりだったけど断られたよ」

「そうなんですか?  けど、彼女もハジメさんに好意を持ってますよね?」

「うん、それはわかってるので。
 彼女もアリアと同じように、ローテーションに加えてくれないかな」

「わかりました。
 あまり無茶すると、またハジメさんがキツくなるんでは?」

「そうなんだよねぇ。
 そこは、屋敷の地下のサキュバスと相談して対応するよ」

「それなんですけど……
 夜のローテーションを無くしましょうか?」

「えっ!? いいの?」

「今回の件の発端は、リリスちゃんへの嫉妬によるローテーションの提案でしたし。
 完全にソレが裏目に出て、ハジメさんここから出て行っちゃいましたし。
 私達に嫌気さしたのかなって……」

「ちょっと!! 
 違う、違うよエミリー!!
 エミリーはいつも優しくしてくれただろ。
 私が疲れてるのを察して、すぐ対応してくれたじゃないか!!」

 続けて、エミリーを弁護するように言った。

「今回の件は私の体質というか、魔力量が引き起こしたトラブルだから、エミリー達は何も悪くないよ。
 悪いのはアイテムの効きが悪いと思って、通常は一つで充分なアイテムを二日続けて3個使った私のせいだから」

「それでも、お屋敷のほうに住んでるじゃないですか?」

 あぁ、エミリーもその件には不満を持ってたみたいだ。

「私の考えをエミリーに言うね」

「まず、君達がお屋敷と自宅を自由に行き来できる環境を作ってあげたかった。
 これができたので、ソコの問題は解決できてるよね」

「はい、そうですね」

「自宅はお店の二階ってこともあって、広くはあるけど人数分の個室がないから、キミ達の自由な時間がないと思っていたんだ」

「別に不自由はしてませんよ。
 三人で寝る事はいつも通りのことですから……」

「うーん、それなら。
 エミリー達のプライベートを持ってもらって、私はソコにお邪魔したいな」

「つまり、ハジメさんは自分で相手を選びたいと……」

「まぁ、そうですね。
 正直な話、君達にローテーションを作らせるのは少し嫌だった。
 私は、皆の事大事に思ってるのになんで解ってくれないだろうって」

「それなら、逆に私達がハジメさんの部屋にお邪魔してもいいんですか?」

「いいですよ。
 その為に、私の部屋はベッドが大きい寝室を選んだので」

「わかりました。
 週末以外はハジメさんにお任せして、週末はハジメさんの部屋に皆でお邪魔しますね」

「週末が怖いなぁ……
 けど、提案したし。それでやってみましょう」

「あと、週末以外でも来てもいいですか?」

「その意味が解っているなら喜んで、一人で眠るより誰かと眠りたいし」

 結局、寝室に来ると言うことは他の相手をしている事を容認しないといけなくなり。
 前回、女性の匂いをさせてキャリーとシェリーが不機嫌になったことがあったが――ソレで不機嫌にならない事が前提になる訳だ。
 私としてもバランスよく、各自の部屋を回るつもりだし彼女達に不満は出させないつもりだ。

「意味は分かりますよ。
 今はリリスちゃんと相手した後に、色々してる様なモノなので対して変わらないかと?」

「リリスの件は、食事だからね一応は……」

「それなら、他の男性がリリスちゃんに食事を与えても良いんですか?」

「ダメ、絶対ダメ!! 絶対に許しません!!」

「それが、本当に食事なんですかねぇ……」

 自分で食事だと、言っておきながら押し黙るしかなかった……

「わかりました。ローテーションの件は終わりにしましょう。
 みんなには、私から伝えておきます」

「お願いしますね」

 これできっと楽になるだろうと……勘違いをしていたのは言うまでもない事だった。
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