上 下
124 / 198

111話.国王に会う。

しおりを挟む
 先日は、[フォースの城下街]へ到着し色々な人物と出会った。
 先日は、ギルド長と教会のお偉いさんと会い再び話をする約束をしているので、いつもの業務を片付た後に城下町へと向かった。

 最初に、道案内を頼んでいるノルニルと会う為にギルドへ向かった。
 ギルドの入り口で見覚えのある女性が人を待っているのを見つけた。
 私は、その女性にゆっくりと近づいて行き話しかける。

「ノルニルさん。お待たせしました」

「二階堂さん。こんにちは」「今日も街の案内をお願いしますね」

「ハイ。任せて下さい!!」と、ノルニルが自信有り気に答えた。

「最初に、軽く食事出来る所を紹介してもらえませんか?」

「それならギルドの中にもあるんですけど、この街名物の市場とかはどうですか?
 露店が並んでるので、気になったモノを探すというのは?」

「イイですね。
 この街の台所事情もわかりますし」

「市場はこの街の中央にあるんですよ」

「そうですか。それでは案内お願いしますね」

「はーい」と言って、ノルニルは市場への道案内する為に移動し始めた。

 それに、私はついて行った。
 しばらく歩いていると人で賑わい活気のある場所に着いた。
 お店の人間の大きな声での客の呼び込み、商品の案内等の声が聞こえてくる。
 そうか、ここがこの街の市場なのかな?

「これは凄いね!!  お店を見て回るのも一苦労しそうだ。
 この市場で、ノルニルさんのオススメのお店とかはないのかい?」

「あっ、それなら……
 ランドドラゴンの肉が食べれる変わったお店があるんですよ。
 ランドドラゴンは肉食なんですけど、臭みがなく人気のお肉なんです。
 お値段は張りますけどね」

「へぇ……興味あるね。
 そのお店に連れて行ってよ。ノルニルさんの代金も私が払うから」

「イイんですか?」

「構わないよ。
 用事があるので昼ごはんを食べずに自宅を出たので、飲食系を紹介してくれて丁度良かったよ」

「それなら、コッチです」と言って、私の手を引っ張るようにしてお店へ案内してくれた。

 目的のお店に到着した。
 市場の中央にあるドラゴンの看板が目印のお店だった。

「ココです!!」

「なんか、凄そうなお店だね」
 ……と言って、私達はお店に入った。

「いらっしゃい!!  二名様ですね。そちらの奥の席へどうぞ!!」と、店員に案内された。

 お客さん自体は、いないわけではないが昼飯どきにしては少なく感じた。
 しかし、客層は凄く裕福そうな連中が多いのが特徴だろうか?

「あのぉ……
 本当にご馳走になっていいんですか?」

「うん。
 案内してくれたお礼に、ご馳走するよ」

「やった!!
 興味はあったけど値段が高すぎて食べた事ないんです」

 えっ!?  そんなに高いのか? 
 まぁ、持ち合わせが足りない事は無いだろうが……

 とりあえず席に座りメニュー表を見て、店長のオススメとやらを二人分頼む事にした。
 その値段は1人分200ゴールドだった――2人分の代金だと計400ゴールドだ。
 簡単に例えると、彼女の今日一日の収入がこの一食で飛ぶのである。

 ウチのお店のハンバーガーセットが、何十セットも買える贅沢品じゃないか……
 まぁ、後学の為にランドドラゴンの肉を食べておくのは悪くないだろう。

「けど、ここのお店は男性のお客さんが多いんですよねぇ。
 何故? でしょうか……?」

 近くにいた店員がテーブルにやってきて、私達に説明してくれた。

「そりゃ決まってるだろ。
 ドラゴンのパワーで活力つけて夜の活動を頑張ろうって連中がココにきてんだからよ!!
 男と女でこの店に来てるってことは、アンタ達もそういう仲なんだろう?」

「アハハハ、そう見えますか?
 それじゃ、店長のオススメを二つお願いします」

「あいよ!! 焼きあがるまでしばらく待ってくれよ」と言って、店員はテーブルから離れていった。

 ノルニルさんは、店員の説明した意味を理解したのか赤くなって俯いていた。

 女性がこのお店を紹介する――
 即ち、誘っているとでも勘違いされたとでも思ってるのだろう。
 この人は基本可愛い人だが何処か抜けてる子というのが、私の認識なので彼女がやらかしただけと思っていた。

 しばらくの沈黙の後、ノルニルが口を開いた。

「あ、あのココを紹介したのは、決して他意があっての事じゃないんです!!」

「あっ、やっぱり。
 ノルニルさんに誘われてるんじゃないかと、期待しちゃいましたよ」
 と、返答をすると彼女は赤くなって俯いてしまった。
 やっぱり、この子はセクハラすると可愛い反応するなぁ……

「冗談ですよ。
 きっと変わったモノを私に紹介したくて勧めてくれたんだろうなと思ってますよ」
 ……と、その後フォローしてあげた。

 私のその言葉を聞いて、彼女は顔を上げてくれた。

「うぅ……
 なんか、ごめんなさい」

「大丈夫ですよ気にしないでください」

 うーん?  一つだけ気がかりなのが下手にこんなモノを食べると下半身がやばいことにならないだろうか心配した。
 一度、ソレ(栄養ドリンク)で痛い目にあってるので、そこだけは心配していた。
 料理が来るのを席で待っていると、店員が大皿を二つ持って来た。

「はい、お待ち!!」

「店長のオススメ、二つだ。
 ランドドラゴンの肉は余計な味付けは必要ないので、簡単に塩と胡椒で肉を味付けしている」

「へぇ、うまそうですね。
 あと、胡椒を使ってるんですね」

「高級品だが、ソレに見合う代金を貰うからな」と、店員が言った。

「それじゃ、頂きますね」

「あぁ、食事を楽しんでいってくれや」

 大皿に乗ってるのは骨付き肉だった。
 この見た目……俗に言うマンガ肉って奴だよな。

 骨の部分を掴み、肉に食らいついた。
 うおっ……。ホントだ肉食動物特有の臭みがない美味しいお肉だった。
 コレは結構イケるなぁ。

 私がガツガツと骨を手に持つようにして食ってたが、ノルニルは肉を切り分けて食べていた。

「美味しいお肉だね。
 一人で倒せそうなら私も討伐してみるかな?」

 美味しいお肉を見つけたから、せっかくならお嫁さん達にも食べさせてやりたいしな。
 塩胡椒の簡単な味付けだけで、これだけの味が出せるのだ――工夫次第ではもっと美味い料理が作れるかもしれない?

「えっ!? ランドドラゴンを倒すんですか?
 何十人で挑んで倒すモンスターですよ?」

「美味しかったしね。情報を揃えて一人で倒せそうなら狩に行ってみるよ」

 私は、お腹も空いていたので完食してしまった。
 ちなみに気になる下半身の件は無事だった。
 ただし、ステータスにバフ(ステータス上昇)がかかっているのを確認できた。
 ノルニルは完食できなかったので余った分は包んでもらって彼女のお土産として持って帰る事にした。

 市場での食事を終えて、本日の道案内は終了となった。
 今日は、教会の教皇様との約束があるからだ……
 ノルニルに教会まで案内してもらい彼女と別れる流れになった。
 市場から教会まで徒歩で移動して教会に到着した。

「ノルニルさん。また明日もよろしくね」

「ハイ。明日もギルド前でお待ちしてます」と言って、お互いに別れた。

 昨日と同じように教会の受付に挨拶をして、教皇の部屋へ案内してもらい教皇のいる部屋に入った。

「よく来てくれたね。ハジメ君」

「約束させて頂いてましたので、それで今日お会いする方は?」

「あぁ、この国の王だよ」

「えっ!?」

 正直に言ってビックリした。
 商人程度の身分で国王に会う? なんの冗談だろうと思う所だが……
 この国の国王は教会を懇意にしていると言う話を聞いた事があるのでその可能性も考えてはいたがまさかの話である。

「商人が国王に会うのに手ぶらで、会うのは拙いですよね?」

「それは気にしなくていい。今回は私の紹介だ」

「えーっと、挨拶の作法とか解りませんけど?」「大丈夫だ。君にソレを求めてはいない」

 うぐっ……。
 王様への面会を断ろうと思い教皇に対して色々と提案するが、ことごとく提案を潰され結局は城へ向かうことになった。

 教会から、嫌味を感じない程度に豪華な箱馬車を用意され、ソレに乗り[フォースの城]まで移動した。
 20分程度の移動で目的地に着いたので、城は街の中にあるのだろう……

 馬車から降りると、目の前にはドデカい城がそびえ立っていた。
 街の防壁の中に、城壁がある感じで二重で防衛しているのが解る、かなり頑丈な作りだ。
 私達は馬車から降りた後、教皇様の後についていくように移動して王座の間へ到着した。

 王の座る玉座へ一直線に赤い絨毯が引かれ、その両端に兵士が玉座までズラッと並んでいる。
 私達は、兵士達の圧を感じながら玉座に座る国王の前に移動した。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

改悛者の恋

Rachel
恋愛
「中の招待客にどうしても会わなきゃならない。入れてくれ、頼む!」舞踏会の会場入り口で招待状を持っていないがために入れずにいた男を気の毒に思い、伯爵令嬢エリーゼは連れのふりをして会場へと入れてやる。ところがこの男の目的は中にいた招待客への復讐だった……! 19世紀初頭のヨーロッパをモデルにした、変わり者の名門貴族伯爵令嬢と暗い過去を持つ商人の恋愛物語。 ※小説家になろうで掲載している『前科持ち商人と伯爵令嬢』から改題しました。ほぼ同じ内容になります。

月の箱庭

善奈美
ファンタジー
  一つの過ちが全てを呑み込んでいく……時を越えた先に待つものとは………。  約千年前に封印された邪悪な意識が目覚めようとしていた。全ての封印は解け始め、仮初めの平和が少しずつ狂い始める……。     ※表紙イラスト、挿し絵は他サイトの絵師、大神紅葉様に描いていただいたものです。 ※エブリスタ(公開中)、ポケクリ(非公開)、メクる(閉鎖)で公開していました。 ※章によって文字数が異なります。

いるだけ迷惑な最強勇者 〜ハズレスキル『味方弱化』が邪魔だと追い出されたので、この異世界で好き勝手させてもらいます!〜

束音ツムギ
ファンタジー
【完結保証!】  ——気づけば、クラスごと異世界に召喚されていた。  そんなクラスの中でも目立たない、ごく普通の男子『梅屋正紀』も勇者として召喚されたのだが、《味方弱化》という、周囲の味方の能力値を下げてしまうデメリットしかないハズレスキルを引いてしまう。  いるだけで迷惑になってしまう正真正銘のハズレスキルを手にした俺は——その場で捨てられてしまう。 「そんなに邪魔なら俺から出ていってやる」と、一人で異世界を旅する事になった俺は、旅の途中で《味方弱化》スキルに隠された効果が、Sランクスキルをも凌駕できるほどの最強の効果であった事を知る。  いるだけで迷惑な最強の勇者『梅屋正紀』が、異世界で無双するッ! 【小説家になろう】【カクヨム】でも連載中です!

無敵の公爵令嬢 婚約破棄されてヤケクソになり世直しの旅に出る

緋色優希
恋愛
 ビスコッティ王国エクレーア公爵家の令嬢マリーは王宮舞踏会の最中に突然婚約者の王太子スフレより婚約破棄を突き付けられる。彼が執心していた隣国の男爵令嬢アリエッタに激しい嫌がらせをしていたと糾弾されたのだ。だが、そのアリエッタこそ実は悪徳男爵令嬢であり、このビスコッティ王国を侵略せんとする悪党どもの尖兵だった。最強の魔法使い『超姫』と最強の戦士である父との間に生まれた、無敵の公爵令嬢マリー。家で大人しく蟄居などせずに、宿敵アリエッタ一味の悪行の尻尾を掴まんと、美少年従者シナモンを連れて半ばヤケクソで世直しの旅に出た。果たして彼女は隣国の野望を打ち砕き、婚約者の目を覚まさせる事ができるだろうか。

父性覚醒~最凶の魔法使いは樹人の少女に絆される~

しろ卯
ファンタジー
 膨大過ぎて制御の効かない魔力を持つノムル・クラウは、わずかに感情が高ぶっただけで惨劇を招いてしまう。  それゆえに心を殺し、人と関わることは最小限に抑え、放浪の旅を続けていた。 孤独な日々を過ごす彼が出会ったのは、小さな樹人の少女ユキノだった。二人は互いの目的を叶えるため、行動を共にすることに。  魔物とは思えぬ言動を繰り返し、同族である人間にさえ恐れられるノムルを慕うユキノと行動を共にするうちに、徐々に変化が訪れていき……。    人間のおっさんと樹人の少女がゆっくりと親子の絆を結んでいく物語。     ※他サイトにも掲載中。

飛べない天使

紫月音湖(旧HN/月音)
ファンタジー
両親の仇を討つために聖なる力を欲していたシェリルは、偶然にも天使カインを召喚してしまう。 しかしこの天使、酒は飲むわ煙草は吸うわ、女性関係も派手でだらしない不良天使だった! 不本意ながらもカインと行動を共にする羽目になったシェリルは、その先で歴史から隠されたもうひとりの神の存在を知る。 ※小説家になろうからの、加筆・修正後の移行中※ ※ノベルアップ+にも投稿しています※ ※表紙は月城蓮水様からの頂き物です。完全版はサイトにて公開しております※

笑顔の絶えない世界~道楽の道化師の軌跡~

マーキ・ヘイト
ファンタジー
 人間と魔族、二種族による抗争が何代にも渡って繰り返されていた。時代が進むにつれ、状況は更に悪化、争いだけでは治まらず虐め、差別、裏切りが織り成す様になった。そんな世界で、高校生の少女が異世界転移を果たし、一人の道化師と出会い、仲間達と一緒に世界の運命を巻き込んだ冒険を始める。そんな道化師に対してある者は敬意を込め、ある者は親しみを込め、またある者は憎しみを込め、口を揃えてこう言う『笑顔だった』と、笑顔を絶やさない道化師に隠された裏の顔とは……。    この物語は、そんな道化師に振り回される人々のお話。  こちらの作品は無事完結致しました。またこの続編として、笑顔の絶えない世界 season2 ~道楽の道化師の遺産~を小説家になろうにて現在投稿しております。続きが気になる方は下に記載されているURLから直接飛んで頂けると幸いです。    https://ncode.syosetu.com/n0030fu/

久遠のプロメッサ 第一部 夜明けの幻想曲

日ノ島 陽
ファンタジー
【第一部 夜明けの幻想曲】  シアルワ王国の第三王子フェリクス。彼には存在を秘匿された姉がいた。  ある日、フェリクスが16歳になったことを祝う誕生祭が開かれる。少しでも姉に喜んで貰うため、土産物を用意しようと城を抜け出すフェリクスだが、その途中で並々ならぬ事情を抱えた女暗殺者に襲われてしまい……?  人間と精霊が歪な関係性を築く世界。世界の犠牲となった少年少女たちが紡ぐシリアスファンタジー。 ※ごく僅かですが、キャラクターを傷つけるような流血表現があります。 三部構成になる予定です。現在第一部3章を毎週水曜日に2話ずつ更新中。 Twitterにて久遠のプロメッサを含めた一時創作のイラストや設定をアップしておりますので、よろしければご覧ください。 長い連載になるとは思われますが、どうぞお付き合いくださいませ。 2020/02/26、第一部の本編完結しました! まだまだ続きます! どうぞよろしくお願いします! !

処理中です...